高齢出産とダウン症の確率

笑顔のダウン症の赤ちゃん

高齢出産では胎児の染色体異常が増加し、その中でも特にダウン症(21トリソミー)の頻度が高くなります。

一般的に35歳以上ではじめて出産することを高齢出産といいますが、35歳を過ぎると急激にダウン症の子が生まれる確率が高くなるのでしょうか?

また20代ではどうなのでしょうか?

今回は、女性の出産年齢とダウン症の子が生まれる確率について解説いたします。

高齢出産とダウン症の確率

出産年齢が上がると配偶子が作られる過程での細胞分裂が正常に行われず染色体の数の過不足が起こりやすくなるため、ダウン症の子が産まれる確率も高くなります。

【女性の出産時年齢とダウン症の子が生まれる確率】

女性の出産時年齢とダウン症の子が産まれる確率
Hook EB. (1981). Rates of chromosome abnormalities at different maternal ages. Obstet Gynecol , 58, 282-5. PMID: 6455611
Hook EB, Cross PK & Schreinemachers DM. (1983). Chromosomal abnormality rates at amniocentesis and in live-born infants. JAMA , 249, 2034-8. PMID: 6220164
Schreinemachers DM, Cross PK & Hook EB. (1982). Rates of trisomies 21, 18, 13 and other chromosome abnormalities in about 20 000 prenatal studies compared with estimated rates in live births. Hum. Genet. , 61, 318-24. PMID: 6891368

【女性の出産時年齢とダウン症の子が生まれる確率】

女性の出産時年齢とダウン症の子が産まれる確率

上の表の通り30歳あたりから緩やかに上昇し、35歳あたりから上昇速度が速くなり、40代では加速度的に増加します。

20代でのダウン症の確率

20代での出産でダウン症の子が生まれる確率は1,000人に1人以下です。

20代は生殖機能が成熟し、女性ホルモンの分泌も盛んで妊娠・出産に適した時期と言えます。

それでも、赤ちゃんがダウン症やその他障害を持って生まれてくる確率は0ではありません

これは先ほどご説明した、配偶子が作られる過程での不分離は確かに高年齢化によって頻度は高くなりますが、年齢に関係なく発生する可能性があるからです。

また、染色体異常の多くは偶発的に発生します。

これは特定の原因に依存せず、自然発生的なものであるため、20代でも起こり得るのです。

30歳でのダウン症の確率

30歳での出産でダウン症の子が生まれる確率はおよそ952人に1人です。

卵巣機能や卵子の状態、女性ホルモンの分泌量などを考えると30代前半頃までが妊娠しやすく、出産に適した時期と言えるでしょう。

34歳での出産でダウン症の子が生まれる確率はおよそ500人に1人で、20歳と比べると倍程度の確率となりますが、それでも全体でみると0.2%です。

35歳でのダウン症の確率

35歳での出産でダウン症の子が生まれる確率はおよそ385人に1人です。

35歳ごろから卵巣機能や女性ホルモンの分泌量が徐々に低下し、妊娠しにくくなったり卵子の老化による流産や染色体異常などの頻度が増えてきます。

20歳での出産と比べると35歳ではダウン症の頻度がおよそ4.3倍に増えます。

38歳でのダウン症の確率

38歳での出産でダウン症の子が生まれる確率はおよそ175人に1人です。

35歳での出産と比べるとおよそ2倍の確率となりますが、全体でみると0.6%程度です。

これを高いとみるかそうでもないと捉えるかは人それぞれですが、35歳を過ぎて妊娠を望む場合は1年1年を大切にするべきです。

40歳でのダウン症の確率

40歳での出産でダウン症の子が生まれる確率はおよそ106人に1人で、全体の約1%です。

20歳での出産と比べると40歳ではダウン症の頻度がおよそ15.7倍に、35歳と比べてもおよそ3.6倍に増えており、この5歳の違いがいかに大きいかが分かりますね。

43歳でのダウン症の確率

43歳での出産でダウン症の子が生まれる確率はおよそ50人に1人で、全体の約2%にまで上昇します。

20歳での出産と比べると43歳ではダウン症の頻度はおよそ33.3倍に、35歳と比べるとおよそ7.7倍に、40歳と比べても2倍以上になります。

45歳でのダウン症の確率

45歳での出産でダウン症の子が生まれる確率はおよそ30人に1人で、全体の約3%です。

20歳での出産と比べると45歳ではダウン症の頻度がおよそ55.6倍に、35歳と比べるとおよそ12.8倍に、40歳と比べると3.5倍に上昇します。

妊娠中のダウン症の検査

妊娠中は主に妊婦健診にて、さまざまな検査を行います。

その中の超音波検査でNT(胎児の首のうしろのむくみ)を指摘されることがあり、この部分の厚みが一定値以上あるとダウン症などの染色体異常がある可能性が上がります。

より詳しい胎児スクリーニング検査としては主に以下のものがあります。

【妊娠中のダウン症の検査】

  • 胎児精密超音波検査
  • 母体血清マーカー検査(クアトロテスト)
  • コンバインド検査
  • NIPT
  • 羊水検査(確定診断)
  • 絨毛検査(確定診断)

スクリーニング検査とはダウン症の疑いがある児を発見するためのものなので、検査結果は「異常がある確率が295分の1」、「陽性(疑いあり)」などの形で表されます。

ダウン症の疑いが持たれた場合は羊水検査や絨毛検査などの確定検査で調べることになります。

それぞれの検査で得意不得意がありますので、検査内容や精度、検査費用や現在の妊娠週数、結果が出るまでの日数などを総合して受ける検査(もしくは受けないこと)を決めます。

出生前診断の種類と特徴についてはこちらのコラムをご参考にしてください。

まとめ

心臓手術の傷跡がある笑顔のダウン症の赤ちゃん

高齢出産ではダウン症の子が生まれる確率が高くなり、35歳を過ぎたあたりからその確率はぐんぐん上昇します。

ダウン症のある赤ちゃんの成長と特徴についてはこちらのコラムをご参考にしてください。


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