胎児に影響を与える時期

胎児に影響を与える時期

妊娠中に食べたものや飲んだもの、行動の一部は胎児に形態異常や流産を起こすリスクを高め、特に特定の時期においてその影響が大きくなります。

その中でも妊娠初期は胎児の重要な器官が作られる時期であるとともに、胎盤が未完成のためより注意する必要があります。

今回は、妊娠時期別に胎児にどのような影響が起こりやすいかについてご紹介いたします。

妊娠初期:形態異常

神経管閉鎖障害

胎児の脳や心臓、中枢神経などの重要な臓器や器官の形成は妊娠4週~7週の妊娠初期に始まります。

脳や脊髄のもととなる器官である「神経管」は妊娠6週ごろに完成します。

多くの女性が妊娠に気づく妊娠4週~5週ごろにはすでに赤ちゃんの神経管は作られ始めており、妊娠7週ごろには脳や脊髄などの神経細胞の約8割が作られます

赤ちゃんにとって大切なこの時期に葉酸が不足すると「神経管閉鎖障害」の発症リスクが高まります。

神経管閉鎖障害では脊髄が損傷し運動障害や知覚障害が起こったり、脳がうまく作らない状態が起こります

そのほか妊娠前からの過度なアルコール摂取が原因で脳の障害による多動学習障害や顔を中心とする形態異常が起こる可能性が高まります。

葉酸の摂取や禁酒禁煙は、妊活中から心がけることが望ましく、胎児に形態異常が起こる可能性の一つを減らすことができます。

妊娠初期:流産

流産のイメージ

流産の80%以上は妊娠12週までに起こっており、この時期の流産の多くは胎児の染色体異常や遺伝子の病気などが原因のため防ぐことはできず、ママの生活習慣や食べていたものなどは影響しません。

一方で妊娠12週以降の流産はママの身体のトラブルが関係するケースが増えます。

胎盤が完成する妊娠16週ごろまでの間は胎盤のフィルターとしての役目がまだ上手く機能していませんので、ママの血液中の物質は胎児まで移行してしまいます。

分子量が大きい物質は胎盤を通り抜けることができないため、細菌やウイルス、一部の薬の成分などは本来は胎盤でシャットアウトされますが、胎盤の機能が未熟な妊娠16週未満では赤ちゃんまで有害な物質が届いてしまい、流産の危険性があるので注意が必要です。

そのほか流産の原因として考えられるのは、感染症や子宮の異常、妊娠高血圧症候群妊娠糖尿病などの合併症があります。

妊娠12週までの流産は多くの場合、努力や気をつけることで防げるものではありませんので、神経質にならずに心穏やかに過ごしましょう。

流産しやすい行動としては、太り過ぎる、ストレスが多い生活、手洗いうがいをおろそかにする、などがあります。

太り過ぎやストレスの多い生活は妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病につながりやすく、手洗いやうがいをおろそかにすることは感染症のリスクが高まります。

流産については、「コラム:流産の確率はどれくらい?原因と流産しやすい行動について」もご参考にしてください。

妊娠中期~後期:早産

新生児集中治療室にいる未熟児

早産では在胎週数が短く早く産まれるほど、赤ちゃんの体は未発達なため生存率は下がり障害が起こる可能性が高くなります。

正期産に近い妊娠30~31週(妊娠8ヶ月)の早産での胎児生存率は97.5%ですが、妊娠22~23週(妊娠6ヶ月)の早産では66.1%と大きく下がります。

早産も流産と同じように、妊娠高血圧症候群や感染症のほか、喫煙や妊婦さんの痩せすぎが原因となり得ます。

喫煙や受動喫煙は常位胎盤早期剥離の原因となったり、胎児の発育不全や生まれた後の乳幼児突然死症候群のリスクを増加させます。

早産の兆候としては下腹部の張りや痛み、おりものの変化や性器出血などがあります。

「いつもと違うな?」と思ったら、我慢せずにすぐに担当医にご相談ください。

妊娠中にリスクのない時期はない

一般的に妊娠5ヶ月になると「安定期に入った」と言われ、胎盤が完成し流産のリスクが低くなるとともに、つわりも軽減するため母子ともに安定した状態となります。

「安定期に入ったら旅行でもしよう」と考えているご夫婦もいらっしゃるかもしれませんが、「安定期」とは妊娠期間中の中では比較的落ち着いている時期であって、いつ何が起こっても不思議ではありません。

旅行も良いですが、万が一を想定して移動手段や移動時間に気を配る、旅先での病院の下調べなどしっかり準備を整えて、旅先でも体調優先にするようにしましょう。

普段とは違う行動や食事になりますので体調の変化も起こりやすくなります。

今一度、それでもこのタイミングで行くべき旅行なのか考え直してみるのも一案です。

感染症による影響

昨今はこまめな手洗いやうがい、アルコール消毒などの習慣が身についているとは思いますが、妊娠中は徹底できているか今一度確認しましょう。

妊娠している間は免疫力が低下するため、重症化しやすくなります

感染経路はさまざまですが、風疹や水疱瘡など飛沫感染するものや、梅毒やクラミジアなど性的接触で感染するものなどがあります。

クラミジアや淋菌は子宮内感染の恐れがあり、赤ちゃんへの感染のほか早産のリスクも高くなります。

感染症対策はママ本人だけでなく、同居のご家族も団結してしっかり行いましょう。

ママの食事による影響

妊娠中の食べ物

妊娠中に絶対に食べてはいけないというものはそれほど多くありませんが、食べる量や食べ方に気をつけるべきものがいくつかあります。

まず絶対に摂ってはダメなものとして、アルコールがあります

妊娠初期の飲酒は胎児の顔面を中心とする奇形などの先天性の異常や、脳の障害が起こる可能性が高くなり、さらに流産や早産のリスクも高くなります

妊娠が分かった時点ですぐにやめるべきです。

生肉や加熱殺菌していないチーズはできるだけ避けましょう。

生ハムや牛肉のたたきなど、加熱が不十分な肉はトキソプラズマ原虫やリステリア菌に感染する恐れがあり、流産や早産の原因となったり、赤ちゃんの脳や目に障害が起こる可能性があります

加熱殺菌されていないチーズとは、伝統的な製法のカマンベールチーズやブルーチーズのことをさし、リステリア菌に感染する恐れがあります。

お刺身などの生魚や生卵は、鮮度や食べる量に気をつけましょう。

寄生虫やサルモネラ菌による食中毒の恐れがあり、激しい下痢や嘔吐によって子宮収縮が起こる可能性があります

本マグロやマカジキなどの大型魚は加熱したとしても、生物濃縮によって胎児に影響を与えるレベルの水銀が含まれている可能性があるため、食べる際は少量にとどめておきましょう。

水銀は胎児の中枢神経系の発達に影響する恐れがあります

コーヒーやエナジードリンクに含まれるカフェインは少量なら問題ないとされていますが、摂り過ぎると発育不全や流産のリスクが高くなる可能性があります

コーヒーなら1日1杯程度にしておきましょう。

妊娠中の食事については、「コラム:妊娠中の食べ物のポイント!」もご参考にしてください。

服薬による影響

妊娠中の薬の服用は常に確認する必要がありますが、その中でも特に妊娠初期は胎児の重要な器官が形成される時期であるため、薬による影響を受けやすいとされており形態異常など先天性異常のリスクが高くなります

また、妊娠中期に入ってからも、非ステロイド性抗炎症薬や抗生物質などは胎盤を通過して胎児まで届いてしまうため発育不全や、赤ちゃんが生まれたあとの糖尿病や高血圧などのリスクを高めます。

薬のほか漢方やサプリメントも慎重になるべきです。

自己判断で服薬するのではなく、必ず薬剤師や医師に相談することが重要です。

まとめ

妊娠12週までの初期流産の多くは防ぎようがありませんので、ご自身を責めたりしないでください。

ただし、妊娠前から妊娠初期にかけて適正に葉酸を摂取することで、神経管閉鎖障害のリスクを50~70%減らすことができるといわれていますので、妊活中の人は意識して摂ることが推奨されています。

妊娠中は免疫力が低下しますので、手洗いやうがい、人混みを避けることなどを再度徹底しましょう。

同じ理由で、食事は生ものを避けることはもちろん、トロトロのオムライスや炎天下で販売しているお弁当などにも注意しましょう。

母子ともに健やかな妊娠生活をお祈りいたします。

胎児の病気や染色体異常について調べる検査についてはこちらもご参考にしてください。


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