
妊娠の可能性がある女性にとって、妊娠すると起こる体の変化は一刻も早く感じ取りたいですよね。
妊娠に気づくのはいつ頃なのでしょうか?
ここでは妊娠初期に見られる症状の特徴のほか、生理前の症状と見分けるポイント、妊娠初期に気をつけることなどについてご紹介しています。
妊娠に気づくのはいつ?
多くの女性が「もしかして妊娠したかも?」と気づくのは、生理がいつもより遅れていることや普段とは違う体調の変化を感じたときです。
性行為をして卵子と精子が出会い受精すると、受精卵は約1週間かけて子宮へ移動し、無事に子宮内膜へ着床できると妊娠成立となります。
多くの女性が「だるい、ねむい、下腹部が痛い」などの妊娠初期症状を感じるようになるのは着床のさらに1~2週間後からで、つわりが始まるのもこの頃からです。
ただし、着床する頃に「妊娠超初期症状」としておりものの変化や着床出血などで何らかの変化を感じる方もいます。
【妊娠に気づくタイミング】
受精(性行為)後約1週間:おりものの変化、着床出血
受精(性行為)後約2~3週間:月経の遅れ、妊娠初期症状
妊娠できるタイミングは決まっている!排卵日
女性の体は365日いつでも妊娠できるわけではありません。
精子と卵子が出会うためには排卵に合わせて性行為をする必要がありますが、女性の体内で排卵が起こるのは生理が始まった日から数えておよそ2週間後になります。
排卵された卵子の寿命はおよそ24~48時間です。
精子の寿命はおよそ3~5日です。
つまり、排卵日の2~3日前くらいから性交渉をすると妊娠の可能性が高くなります。
排卵が起こるタイミングは個人差があるため、ご自身のリズムを知るためには基礎体温グラフをつけてみると良いでしょう。
排卵日については、「コラム:妊娠したかも?基礎体温の変化」もご参考にしてください。
妊娠開始日はいつ?

ところで、妊娠の開始日というのはいつなのでしょうか?
受精したとき?着床したとき?性行為があった日?
妊娠が成立する条件は「着床」にありますが、妊娠期間としては最終月経開始日を「妊娠0週0日」として数えます。
まだ妊娠していないのに「妊娠〇日」なんておもしろいですよね。
【妊娠開始日】
妊娠0週0日:最終月経開始日
妊娠2週前後:排卵、性行為、受精
妊娠3週頃:着床(妊娠成立)、おりものの変化、着床出血
妊娠4週頃:次の生理予定、妊娠初期症状
妊娠週数の数え方については、「コラム:意外と間違いやすい!妊娠週数の数え方と出産予定日の計算」もご参考にしてください。
妊娠初期症状のセルフチェックリスト
妊娠初期とは妊娠開始から妊娠4ヶ月(妊娠15週)までの期間をさします。
妊娠するとホルモンバランスや分泌量の変化などにより、女性の体にはさまざまな症状が現れます。
【よくある妊娠初期症状のセルフチェックリスト】
- 常にねむい
- なんとなくだるい
- 熱っぽい
- 胸が張る、痛い
- おなかが張る、痛い
- 腰が重くて痛い
- 頭が痛い
- 頻尿
- 便秘、下痢気味
- 鼻水が出る
- 唾液がやたらと出る
- 胃がムカムカする
- 吐き気がある
- 暴飲暴食してしまう
- 食欲がなくなる
- 今まで平気だった臭いが気になる
- 食べたいものが急に変わった
- 肌荒れする
- 感情の起伏が激しい(イライラ、怒りっぽい、泣く、落ち込む)
- むくむ
- めまい、立ちくらみ
- おりものがいつもの生理前と違う
- すぐ息切れする
- 生理の遅れ
- 基礎体温が高いまま
すべての症状が現れるわけではありませんが胸の張りやお腹の痛み、嗅覚や味覚の変化や消化器系のトラブルのほか、情緒不安定になるなど生理前によく見られる症状が妊娠初期にもよく見られます。
また、まれにある妊娠初期症状として生理ではない感じの少量の出血が見られることがあります。
生理の遅れ
生理周期が毎月一定の人は、生理予定日から1週間以上過ぎてもこない場合は妊娠の可能性が高いといえます。
多くの女性が妊娠の可能性に気づくのが生理の遅れです。
生理については、「コラム:生理がこない原因とは?整えるポイントと妊娠の可能性」もご参考にしてください。
おりものの変化

妊娠すると、おりものの状態がいつもの生理前とは異なる特徴を見せます。
生理前のおりものは白っぽく粘り気があり、量はそれほど多くなく、酸っぱいようなにおいが強くなる傾向にあります。
一方で妊娠初期のおりものは白っぽいもしくは黄色っぽく、量が増えてさらさらかクリーム状をしている傾向にあります。
おりものについては、「排卵日や妊娠によって変化するおりものの特徴!」もご参考にしてください。
少量の出血

生理予定日の数日前に出血があると「あれ?いつもより早く生理がきた?!」と思うかもしれませんが、それは生理の出血ではなく「着床出血」かもしれません。
着床出血とは受精卵が子宮の中に着床するときにおこる出血のことをいい、妊娠初期に起こる出血で一番多い原因です。
タイミングは生理予定日の1週間前から前後頃になるため、「生理がきたのにそのすぐあとに妊娠が発覚した」というケースは、生理ではなく着床出血だったと考えられます。
見分けるポイントとしては、着床出血は1~2日ほどで出血量も少なく、血がサラサラしているのが特徴です。
ただし着床出血はすべての人に見られるわけではなく4人に1人以下だといわれており、妊娠には影響しませんのであってもなくても心配する必要はありません。
着床出血については、「コラム:妊娠のサインの着床出血はいつおこるのか?生理の出血との違い」もご参考にしてください。
妊娠超初期症状とPMSを見分けるポイント!
PMS(Premenstrual Syndrome)とは「月経前症候群」のことで、生理前に起こる精神的・身体的な症状のことをいいます。
生理が始まる1~2週間前から症状が現れて3~10日ほど続きますが、生理が始まると症状が治まるのが特徴です。
妊娠した場合に多くの人が「あれ?妊娠したかも?」と気づくのは妊娠4~5週頃ですが、それより早い妊娠超初期と呼ばれる時期に何らかの変化を感じることがあります。
お腹や胸が張る、イライラしたり気分が落ち込むといった症状は妊娠超初期でもPMSでも起こるうえに、次の生理予定日は妊娠4週頃に当たるためタイミングもとても似ており両者は見分けがつきにくいのですが、違いはあるのでしょうか?
【妊娠超初期症状とPMSを見分けるポイント!】
- おりものの変化
- 着床出血
妊娠していないPMSの場合の生理前はおりものが白っぽく粘りがあり、量はそれほど多くありません。
一方で、妊娠した場合の生理前にあたる時期でのおりものはクリーム状になり、量も明らかに増えたと感じることが多いようです。
着床出血は必ずしもあるわけではありませんが、生理の出血とは違い少量の出血が1日ほどで終わり、色も薄めか茶褐色です。
PMSについては、「コラム:PMSとは?PMSと妊娠超初期症状の違い」もご参考にしてください。
「妊娠したかも?」と思ったらすること

妊娠の可能性があったら、まずは妊娠検査薬で検査をしてみましょう。
妊娠検査薬は妊娠すると分泌される「hCGホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」を感知することで妊娠した可能性を調べており、あくまで「妊娠の可能性を知る」ためのものですが、正しく使用すれば99%の精度で判定できます。
妊娠検査薬で陽性反応が出たら、早めに病産院で診察を受けましょう。
妊娠検査薬
妊娠検査薬は、「次の生理予定日の1週間後」からの使用を多くのメーカーでは推奨しています。
早ければ次の生理予定日の数日前から陽性反応を示すこともありますが、正しく判定できずに「どっちなんだろう?」と迷うこともありますので、「次の生理予定日の1週間後」「性行為があった日から約3週間後」を目安に妊娠検査薬はお使いくださいね。
妊娠検査薬については、「コラム:妊娠検査薬はいつから反応するの?陰性でも妊娠している可能性は?」もご参考にしてください。
病院へ行くタイミング

妊娠検査薬が陽性だった場合は妊娠している可能性が高いですが、妊娠していないのに陽性となるケースや、陽性でも妊娠が継続できないケースもありますので、早めに病産院で診察を受けましょう。
病産院で正常妊娠を診断するためには、超音波検査(エコー検査)で胎児が入る「胎嚢(たいのう)」と「心拍」を確認する必要があります。
胎嚢(たいのう)が確認できるのは妊娠4~5週頃で、心拍を確認できるのは妊娠6週頃になります。
受診する目安としては妊娠検査薬を適切に使用していれば妊娠5週頃になっていますので、検査薬で陽性の反応が出たら早めに受診するようにしましょう。
妊娠初期に気をつけることは?

妊娠が分かったらおなかの赤ちゃんやご自身のために気をつけることはなんでしょうか?
【妊娠初期に気をつけるポイント】
- アルコール
- タバコ
- カフェイン
- 食生活
- レントゲン
- 薬の服用
- 感染症対策
妊娠中は免疫力が落ちるため、妊娠前は気にしていなかったことにも注意を払う必要があります。
アルコールとタバコは妊娠が分かった時点できっぱりとやめて、食生活はできることから始めてみましょう。
アルコール
妊娠中の飲酒は少量でもおなかの赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性があります。
アルコールは胎盤を通しておなかの赤ちゃんにも影響するため、低体重などの発育不全や顔を中心とする形態異常、脳の障害による多動学習障害といった「胎児性アルコール症候群」になる可能性が高まります。
そのほか妊娠高血圧症候群や早産、癒着胎盤などのリスクも高くなります。
これらは飲酒量や飲酒時期、摂取するアルコールの種類に限らず起こる可能性がありますので、妊娠が分かった時点で禁酒しましょう。
タバコ
タバコの煙には血管を収縮させる作用があり、血流が悪くなるとおなかの赤ちゃんに必要な酸素や栄養が届きにくくなり、低出生体重児で生まれるリスクのほか、流産や早産になる確率が高くなるといわれています。
ご自身の禁煙はもちろん、同居のご家族も家の中では吸わないよう協力を求めましょう。
カフェイン
カフェインは大人でも摂りすぎると神経が興奮して不眠や頭痛のほか気持ち悪くなったりします。
妊娠中にカフェインを摂ると胎盤を通過しておなかの赤ちゃんにまで届きますが、胎児はカフェインを上手く排泄できません。
大量にカフェインを摂取すると流産や早産になるリスクや、胎児の成長が悪くなる可能性が指摘されています。
1日1~2杯程度のコーヒーなら問題ないとされていますので、どうしても飲みたい場合は少量にしておきましょう。
食生活
妊娠中に限らず主食・主菜・副菜が揃ったバランスの良い食事は健やかな体を保つために大切です。
ですが、妊娠初期のつわりがつらい時期は栄養バランスまで考えていると食べられるものがなくなってしまう可能性があります。
まずは食べられるものを食べられる量だけ、1日3食にこだわらず食べるようにしてエネルギー不足にならないようにしましょう。
免疫力が低下している妊娠中はお刺身などの生ものや加熱殺菌していないナチュラルチーズなどは避けましょう。
不足しやすい栄養素や積極的に摂りたい栄養素としては「葉酸」「鉄分」「カルシウム」があります。
葉酸は妊娠初期に不足すると「神経管閉鎖障害」が起こり脳や脊髄などに障害が残る可能性があります。
鉄分は元から不足しがちなうえに、妊娠すると循環血液量の増加などによりさらに多くの鉄分を必要とします。
カルシウムも元から不足しがちで、妊娠中に不足するとママの体内にあるカルシウムから補おうとするため骨密度の低下につながります。
妊娠中の食生活については、「コラム:妊娠中の食べ物のポイント!」もご参考にしてください。
レントゲン
歯や胸部などの通常のレントゲン検査であれば放射線量はごく微量のため、妊娠初期にまだ妊娠していると気づかずレントゲン検査を受けてしまったとしても問題ないとされています。
レントゲン検査の際には必ず妊娠の有無を確認されますので、妊娠中の方はもちろん妊娠の可能性がある方も申告するようにしましょう。
薬の服用
同じ風邪薬でも妊娠中に服用しても大丈夫なものと注意が必要なものがあるように、自己判断が難しいため必ず購入時に薬剤師さんにご相談ください。
漢方やサプリメントについても含まれる成分がメーカーによって違ったり、過剰摂取の心配があったりするので妊娠前から飲みなれているものでも医師に確認してくださいね。
妊娠中は免疫力が下がるため細菌やウイルスに感染しやすく重症化リスクが高くなります。
感染症対策
流産や早産になるリスクが高まり、おなかの赤ちゃんにも感染すると障害が残る可能性があります。
昨今は手洗い・うがいや外出時のマスクなどが習慣化しているため継続していきましょう。
つわりが始まるのはいつ?
つわりは妊娠初期である妊娠5~6週頃から始まり、これは次の生理予定日の1~2週間後にあたります。
主な症状としては、吐き気や嘔吐、食欲不振などがあります。
妊娠したすべての人につわりが起こるわけではなく、全妊婦の50~80%に見られます。
つわりについては、「コラム:つわりはいつからいつまで?症状チェックと食べ方のポイント!」もご参考にしてください。
まとめ

多くの女性が妊娠に気づくのは性行為から2~3週間後で、生理の遅れやなんとなく熱っぽいなどの症状が見られます。
次の生理予定日を1週間過ぎても生理が始まらない場合は妊娠を疑って、一度妊娠検査薬で検査してみるとよいでしょう。
また妊娠が分かったら禁酒・禁煙は絶対で、そのほかにも食生活を見直すなどご自身やおなかの赤ちゃんのためにも出来ることから始めていきましょう。
元気で健やかな赤ちゃんの成長をお祈りしています。
妊娠初期にお腹の赤ちゃんの染色体異常について調べる検査はこちらをご参考にしてください。