妊娠から出産まで、妊娠週数が進むにつれて胎児はどんどん成長し、ママの体も変化していきます。
妊娠何か月で胎児はどれくらいまで成長するのか?ママの体にはどんな変化があるのか?
今回はそんな疑問について、妊娠週数別にご紹介いたします!
妊娠の成立
女性の体では、生理(月経)によって毎月妊娠できる環境を整えています。
卵子と精子が出会い受精し、子宮内に着床すると妊娠が成立します。
卵子と精子が出会うためには排卵に合わせる必要があり、排卵がおこるのは生理が始まった日から数えておよそ2週間後になります。
排卵された卵子の寿命はおよそ24~48時間であり、精子の寿命は3~5日程度です。
つまり、排卵日の2~3日前くらいからセックスをすると妊娠する可能性が高くなります。
妊娠期間の数え方
妊娠0週0日とは、最終月経がはじまった日をいいます。
つまり、まだ受精も着床もしていない時期から妊娠期間としてカウントしていることになります。
妊娠の開始とセックスをした日は異なります。
妊娠を希望している女性は、生理周期をメモしておくことが、より正確な妊娠期間を計算するのに役立ちます。
妊娠期間の数え方には「週数」で数える方法と「月数」で数える方法があります。
週数で数える場合、最終月経が始まった日から6日後までを妊娠0週と数え、7日経過するたびに「1週」「2週」と増えていきます。
月数で数える場合は「0~3週」を1ヶ月と数えます。
そのため、「妊娠0か月」とはいいません。
妊娠期間の数え方については、「コラム:以外と間違いやすい!妊娠週数の数え方と出産予定日の計算」もご参考にしてください。
妊娠初期の胎児とママの体の変化
妊娠初期とは、妊娠0週~15週をさし、妊娠1ヶ月~妊娠4ヶ月にあたります。
妊娠1ヶ月ではまだほとんどの人は妊娠していると気付きませんが、なんとなくだるいなど何らかの体の変化を感じる人もいます。
妊娠初期の間に、つわりがはじまったり落ち着いてきたりと、ママの体と体調は目まぐるしく変化していきます。
心も体も不安定になりやすい時期ですので、できる限り無理のないように過ごしましょう。
【胎児の様子】
妊娠2か月頃には魚のような形をしていたおなかの赤ちゃんは、妊娠4か月頃になると人間らしいシルエットになり、手足を動かしたりできるようになります。
妊娠が判明したら、嬉しさでいっぱいなのと同時に「まずは何をしなければならないの?」と分からないことだらけだと思います。
妊娠が確定したらすぐにしたほうがいいことや、早めにやっておいたほうがいいことなどについて、「コラム:妊娠したら?妊娠初期にやることリスト」もご参考にしてください。
妊娠1か月
妊娠1ヶ月は、妊娠0~3週にあたります。
妊娠0週0日は最終月経がはじまった日なので、まだ通常どおり生理があります。
妊娠0週0日からおよそ2週間後に排卵があり、受精卵が着床(妊娠の成立)するのはさらにその1週間後あたりです。
つまり、排卵日は妊娠2週頃、着床するのは妊娠3週頃にあたります。
ほとんどの人はまだ妊娠した自覚症状はありませんが、「なんとなく熱っぽい」「だるい」などの変化を感じる人もおり、これを「妊娠超初期症状」とよぶこともあります。
妊娠2か月
【胎児の様子】
妊娠6週頃になると、超音波検査(エコー検査)でおなかの赤ちゃんを包み込む胎嚢(たいのう)と赤ちゃんの心拍を確認できるようになり、正常な妊娠かどうかの診断ができます。
このころの赤ちゃんは魚のような形をしていて、エラや尾のようなものがあります。
妊娠8週未満では、赤ちゃんのことは「胎芽(たいが)」とよびます。
すでに脳や心臓、目や鼻などの大切な器官が作られ始めています。
胎児の体重は4gほどで、あめ一粒程度です。
妊娠2ヶ月は、妊娠4~7週にあたります。
次の生理開始予定日が妊娠期間でいうと妊娠4週頃ですので、「あれ?生理がこないけど、もしかして妊娠?!」と多くの人が気付くのが、妊娠4~7週頃です。
妊娠初期の症状としては、胸の張りや痛みなどのほかに、吐き気や嘔吐、食欲不振などの「つわり」があります。
つわりの症状の種類や程度、始まる時期や終わる時期は個人差がありますが、一般的には妊娠5週頃から妊娠15週頃まで続く人が多いようです。
妊娠したかも?と思ったら、妊娠検査薬で調べてみましょう。
妊娠検査薬の反応が出るタイミングは、妊娠4~5週頃からで、次の生理開始予定日~その1週間後くらいです。
妊娠検査薬を使うのが早すぎると実際は妊娠していても陰性の反応が出てしまうこともありますので、その場合は数日~1週間程度待ってから再度調べてみましょう。
また、基礎体温のグラフをつけている人は、次の生理がはじまるタイミングで体温が「高温期」から下がり「低温期」になりますが、妊娠すると体温が下がらず高温期が続きますので、そこで妊娠に気づくかもしれません。
妊娠3か月
【胎児の様子】
妊娠8週からは「胎児(たいじ)」とよぶようになり、より人間らしい形になってきます。
妊娠11週ころには、脳や心臓など内臓の基礎がほぼ完成します。
頭と胴体、足がはっきり分かれ、顔つきも人間らしくなってきます。
胎児の体重は10~20gほどで、小粒のいちご1個程度です。
妊娠3ヶ月は、妊娠8~11週にあたります。
多くのママがツラいつわりに悩まされる時期です。
おなかはまだ全然目立たず見た目では妊娠しているとわかりませんが、気持ち悪さ吐き気、においに敏感になり食事が思うように摂れなくなる人もいます。
脱水症状や、体重の減少が5kg以上ある場合は受診しましょう。
子宮の大きさはまだ握りこぶし大程度ですが、少しずつ圧迫されて便秘や頻尿がおこりやすくなります。
母子手帳がもらえるのが妊娠2~3か月頃です。
母子手帳は、超音波検査で妊娠を確認したら、自治体に妊娠届を提出することによりもらえます。
もらいにいくタイミングはいつでもいいですが、母子手帳を活用することによりさまざまなお得なサービスが受けられますので、遅くても妊娠11週頃までにはもらいにいきましょう。
また、おなかの赤ちゃんにダウン症などの染色体異常がないか調べる検査である、「新型出生前診断(NIPT)」は、妊娠10週から受けることができます。
特に、35歳以上である高齢出産で受ける方が多い検査ですが、任意の検査のため、ご自身とそのパートナーの価値観や取り巻く環境などすべてを考慮したうえで、検査を受けるのか受けないのか、判断する必要があります。
新型出生前診断(NIPT)については、「NIPTとは」もご参考にしてください。
妊娠4か月
【胎児の様子】
内臓などの各器官の機能が発達してくるとともに、骨や筋肉も発達し手足を動かす様子がエコー検査で確認できるようになります。
羊水を飲んだり吐いたりして、おっぱいを飲む練習がスタートします。
胎児の体重は100gほどで、中くらいのみかん1個分程度です。
妊娠4ヶ月は、妊娠12~15週にあたります。
長く続いていた、基礎体温が高い状態の「高温期」が終わり体温がさがってくるため、熱っぽさやだるさがなくなってきます。
妊娠4か月頃につわりが治まる人が多く、体調が落ち着いてくるとともに食欲が回復しますので、体重管理にも気をつけましょう。
ママのおなかは少しだけふっくらとしてきて、タイトな服装の場合は以前との変化に気付く人もいるかもしれません。
妊娠初期の流産の多くは妊娠12週までにおこっているため、妊娠4か月ころになると初期流産のリスクは減るといえます。
妊娠初期の流産は染色体異常や遺伝子の病気など、多くは赤ちゃん側の問題が原因であり、残念ながら防ぐことはできません。
また、ダウン症などの胎児の染色体異常を調べる出生前診断の一つである「羊水検査」が受けられる時期は、妊娠15~18週頃です。
羊水検査は思い立ったらすぐに受けられる検査ではなく、羊水検査のリスクも理解したうえで検査に望む必要があります。
妊娠中期の胎児とママの体の変化
妊娠中期とは、妊娠16週~27週をさし、妊娠5ヶ月~妊娠7ヶ月にあたります。
妊娠中期になると胎盤が完成し、心身ともに安定した時期になりますので一般的に「安定期」ともよばれます。
安定期とはいっても、妊娠中に完全にリスクのない時期というのはないため、旅行をするにしてもママの体調最優先で、いつ何があっても対応できるように構えておく必要があります。
妊娠中期ではおなかの赤ちゃんがぐんぐん成長するとともに、ママのお腹もどんどん大きくなりますので転倒などの怪我に注意するとともに、妊娠線が出来ないようにより一層のケアを心がけましょう。
胎動を感じるようになり、おなかの赤ちゃんをより身近に感じられるようになるでしょう。
頻尿や便秘、痔や腰痛などさまざまなマイナートラブルにも悩まされる人が増える時期でもあります。
【胎児の様子】
おなかの赤ちゃんは、妊娠5ヶ月では体重が240g程度だったのが、妊娠7ヶ月では1kg程度まで成長します。
体重だけでなく、外見はほぼ新生児と変わらない程度まで成長し、脳や筋肉も発達して手足の動きをコントロールできるまで成長します。
妊娠5か月
【胎児の様子】
筋肉や神経がますます発達し、手足を自由に動かせるようになるため、羊水の中で活発に動き回るようになります。
そのため、ママは「ポコポコ」とおなかを蹴られるなどの胎動を感じやすくなります。
全身には「胎毛」とよばれる毛が生えてきて、髪の毛や眉毛などもうっすら確認できるようになります。
胎児の体重は240gほどで、アボカド1個分程度です。
妊娠5ヶ月は、妊娠16~19週にあたります。
子宮の大きさは大人の頭くらいのサイズになり、ママのおなかが目立ってきます。
体つきも全体的にふっくらとし、乳腺の発達にともないおっぱいが大きくなります。
安定期に入り流産の危険性が減るため、この頃からセックスも可能です。
ただし、おなかが張るような感じや痛みや出血などがある場合はすぐに中止してください。
体重は妊娠前と比べて1~4kg程度増えます。
妊娠6か月
【胎児の様子】
筋肉や骨格がよりしっかりしてくるため、さらに活発に動けるようになります。
そのため、ほとんどのママは胎動を感じるようになります。
身長はまだ30cm程度ですが、見た目はほとんど新生児と変わらない程度にまで成長します。
耳も聞こえるようになってくるため、胎教を始めるのもよいかもしれません。
胎児の体重は500gほどで、500mlペットボトル1本分程度です。
妊娠6ヶ月は、妊娠20週~23週にあたります。
おなかがさらに大きくなり、重心が変化することでバランスが取りづらくなるので転倒には注意が必要です。
おなかが前にせり出してくるため反りかえったような姿勢になりやすく、腰痛には悩まされがちです。
そのほか、足がむくんだりつるなどといった悩みは妊娠中続きがちです。
体重は妊娠前と比べて2.5~6kg程度増えます。
なんらかの理由で早く生まれてしまうことを「早産」といい、妊娠22週0日~36週0日までの出産をさします。
これは、赤ちゃんがお母さんのおなかの外に出ても生きていけるギリギリの妊娠期間が妊娠22週0日以降だとされているためです。
妊娠7か月
【胎児の様子】
まぶたが開くようになり、鼻の穴もできます。
脳がますます発達して体の動きをコントロールできるようになるため、羊水の中でくるくる動き回り逆子になりやすくなります。
ですが、多くの場合は自然と正常な位置に戻るためそれほど心配はいらないでしょう。
胎児の体重は800~1,000gほどで、大根1本分程度の重さです。
妊娠7ヶ月は、妊娠24~27週にあたります。
おなかの赤ちゃんがぐんぐんと大きくなるため、ママのお腹もさらに大きくなり前にせり出してきます。
大きく重たくなったお腹の影響で背中や肩、腰に負担がかかるためさまざまな場所の痛みが悩みのタネです。
お腹が急激に大きくなるということはそれだけ妊娠線もできやすくなりますので、キレイなママでいるためにもお腹だけでなく胸やおしりなどもしっかりケアしましょう。
日常生活でも、お風呂掃除や重いものを持つなど、かがむ動作や体に負担のかかりやすい作業は避けて家族の協力を得ましょう。
体重は妊娠前と比べて4.5~8kg程度増えます。
妊娠後期の胎児とママの体の変化
妊娠後期とは、妊娠28週~39週をさし、妊娠8ヶ月~妊娠10ヶ月にあたります。
妊娠後期になると今まで以上におなかが大きくなるため張りやすく、腰痛にさらに悩まされやすくなります。
転倒には引き続き要注意しましょう。
頻尿や便秘、むくみやすいなどの症状のほか、動悸や息切れを感じることもあります。
体調を最優先にして、無理のないように過ごしましょう。
【胎児の様子】
おなかの赤ちゃんは、妊娠8カ月で1.5kg程度だった体重が、妊娠10カ月では3kg程度と、倍くらいにまで増えます。
内臓の機能だけでなく、皮下脂肪がついたり爪や髪の毛が生えてきたりと、どんどん新生児に近い見た目に成長します。
妊娠8か月
【赤ちゃんの様子】
さらに体が大きくなったことで、これまでのように羊水内を自由に動くことはできなくなります。
それでも筋肉や神経がさらに発達することで、手足の動きも力強くなり胎動はますます強くなります。
肺以外の器官が発達し、皮下脂肪もついて体が丸みを帯びてきます。
胎児の体重は1,500gほどで、1.5リットルのペットボトル飲料程度の重さです。
妊娠8カ月は妊娠28~31週にあたります。
ママのおなかがますます大きくなったことにより張りやすく、特に動いたあとに張りを感じやすくなります。
おなかの張りを感じた後、少し休んで治まれば心配ありませんが、張りが治まらない、いつもと違う感じがするといった場合はすぐにお医者さまに相談しましょう。
おなかが大きいことにより体が反りやすく腰に負担がかかりやすいため注意しましょう。
体重は妊娠前と比べて6~9.5kg程度増えます。
妊娠9か月
【胎児の様子】
この頃になると肺が機能するようになり、ママのおなかの外に出ても未熟ではありますが自力で呼吸ができるようになります。
皮下脂肪が増えて顔や体がふっくらとし、髪の毛や爪も伸びてきて、いよいよ出産の日を待ちわびています。
胎児の体重は2,200g~2,500gほどで、メロン一玉程度の重さです。
妊娠9ヶ月は妊娠32~35週にあたります。
おなかの赤ちゃんが大きくなったことにより子宮がみぞおちあたりまで上がってくるため、胃もたれや胸やけ、動悸や息切れがおこりやすくなります。
こまめに休んで体に負担をかけないようにしましょう。
妊娠9ヶ月になるといよいよ出産までカウントダウンが始まっていますので、いつでもお産入院ができるように準備しておきましょう。
体重は妊娠前と比べて7~11kg程度増えます。
妊娠10か月
【胎児の様子】
おなかの赤ちゃんは機能的にも新生児とほぼ同じ程度まで成長しています。
頭を下にして、ママの骨盤に落ち着いた体勢になりますので、今までのような大きな胎動は感じにくくなります。
胎児の体重は3,000gほどで、3kgのお米一袋分程度の重さです。
妊娠10ヶ月は妊娠36~39週にあたります。
妊娠10カ月になるとおなかの赤ちゃんは頭を下にした状態で子宮の出口へ下がり始め、出産の時を待ちます。
赤ちゃんが下がるのと同時に子宮も下がりますので、今まで圧迫されていた胃や心臓への負担は減ります。
反対に、膀胱はさらに圧迫されますので頻尿や尿漏れの症状はさらに強くなります。
体重は妊娠前と比べて8.5~12.5kg程度増えます。
出産予定日
出産予定日は、「妊娠40週0日」を出産予定日として計算しますが、予定日に生まれる確率は全体の2%程度しかありません。
出産予定日を含む妊娠37週から妊娠41週までの期間に出産することを「正期産」といい、母子ともにもっともリスクが少ないとされており、分娩の95%以上が正期産だと言われています。
正期産を超えて出産することを「過期産(かきさん)」といい、羊水が濁るなど母子ともに危険にさらされる可能性が高くなるため、通樹夫は妊娠41週目には陣痛を人工的に誘発して分娩します。
出産予定日については、「コラム:意外と間違いやすい!妊娠週数の数え方と出産予定日の計算」もご参考にしてください。
まとめ
出産予定日にあたる「妊娠40週0日」は、日数で数えると280日になります。
長いようで短い280日ですが、その間におなかの赤ちゃんは目まぐるしく成長しています。
ママの体にとってはつわりなどの早く終わってほしい症状もありますが、今しかないおなかの赤ちゃんとの期間を大切にしたいですね!
【参考】
胎児計測と胎児発育曲線について / 日本産科婦人科学会(外部サイトへ移動します)