
つわりが落ち着き、お腹の赤ちゃんがどんどん大きくなる妊娠安定期。
体調が安定してくるこの時期は、心にも少しずつ余裕が生まれ、不安と期待が入り混じる時期でもあります。
とはいえ、「安定期っていつから始まるの?」「何をしておくべき?」と迷うことも多いはず。
そんなあなたのために、妊娠安定期の時期とやるべきこと、そして過ごし方で気をつけたいポイントをわかりやすくまとめました。
赤ちゃんとの大切な時間を、より安心して、笑顔で過ごすためのヒントをぜひ見つけてください。
妊娠安定期はいつからいつまで?(16週〜27週)

妊娠安定期とは医学的な定義はありませんが、一般的に妊娠16週から27週頃(妊娠5〜7ヶ月)までの時期を指します。
この頃になると、胎盤の機能が本格的に働き始め、流産のリスクが低下し、つわりも軽くなる方が多くなります。体調が安定しやすくなることから、「安定期」と呼ばれています。
妊娠初期の不安定な時期を乗り越え、少しホッとできるタイミングではありますが、妊娠中に”完全に安全”な時期は存在しません。
ここからは、安定期にまつわる注意点や体の変化について詳しく見ていきましょう。
安定期=安心ではない?過信に注意

「安定期に入ったから、このタイミングで色々やっておこう!」と考える方も多いですが、油断は禁物です。
たしかに妊娠初期に比べて自然流産のリスクは大きく下がりますが、転倒や強い衝撃、感染症などによる切迫流産や早産のリスクは依然として存在します。
また、お腹が大きくなることでバランスを崩しやすくなり、転倒の危険が増します。さらに、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病といった妊娠特有の合併症のリスクもこの時期から高まってきます。
特に以下のような行動には注意が必要です。
- 身動きが取れないほどの満員電車での通勤
- 長時間の立ち仕事
- 激しい運動
- 長時間の移動を伴う旅行
- 睡眠不足が続く生活習慣
安定期とは、あくまで「体調が比較的落ち着きやすい時期」であり、完全に安全な時期ではありません。
無理をせず、自分と赤ちゃんの体調に耳を傾けながら日々を過ごすことが大切です。
安定期に入ると流産リスクは減る?

安定期に入ると流産のリスクは大きく下がります。
自然流産の80%以上は妊娠初期である妊娠12週までに起こっており、その多くは胎児側の染色体異常や遺伝子の異常などにより、妊娠の継続が難しかったことが原因です。
そのため、妊娠12週を過ぎると、胎児の先天的な要因による流産のリスクは大幅に減少し、体調も安定しやすくなります。
ただし、安定期であっても以下のような症状が見られる場合は注意が必要です。
- 不正出血が続く、または真っ赤な出血がある
- お腹が頻繁に張る、または痛みを伴う
- 胎動が急に減った、またはまったく感じられない(※胎動を感じる時期以降)
こうした症状が見られるときは、必要以上に不安になる必要はありませんが、念のため早めに産婦人科を受診することをおすすめします。
出血や痛みが強い場合は、切迫流産や早産の兆候である可能性もあるため、速やかに相談してください。
妊娠安定期に現れる体の変化

安定期に入ると、体調が落ち着いてくる一方で、妊娠中期特有のさまざまな身体の変化が現れ始めます。以下は多くの妊婦さんが経験する代表的な変化です。
- つわりの軽減
- 多くの方は吐き気や食欲不振が緩和し、食欲が戻ってくる
- 胎動を感じ始める
- 早い人では妊娠16週ごろから、一般的には18〜20週頃に胎動を感じ始める
- お腹のふくらみが目立ち始める
- 子宮が大きくなり、体つきも丸みを帯びてくる。妊娠5か月頃(16〜19週)には子宮が大人の頭ほどの大きさになるが、洋服を着ていると妊婦と気づかれないこともある
- 便秘・腰痛・むくみ
- ホルモンバランスの変化や血流の増加により、体調に波が出やすくなる
- 肌荒れ・髪のパサつき
- 皮脂バランスが変化することで、肌や髪のトラブルが増えることも
- 情緒の不安定さ
- ホルモンの影響で気分の波が出やすく、涙もろくなったり不安を感じやすくなることがある
つわりが落ち着く人が多い一方で、安定期に入って一度軽くなったつわりが再び強まることもあり、個人差があります。
また、初めて胎動を感じることで「赤ちゃんが本当にいる」と実感でき、喜びを感じる方も多いでしょう。胎動を感じたら、お腹にやさしく触れたり、声をかけてみることで赤ちゃんとのつながりを育むことができます。
妊娠中期になると、子宮の急激な成長に伴い、お腹の張りを感じることも増えてきます。痛みがなく、一時的な張りであれば生理的な変化のひとつですので、過度な心配は不要です。
しかし、お腹の張りに痛みが伴う場合や、出血があるときは、すぐに医師に相談するようにしましょう。
切迫早産などの可能性があるため、早めの受診が大切です。
妊娠安定期のお腹の重さ
妊娠6〜7か月頃になると、お腹のふくらみが大きくなり、重心が前方に移動することで転倒のリスクが高まります。
お腹の重さには、胎児の体重だけでなく、羊水、胎盤、拡張した子宮、血液や体液の増加分なども含まれており、合計で数キログラムにもなります。
以下は妊娠5〜7か月頃の、お腹全体の目安の重さです。
【妊娠安定期のお腹の重さの目安】
妊娠月数 | 胎児の重さ | お腹全体の重さ | 状態・リスク |
---|---|---|---|
5ヶ月 | 約150〜250g | 約1.5〜2.5kg | ・胎胎児が急成長を始め、子宮も大きくなり始める ・お腹のふくらみは目立ち始めるが、転倒リスクはまだ比較的低い |
6ヶ月 | 約300〜600g | 約2.5〜3.5kg | ・お腹の膨らみが明らかになり、動作に制限を感じ始める ・足元が見えづらくなるなど注意が必要に |
7ヶ月 | 約600〜1,000g | 約3.5〜4.5kg | ・バランスを崩しやすくなり、転倒リスクが上がる ・足元に注意し、ゆっくりとした動作を心がける |
妊娠安定期にやるべきこと7選【今がチャンス】

妊娠安定期(16〜27週頃)になると、つわりが落ち着き、体調も比較的安定してきます。
この時期は、心と体に余裕が出てきて行動の幅も広がるため、出産や産後に向けた準備を進める絶好のタイミングです。
この時期を上手に活用することで、妊娠後期や出産後の負担を軽くすることができます。
【妊娠安定期にやっておきたい7つのこと】
- 出産・育児準備
- 両親学級への参加
- 歯科健診を受ける
- 体重管理
- 適度な運動と生活リズムを整える
- 職場との調整(産休)
- 家族との調整
ここでは、妊娠安定期に取り組んでおきたい6つの大切な準備項目について、詳しく解説していきます。今だからこそできる行動を、1つずつ一緒に確認していきましょう。
① 出産・育児準備
妊娠後期に入ると、お腹が大きくなって体を動かすのが大変になりがちです。
そのため、体調が比較的安定している安定期のうちに、出産や育児に向けた準備を計画的に進めておくことが大切です。
以下のような準備は、できるだけ余裕のあるうちに取りかかっておくと安心です。
- 分娩入院に必要な持ち物の準備
- 出産予定の産院で指定された入院時に必要な持ち物(母子手帳、パジャマ、産褥ショーツ、赤ちゃん用肌着など)をリスト化して、早めに揃えておきましょう。
- 妊娠30〜34週頃までには準備完了しておくと、急な入院や早産の際にも安心です。
- ベビー用品・育児グッズのリストアップと購入
- 肌着、ロンパース、オムツ、おしりふき、ベビーバス、哺乳瓶など、生後すぐに使う基本アイテムを中心に揃えます。
- 大型用品(ベビーベッドやベビーカー、抱っこ紐)は部屋のスペースやライフスタイルに合わせて検討を。
- オンラインや店舗で実物を見て選ぶ時間が取れるのも、安定期のうちだからこそ。
- 赤ちゃんとの生活を見据えた家の片付けや動線の見直し
- 授乳やおむつ替えがしやすいように、動線を意識して家具の配置を見直すのもおすすめ。
- 寝室やリビングに赤ちゃんスペースをつくることで、産後の生活がぐっとスムーズに。
- 買い出しや炊事が大変になることを想定し、冷凍食品や日用品を多めにストックしておくと安心です。
出産・育児の準備は一度に完璧にしようとせず、「今できることから少しずつ」がポイントです。
早めに取りかかることで、出産間近や産後の不安や負担が軽減され、赤ちゃんとの生活を安心して迎える準備が整います。
② 両親学級への参加

両親学級(または母親学級)は、出産や育児に向けた知識と心構えを学ぶ場です。多くの施設では、妊娠5〜7か月頃の安定期に入った妊婦さんを対象に開催されています。
主に、以下のような内容を学べます。
- 分娩の流れや呼吸法の練習
- 赤ちゃんの抱っこやおむつ替え体験
- 産後の生活やパートナーとの役割分担
パートナーが妊娠後期の体型を模した「妊婦体験ジャケット」を着用し、妊婦の身体的負担を実感するプログラムが用意されていることもあります。
これは、妊婦さんの大変さを体感し、より深い理解と共感を育むきっかけとなります。
さらに、講師として産婦人科医や助産師などの専門職が参加するケースも多く、正しい知識を直接学べる貴重な機会でもあります。
パートナーと一緒に参加することで、夫婦間の理解や協力体制が強まり、出産や育児への不安も軽減されやすくなります。
これから親になるという自覚を持つうえでも、ぜひ参加を検討してみてください。
③ 歯科健診を受ける
妊娠中は、つわりによる歯磨きの困難や食生活の変化により、口腔内の環境が悪化しやすくなります。
加えて、女性ホルモンの影響で歯ぐきが腫れやすくなり、歯周病のリスクも高まります。
さらに、妊婦の歯周病は早産や低出生体重児との関連が報告されており、妊娠中の口腔ケアは非常に大切です。
お住まいの自治体によっては、母子手帳と一緒に歯科健診の受診票が配布されますので、対象期間内に一度は歯科検診を受けて、予防と早期発見に努めることをおすすめします。
④ 体重管理【妊娠中期に太りすぎないための工夫】

妊娠安定期に入ると、つわりが落ち着いて食欲が戻ってくるため、体重が急に増えやすい時期になります。
体重が増えすぎると、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、難産などのリスクが高まるため、注意が必要です。
【妊娠中期の体重増加を防ぐための6つのポイント】
1. 食事量と栄養バランスを意識する
- 妊娠中期の追加エネルギーは 1日あたり+250kcal(例:おにぎり1個分) が目安
- 炭水化物のとりすぎに注意し、野菜やたんぱく質をしっかり摂るようにしましょう
- 間食は、果物・ナッツ・無糖ヨーグルトなど質の良いものを選ぶと◎
2. 3食しっかり・ゆっくり食べる
- 血糖値の急上昇を防ぐことで脂肪の蓄積を抑えることができます
- 満腹感を得るには時間がかかるため、よく噛んでゆっくり食べる習慣を
3. 適度な運動を取り入れる
- ウォーキングやマタニティヨガ、ストレッチなど、1日30分を目安に体を動かしましょう
- 医師と相談のうえ、無理のない範囲で継続することが大切
- 運動は便秘予防やむくみの軽減にも効果的
4. 毎日の体重チェックを習慣にする
- こまめに記録することで、体重の変化に気づきやすくなります
- グラフで管理できるアプリなどを活用すると続けやすくなります
5. 塩分・糖分を控えめに
- むくみや高血圧を予防するためにも、薄味を心がけましょう
- ジュースや甘いお菓子のとりすぎにも注意が必要
6. 「食べすぎた日」は翌日でリセット
- 一度の増加に神経質になりすぎず、数日単位で調整する意識を持ちましょう
- 「食べて後悔」より「楽しんで調整」の気持ちが大切
妊娠中期の体重増加量は、月に1〜1.5kg程度が目安です。
「食べられるようになって嬉しい!」という気持ちと上手につきあいながら、楽しんで、無理のない体重管理を心がけましょう。
⑤ 適度な運動と生活リズムを整える

妊娠中も、無理のない範囲で体を動かすことはとても大切です。
適度な運動は血流を促し、便秘やむくみを予防するだけでなく、出産に向けた体力の維持にも役立ちます。
妊娠安定期におすすめの運動例:
- ウォーキング(1日20〜30分程度を目安に)
- マタニティヨガやストレッチ
- 妊婦向けスイミング(医師の許可を得たうえで)
こまめに有酸素運動を取り入れることで、運動不足の解消や気分転換にもつながります。
また、自治体の保健センターや妊婦健診を行っている医療機関などで、マタニティヨガや講座が開催されていることもあります。
必ずしも教室に通う必要はありませんが、興味がある方は内容やスケジュールを調べてみるとよいでしょう。
こうした教室への参加は、同じ時期に出産を迎える仲間と出会うきっかけになることもあります。
ただし、切迫早産の兆候がある場合や、胎盤の位置異常がある方は、運動を控える必要があります。
運動を始める前には必ず医師に相談し、指示に従いましょう。
また、体調がすぐれないときには無理をせずに休み、運動中にお腹の張りを感じた場合は、すぐに中断してください。
運動は、何よりも楽しみながらリフレッシュできることが大切です。
あわせて、規則正しい生活リズムを意識することも健康管理には欠かせません。
毎日決まった時間に起きて、しっかり眠るといった基本的な生活習慣を整えることで、自律神経や体調の安定につながり、妊娠中の心身を健やかに保ちやすくなります。
⑥ 職場との調整(産休・育休)
産休や育休の取得手続き、働き方の見直しは、安定期のうちに段階的に進めておくと安心です。
産休の取得時期や業務の引き継ぎ、在宅勤務や時短勤務の相談など、職場とのスムーズな調整はトラブル回避のカギとなります。
【職場調整の主なポイント】
1.産休・育休の取得時期を確認する
産前産後休業(産休)は、原則として「出産予定日の6週間前(妊娠9か月頃)(多胎妊娠は14週間前)」から取得できます。
職場の就業規則や人事制度を確認し、希望する取得期間を早めに相談しましょう。
2.業務の引き継ぎを計画する
可能であれば、妊娠7〜8か月頃までに引き継ぎを完了しておくことが理想的です。
上司と相談しながら、業務内容の棚卸しやマニュアル作成、後任者への引き継ぎを計画的に行いましょう。
3.働き方の調整を検討する(在宅勤務・時短勤務)
通勤が負担になったり、体調が安定しない場合は、医師からの指導書(母性健康管理指導事項連絡カード)を提出することで、時短勤務やテレワークが認められるケースもあります。
会社独自の制度や就業規則もあわせて確認しておきましょう。
4.妊婦健診のスケジュールを共有する
妊娠後期になると健診の回数が増えるため、あらかじめ通院予定を上司や同僚と共有しておくと、業務の調整がしやすくなります。
⑦家族との調整(具体的に伝える)
出産・育児は1人で抱えるものではありません。妊娠中の今のうちから、家族との協力体制を整えておくことで、産後の生活がよりスムーズになります。
1.家事分担の見直し
妊娠中から産後にかけては、体調や時間に制限が出てくることもあります。
パートナーや同居家族とあらかじめ話し合い、「料理は交代制」「掃除は週末にまとめて行う」など、具体的な分担を決めておくことが大切です。
2.育児グッズ・出産準備の役割分担
ベビー用品や産後に必要な生活用品の購入・準備・管理などを、誰がどのタイミングで担当するのかを明確にしておくことで、無用な混乱を避けることができます。
3.緊急時の対応方法を共有する
里帰り出産の有無や、急な体調変化・入院の際に誰がどう動くのかを家族間で共有しておくと、いざというときにも安心です。
4.出産後のサポート体制を整えておく
産後1か月健診までの期間は、体力的・精神的にも負担が大きくなりがちです。
パートナーの育休取得や、実家からのサポートの有無などをあらかじめ話し合っておくことが重要です。
妊娠中はホルモンの影響で、疲れやすくなったり気分が不安定になることがあります。
そんな時こそ、「察してもらう」よりも「具体的に伝える」ことが、家族の理解と協力を得る大きな助けになります。
妊娠安定期の過ごし方で注意したいポイント【NG行動まとめ】
妊娠安定期はお腹の赤ちゃんがぐんぐん成長する大切な時期です。
体調が安定しているからといって油断すると、母体や胎児に思わぬ負担をかけてしまうことがあります。
ここでは、妊娠安定期によく見られる避けるすべき行動を3つご紹介します。
激しい運動・重い荷物の持ち運びは控える
安定期に入り、体が軽く感じられることで、ついアクティブに動いてしまう方も少なくありません。しかし、強い運動や重たい荷物の持ち運びは、子宮の収縮やお腹の張り、腰痛の原因になることがあります。
とくに10kgを超えるような重い荷物を持ち上げるのは避け、体に負担をかけないように注意が必要です。
ウォーキングやマタニティヨガなどの軽い運動は推奨されますが、運動の強度や時間には個人差があるため、無理をせず、自分の体調と相談しながら行いましょう。
「マタ旅」旅行は慎重に計画を

妊娠中に「ふたりだけの最後の旅行を楽しみたい」と考える方も少なくありません。
旅行をするなら、体調が比較的安定している妊娠5〜7か月(16〜27週頃)が望ましいとされています。
ただし、妊娠中の旅行には体調への負担や予期せぬトラブルも伴うため、以下の点に注意して無理のない範囲で楽しむことが大切です。
【妊娠中の旅行で気をつけたい5つのポイント】
1.移動手段に配慮を
- 妊娠中は血液が固まりやすく、血栓(エコノミークラス症候群)のリスクが高まるため、長時間の移動ではこまめな休憩や足の運動が大切です。
- 車での移動は1〜2時間ごとに休憩を取りましょう。
- 電車移動の場合は、乗り降りがしやすいルート・時間帯を選びましょう。
- 飛行機を利用する場合は、航空会社によって診断書が必要な週数の規定があるため、事前に確認をしておきましょう(例:28週以降で診断書提出が必要な場合も)。
2.行き先は国内の近場を選ぶ
- 海外旅行は医療体制や長時間フライト、感染症リスクなどの面から妊娠中には適しません。
- できるだけ移動が短く、ゆとりあるスケジュールで楽しめる国内旅行がおすすめです。
3.無理なスケジュールや行動は避ける
- テーマパークでの激しいアトラクションや長時間歩き続けることは、体に大きな負担になります。
- 混雑する場所や天候の急変にも注意し、体調に応じて予定を柔軟に調整できるようにしておきましょう。
4.持ち物の準備をしっかりと
- 万が一の受診に備え、母子健康手帳と健康保険証は必ず持参しましょう。
- 医師に処方された薬がある場合は忘れずに持参し、市販薬の服用は控えてください。
5.緊急時に備えた情報収集を
- 旅行前に、宿泊先の周辺にある産婦人科や救急医療機関を調べておくと安心です。
- 万が一体調に変化を感じた場合は、まず主治医に連絡し、指示を仰ぎましょう。
妊娠中の旅行は、リフレッシュや思い出作りにもなりますが、体調と安全を最優先にしてください。
長時間の立ち仕事・ストレスもリスク要因
妊娠安定期は体調が比較的安定し、仕事にも集中しやすくなる時期ですが、長時間の立ち仕事や精神的ストレスの蓄積は、切迫早産や妊娠高血圧症候群などのリスクを高める可能性があります。
【注意すべきポイント】
- 立ち仕事をする場合は、1時間に1回は休憩をとりましょう。
- 足のむくみ対策には、着圧ソックスの使用や軽いストレッチが効果的です。
- 精神的なプレッシャーや不安は、早めに周囲と共有・相談しましょう。
とくに働いている妊婦さんは、上司や同僚に無理のない働き方を相談することが大切です。
医師の指導があれば、厚生労働省が定める「母性健康管理指導事項連絡カード」を活用し、勤務時間の短縮や作業内容の変更など、必要な配慮を職場に正式に求めることができます。
妊娠中は「がんばりすぎない」ことも大切な選択の一つです。
体と心の変化を理解し、自分のペースで無理なく働くことを大切にしましょう。
不正出血があった場合の原因と受診の目安

妊娠安定期でも不正出血が起こることはあり、その原因や症状によっては注意が必要です。
【不正出血の主な原因】
- 子宮頸管ポリープ・びらんなどの良性疾患
- 妊娠中は子宮頸部が敏感になっており、内診や性行為のあとに少量の出血が見られることがあります。
- 胎盤の位置異常(前置胎盤など)
- 胎盤が子宮口に近い位置にあると、症状がなくても突然出血することがあります。
- 切迫早産の兆候
- 出血とともにお腹の張りや下腹部痛がある場合は、子宮頸管が開き始めている可能性も。このような症状がある場合は、放置せずすぐに受診が必要です。
- 膣炎や性感染症などによる炎症
- おりものの色やにおいの変化、かゆみを伴う出血は、感染症が原因のことも。早めの治療が必要な場合があります。
【受診の目安とチェックポイント】
次のような症状がある場合は、すぐにかかりつけの産婦人科を受診しましょう。
- 鮮やかな赤い出血がある
- 出血がナプキン1枚に収まらない量
- 出血にお腹の張り、痛み、腰の重だるさを伴う
- 胎動が急に減った、感じられない
- 出血が何度も続く、または止まらない
以下のようなケースは様子見で大丈夫ですが、念のため医師に相談すると安心です。
【様子見でもよいケース(ただし医師相談は推奨)】
- 茶色っぽいおりもの程度の少量の出血
- 数分〜1時間程度で自然に止まった
- 内診・性行為・排便直後に少し出血した
不正出血があったからといって、すべてが異常というわけではありません。
とはいえ、妊娠中の出血は「軽い症状」か「医療的な対応が必要なサイン」かを自分で判断するのは難しいものです。
「迷ったら医師に相談」を基本に、ママと赤ちゃんの安全を守る行動を心がけましょう。
妊娠安定期によくある悩みQ&A
妊娠安定期は体調が落ち着いてくる時期ですが、一方で「これって大丈夫?」と不安を感じることも増えてきます。
ここでは、妊婦さんからよく寄せられる5つの代表的な質問とその答えをまとめました。妊娠生活を安心して過ごすための参考にしてください。
胎動がまだ感じられないけど大丈夫?
多くの方が妊娠18〜20週頃に初めて胎動を感じ始めますが、感じ方には個人差があります。
特に以下のような場合は、胎動を自覚するまでに時間がかかることがあります。
- 初産婦の方は、胎動に気づくのが遅れやすい傾向にあります
- 胎盤が前側(前壁)にある場合、胎動の刺激が吸収されやすく感じにくいことがあります
- 胎動の感覚は最初「腸の動き」や「ガスが動いている感じ」と似ているため、気づかずに過ごしている方も多いです
通常は21〜23週頃までに徐々に胎動を意識できるようになることが多いですが、妊娠24週を過ぎてもまったく胎動を感じない場合は、念のため、かかりつけ医に相談してください。
胎動の感じ方や頻度には個人差があるため、不安に思うことがあれば遠慮せずに医師に確認することが安心につながります。
お腹の張りや痛みが気になるときの対応は?
妊娠中期(16週〜)以降になると、子宮の成長に伴い、軽いお腹の張りを感じることがあります。
短時間でおさまり、痛みの規則性がなければ、生理的な反応で心配のないことが多いでしょう。
【こんなときは様子見でOK】
- 長時間歩いたり動いたあとに、一時的に張りを感じる
- 横になって休むと、自然におさまる
このような場合は、子宮が刺激を受けたことによる一過性の収縮と考えられます。
【次のような症状があれば、受診を検討してください】
- お腹の張りが1時間に4回以上ある
- 生理痛のような鈍い痛みが続く
- 出血や水っぽいおりもの(破水の可能性)がある
- お腹の張りが休んでも改善しない・どんどん強くなる
これらの症状は、切迫早産や前期破水などの兆候の可能性があるため、できるだけ早めにかかりつけ医へ相談してください。
妊娠安定期に飛行機に乗っても大丈夫?

妊娠中に飛行機を利用する場合は、妊娠安定期が最も適しているとされています。
妊娠初期はつわりの悪化や流産リスク、妊娠後期はお腹の張りや子宮の圧迫、早産の可能性が高まるため、移動は中期がおすすめです。
ただし、飛行機利用にはいくつかの注意点があります。
【妊娠中の飛行機利用で注意すべきポイント】
1. エコノミークラス症候群(血栓症)の予防
妊娠中は血液が固まりやすく、血栓ができやすいため、長時間の座位ではエコノミークラス症候群のリスクが高まります。
- 締め付けない服を着る
- 水分をこまめにとる
- 30分〜1時間に1回は軽く体を動かす、足首を回すなどの運動をする
- 可能であれば通路側の座席を選ぶ
2. 気圧変化による体調不良への配慮
通常の気圧変化が胎児に大きく影響することはないと考えられていますが、母体には頭痛・頻尿・腹部の違和感が出ることもあります。
- 体調が不安定なときは無理をしない
- マスクの着用やリラックスできる姿勢を心がける
3. 航空会社の搭乗ルールを確認
航空会社によっては、妊娠週数に応じて診断書や同意書の提出が必要な場合があります(例:妊娠28週以降〜)。
- ANA・JALなどの公式サイトで事前に確認を
4. 医師と相談してから決める
飛行機の利用は、胎児よりも母体の体調に大きく影響します。
持病や出血、張りがある場合はとくに注意が必要です。
- 搭乗前にかかりつけの産婦人科医に相談し、許可を得ておくことが基本です。
妊娠中の飛行機の利用は、胎児より母体への影響が大きいため、妊娠の経過や体調を考慮し、医師と相談した上で、慎重に決めることが大切です。
性行為はしても大丈夫?
妊婦さんの体調が良好であれば、性行為は基本的に問題ありません。ただし、注意すべきポイントもあります。
【妊娠中の性行為で気をつけたいこと】
- お腹が大きくなってくると、体位によっては圧迫感があるため、無理のない姿勢で行うことが大切です。
- 妊娠中は免疫力が低下し、性感染症にかかりやすくなるため、必ずコンドームを使用しましょう。
- 性交中にお腹の張りや気分不良を感じた場合は、すぐに中止し、体を休めてください。
- 張りが治まらない、出血がある、痛みを感じるといった症状が出た場合は、速やかに医師に相談しましょう。
【性行為を控えるべきケース】
以下のような医師の診断がある場合には、性行為は避けるべきです。
- 切迫早産と診断されている
- 前置胎盤や出血傾向がある
- 感染症の兆候がある
妊娠中は、体調の変化だけでなく、心の変化も起こりやすい時期です。妊婦さん本人が気乗りしないときは、無理をせず、パートナーに正直に伝えることが大切です。
大切なのは、お互いの気持ちを尊重し合いながら、安心できる関係を築いていくことです。
美容院やカラーリング、ネイルはOK?
妊娠中でも、美容院の利用やネイル、カラーリングは基本的に可能です。ただし、体調や時期によって注意が必要です。
【妊娠中に美容施術を受ける際の注意点】
- 薬剤のにおいに敏感になることがあるため、換気の良いサロンを選びましょう。
- ホルモンバランスの変化により、頭皮が敏感になり、しみたり、かぶれやすくなることがあります。
- 長時間同じ姿勢でいると、腰痛や足のむくみが悪化することがあります。休憩を挟むようにしましょう。
【ネイルについての注意】
ジェルネイルやマニキュアは可能ですが、出産時には医療行為(脈拍測定や酸素飽和度測定、点滴など)を妨げる恐れがあるため、妊娠後期〜出産前にはオフを勧められることもあります。
施術前には、妊娠中であることをサロンに伝え、体調に配慮した対応をお願いするようにしましょう。
妊娠安定期を快適に過ごすヒント【心のケアも大切】
妊娠安定期は、つわりなどの体調不良が落ち着き、比較的過ごしやすくなる時期ですが、ホルモンバランスの変化により気分が不安定になったり、漠然とした不安を感じたりすることもあります。
周囲からは「元気そうだね」と見られることが多い時期ですが、実は心のケアが特に大切なタイミングでもあります。
ここでは、心身ともに健やかに過ごすためのヒントとして、マタニティブルー対策や夫婦の過ごし方、日常に取り入れられるリラックス法をご紹介します。
マタニティブルー対策と夫婦のコミュニケーション
妊娠安定期は、ホルモンバランスの変化により感情の起伏が生じやすい時期でもあります。
「理由はないけれど不安になる」「些細なことでイライラしてしまう」など、気持ちの波に戸惑う方も少なくありません。
こうした不安やストレスを溜め込まず、パートナーと率直に気持ちを共有することが大切です。
【夫婦でできるコミュニケーションの工夫】
- 不安な気持ちや戸惑いは、言葉にして伝えるようにする
- 「ありがとう」「助かったよ」と感謝を言葉で表す
- 家事や出産後の育児について、事前に一緒に計画しておく
日常の中で「お互いの気持ちを話し合う時間」を定期的に持つことで、安心感や信頼感が育まれ、心の安定にもつながります。
無理に前向きになる必要はありませんが、パートナーとのコミュニケーションは、妊娠期間を心地よく過ごすための大切な支えになります。
思い出作りに「マタニティフォト」のすすめ

妊娠安定期には、出産準備を進めながら、妊娠中ならではの思い出作りを楽しんでみてはいかがでしょうか。
体調が比較的落ち着くこの時期は、夫婦での記念撮影や外出など、「ちょっとした非日常」を楽しむ絶好のタイミングです。無理のない範囲で、気分転換にもなる体験を取り入れてみましょう。
【マタニティフォトの魅力】
- 撮影時期の目安:お腹が目立ちはじめる妊娠24〜28週頃がベスト
- 撮影スタイル:スタジオでの本格撮影はもちろん、自宅でのセルフ撮影もOK
- おすすめポイント:パートナーや上の子、家族と一緒に撮ることで、記念になるだけでなく家族の絆を感じられる時間になる
最近では、プロのカメラマンによるスタジオ撮影を選ぶ方も増えており、マタニティフォトは人気のイベントとなっています。妊娠は人生でも数少ない特別な時期。体調が良い安定期に、かけがえのない姿を記録として残しておくのもおすすめです。
将来、子どもが成長したときにマタニティフォトを見せることで、「お腹の中にいたときから大切にされていた」と感じてもらえるかもしれません。
外部スタジオでの撮影を検討する場合は、妊婦さんの体調を最優先にし、撮影時間や移動に配慮したスケジュールを組みましょう。
心と体を整えるおすすめのリラックス法
妊娠中の毎日を快適に過ごすためには、心と体をリラックスさせる時間を意識的に持つことが大切です。以下のような方法を日常に取り入れてみましょう。
音楽を聴く
自然音やクラシック、ヒーリングミュージックは気分を落ち着かせる効果があり、胎児との情緒的なつながりを育む「胎教」としても取り入れられることがあります。
アロマを楽しむ
妊娠中でも比較的使用しやすいとされるラベンダー、オレンジスイート、ゼラニウムなどの精油を、ディフューザーやティッシュに1滴垂らす方法で試してみましょう。
※精油によっては妊娠中に避けるべきものもあるため、使用前に医師やアロマセラピストに相談してください。
ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる
38~40度くらいのぬるめのお湯に10~15分程度浸かることで、リラックスや安眠効果が期待できます。ただし、長時間の入浴や熱すぎるお湯は避けてください。
毎日数分でも「自分をいたわる時間」をつくることで、不安やストレスを軽減し、穏やかな気持ちで妊娠期間を過ごすことができます。自分に合った方法を見つけて、心と体のバランスを大切にしましょう。
まとめ|妊娠安定期は「安心の準備期間」として活用しよう

妊娠安定期は、一般的に妊娠16週から27週頃を指し、体調が比較的落ち着いてくる時期です。つわりが落ち着いたり、胎動を感じ始めたりと、妊娠生活に前向きな気持ちが芽生える方も多いでしょう。
とはいえ、「安定期=油断してよい」わけではありません。
この時期こそ、無理をせず心と体を整える準備期間として意識して過ごすことが大切です。
- 出産や育児に向けた準備を少しずつ始める
- 食事や睡眠など生活リズムを整えて体力を養う
- 夫婦で不安や喜びを共有し、絆を深める
- 気になる体調の変化や疑問は、早めに医師に相談する
妊娠安定期は、「赤ちゃんと静かに向き合える貴重な時間」でもあります。
あなたと赤ちゃんにとってこの時期が、穏やかで笑顔に満ちた毎日になりますように。