
妊娠が判明し喜びいっぱいの矢先、「切迫流産」だと診断されたら、流産してしまうのかと不安でいっぱいになりますね。
原因はなんなのか、そもそも切迫流産とはなんなのか、症状や予防のためにできることなどについてご紹介していきます。
切迫流産とは

切迫流産とは妊娠22週未満で性器出血や下腹部の痛みがあり、流産のリスクがある状態のことをいいます。
一口で切迫流産と言ってもすぐに入院が必要なケースから経過観察のみで済むケースなど、その程度は人それぞれです。
少量の出血があっても子宮頸管が開いてなければ妊娠の継続が可能です。
切迫流産と診断されても、70%くらいは無事に出産しています。
安心はできませんが、すべての人が流産しそうというわけではありません。
流産との違い
流産とは妊娠22週未満におなかの赤ちゃんが亡くなることをいいます。
医療機関で妊娠が確認された人のうち15%前後の確率で流産しておりけっして珍しいことではありません。
流産の8割以上は妊娠初期である妊娠12週までに起こっており、ほとんどの場合防ぎようのないものです。
切迫流産との決定的な違いは、切迫流産は赤ちゃんの心拍があり生きているということです。
流産では亡くなった赤ちゃんがママのおなかの中にいるか外に出ているかは関係ないため、子宮が収縮を開始していてまさに流産が進行中という状態から、出血や腹痛などの自覚症状がないままおなかの中で亡くっている状態などさまざまあります。
流産については、「コラム:流産の確率はどれくらい?原因と流産しやすい行動」もご参考にしてください。
切迫流産の原因
妊娠22週未満で出血と腹痛があると切迫流産とされますが、それらの症状が起こる原因はさまざまあります。
赤ちゃんを包む膜である胎嚢(たいのう)の周りに血液がたまり血腫になった状態を「絨毛膜下血腫」といい、妊娠初期や中期の出血の原因として挙げられます。
そのほか子宮のトラブルや感染症なども出血の原因として考えられます。
流産の予兆だとすれば妊娠12週までの早期流産はほとんどの場合、胎児の染色体異常や遺伝子の病気などが原因で偶然に起こるものです。
ただし原因がはっきりしないこともあります。
切迫流産の症状

切迫流産の症状は性器からの出血と下腹部の痛みです。
流産にかかわらず妊娠初期に、少量の出血や腹痛が起こることはよくあります。
すべての妊婦さんのうち、3~5人に1人はこのような出血がみられます。
また正常な妊娠経過でも流産とは関係なく「着床出血」と呼ばれる出血や、胎盤になる組織の周囲から出血することなどがあります。
妊娠中にはホルモンのバランスが変化するため、腰痛や軽い腹痛が起こりやすい状態になっています。
生理痛のような鈍い痛みからピリピリとする腹痛まで様々ですが、症状を感じたとしても流産とは限りません。
必要以上に不安を感じることはありませんが、症状が続いたり痛みが強い、真っ赤な血が出る場合などはかかりつけ医にご相談くださいね。
出血量が多く痛みが強いほど、流産の可能性が高くなります。
切迫流産を防ぐには?
妊娠初期の流産の多くは残念ながら防ぐことができないため、過度に神経質にならずストレスを抱えないようにしましょう。
早期流産の原因のほとんどは赤ちゃん側の問題ですが、お母さん側の原因を減らすために以下のことに注意しましょう。
感染症予防に努める
妊娠初期に風疹などの感染症にかかると流産になる可能性がありますので、人混みを避ける、手洗いうがいをしっかりするなど予防に努めましょう。
妊娠前に風疹抗体検査を受けておくとよいでしょう。
妊娠前に子宮の検査をする
妊娠前に出来ることとしては、子宮の異常が流産の原因となり得ますので、超音波による子宮奇形や子宮筋腫、子宮内膜症などの検査をしておくとよいでしょう。
切迫流産の治療
治療の基本は「安静にする」ことです。
妊娠12週未満の流産は防ぐことができないため薬はあまり使われませんが、妊娠12週以降は子宮収縮抑制剤を用いることもあります。
妊娠初期に出血や腹痛があり切迫流産と診断されたとしても正常妊娠であることも多く、赤ちゃんが元気で子宮頸管が閉じていれば自宅で安静にし経過観察となります。
自宅安静は基本的に常にベッドで横になっている必要はなく、家事などの日常生活は可能です。
重いものを持ったりせず、動くときは休憩をはさみながら身体に負担がかからないようにしましょう。
とは言っても、どの程度の安静が必要かはママとおなかの赤ちゃんの状態にもよりますので、生活環境なども踏まえて不安な点は医師にご確認くださいね。
まとめ

妊娠22週未満で出血や下腹部の痛みがあると切迫流産とされますが、そのうちの70%くらいは無事に出産しています。
妊娠12週を過ぎていれば切迫流産と診断されていても妊娠を継続できる可能性は高くなります。
切迫流産を根本的に治療する方法はありませんが、安静にして無理のないようお過ごしくださいね。
胎児に起こる主な染色体異常や先天性疾患の頻度についてはこちらをご参考にしてください。