
ブライダルチェックは、病気の心配がある人だけが受けるものではありません。
たとえ毎年健康診断を受けていて健康に自信がある方でも、一般的な健康診断では確認できない項目に異常があることもあります。自覚症状がない場合も多いため、見落とされがちです。
「ブライダルチェック」と聞くと、少し身構えてしまう方もいるかもしれませんが、自分自身だけでなく、パートナーや将来授かる赤ちゃんのためにも、今の健康状態を知っておくことは大切な準備のひとつです。
このコラムでは、ブライダルチェックの検査項目や内容、そして妊娠に影響する可能性のある性感染症などについて、わかりやすく解説していきます。
ブライダルチェックとは?結婚前の健康診断
「ブライダルチェック」とは、将来の妊娠・出産に備えて、自分やパートナーの健康状態を確認するための検査です。
一般的な健康診断では確認しない婦人科系疾患や性感染症、不妊の原因となりうる体の異常など、妊娠や出産に関わる項目に特化した検査が行われます。
検査内容はクリニックによって異なりますが、子宮や卵巣の状態、子宮頸がんの有無、性感染症の感染状況、ホルモンバランス、精子の状態(男性)などが主な項目です。
また、検査を受けることは、結婚後のライフプランや妊娠のタイミングについて、パートナーと話し合う良い機会にもなります。
将来の赤ちゃんのためにも、感染症や遺伝性の病気のリスクを事前に把握しておくことは大切です。
不安を減らし、安心して結婚生活や妊活を始める第一歩として、ブライダルチェックは多くのカップルに選ばれています。
ブライダルチェックはこんな人におすすめ【セルフチェックリスト】
以下の項目に多く該当する方ほど、ブライダルチェックを受けるメリットが大きくなります。
特に、3つ以上該当する方は早めの受検をおすすめします。

「もし異常が見つかったらどうしよう…」と不安に感じる方もいるかもしれません。
しかし、早期にリスクを知ることで、治療や生活改善などの対策が取りやすくなります。
自分とパートナー、そして将来の赤ちゃんのためにも、早めの一歩を踏み出してみませんか?
ブライダルチェックを特におすすめする年齢の目安
ブライダルチェックには年齢制限はありませんが、特におすすめされるのは20代後半〜30代以降の方です。
▶25歳以上の方
- 性交経験が増えることで、性感染症や婦人科疾患のリスクが高まる時期
- 子宮頸がん検査や性感染症検査は、発症リスクが増す20代後半以降で特に重要
- 将来の妊娠・出産を見据えた健康確認として適したタイミング
▶ 30歳以上の方
- 妊娠率が低下し始め、不妊や婦人科疾患のリスクが高まる年代
- 自覚症状がなくても、子宮筋腫・子宮内膜症・ホルモンバランスの異常などのリスクが増加
年齢だけでなく、「結婚を控えている」「妊活を始めたい」「将来の家族計画を考え始めた」といったライフイベントに合わせて、年齢を問わず早めの受診が推奨されます。
年齢に関するリスクについては、こちらのコラムもご参考にしてください。
ブライダルチェックでわかる病気一覧
ブライダルチェックでは、将来の妊娠・出産に影響を与える可能性のある病気や異常を幅広く調べることができます。
特に、女性に多い婦人科系疾患や、男性の精子の異常・性感染症など、通常の健康診断では見逃されやすい項目が含まれている点が特徴です。
婦人科系疾患(女性)

ブライダルチェックでは、妊娠や出産に関わる疾患を中心に、将来のライフプランに影響を及ぼす可能性のある病気を調べます。
【妊娠・出産に大きく関わる疾患】
- クラミジア感染症
- もっとも頻度が高く、かつ無症状のことが多いため見逃されやすい性感染症。卵管炎・骨盤腹膜炎から不妊・子宮外妊娠につながるリスクがあります。
- 子宮筋腫
- 30代女性に多く見られる良性腫瘍。大きさや位置により、妊娠しにくくなったり、流産・早産のリスクが高まることがあります。
- 子宮内膜症
- 強い生理痛を伴うことが多く、卵巣チョコレート嚢胞や卵管癒着を引き起こし、不妊の原因となる代表的疾患。
- 甲状腺機能の異常(バセドウ病、橋本病など)
- ホルモンバランスを乱し、排卵障害・月経不順・流産・胎児発育遅延のリスクにつながります。
- 梅毒
- 感染により胎児に影響を及ぼし、先天性梅毒や死産、早産などのリスクがあります。妊娠前のスクリーニングが推奨されます。
- HIV(ヒト免疫不全ウイルス)
- 母子感染を防ぐためには、感染の有無を妊娠前に知っておくことが重要です。
- B型・C型肝炎
- 血液や体液を介して感染し、分娩時の母子感染リスクもあるため、事前の感染確認が必要です。
【基礎疾患として注意が必要なもの】
- 排卵障害
- ホルモン異常により排卵が起きにくくなり、妊娠しにくくなる要因となります。月経不順がある場合は検査が推奨されます。
- 膠原病(全身性エリテマトーデスなど)
- 妊娠によって病状が悪化することがあり、妊娠計画を立てる前に診断・治療方針の相談が必要です。
男性不妊・性感染症(男性)

ブライダルチェックは女性だけでなく、男性にも積極的に受けてほしい検査です。近年では、カップルの約半数において男性側にも不妊の要因があるとされています。
▶ 精液検査
精子の数・運動率・形態を調べる検査です。精子の異常があると、自然妊娠が難しくなることがあります。
- 無精子症:精液中に精子がまったく存在しない状態
- 乏精子症:精子の数が基準値より少ない状態
- 精子無力症:精子の運動率が著しく低い状態
▶ 性感染症(クラミジア・梅毒・HIVなど)
男性も性感染症の感染源となることがあり、自覚症状がないままパートナーに感染させてしまうケースが多くあります。
パートナーである女性が妊娠前または妊娠中に感染すると、子宮や卵管の炎症、不妊、流産・早産、母子感染による胎児への影響(先天性梅毒やHIV感染など)が起こる可能性があります。
そのため、妊娠を希望する前の段階で、男性も性感染症の有無を検査しておくことが非常に重要です。カップルで受けることで、将来の妊娠・出産に向けたリスクを大きく減らすことができます。
病気があると妊娠・出産にどう影響する?
ブライダルチェックで何らかの病気が見つかっても、それが必ずしも妊娠・出産を妨げるわけではありません。ただし、病気の種類や進行度によっては、以下のような影響を及ぼす可能性があります。
- 不妊や流産のリスクが高まる疾患
- 子宮筋腫や子宮内膜症は、受精卵が着床しにくくなったり、流産のリスクを高めたりすることがあります。
- 卵巣嚢腫は、卵巣の働きを妨げ、排卵を阻害する場合があります。
- 男性の場合、精子の状態が良くないと受精が困難になることがあります。
- クラミジアなどの性感染症は、卵管の閉塞を引き起こし、不妊の原因となることがあります。
- 胎児への感染や先天性疾患の可能性
- 風疹などの感染症にかかっていると、妊娠初期に胎児に感染し、先天性心疾患や難聴、白内障などの「先天性風疹症候群」を引き起こすリスクがあります。
- 性器ヘルペスやHIVなどの性感染症は、出産時に赤ちゃんに感染する可能性があります。
- 妊娠中の合併症につながることも
ブライダルチェックで病気が見つかった場合でも、適切な治療や管理をすることで、健康な妊娠・出産に繋げられるケースが多くあります。大切なのは、妊娠前に自分の体の状態を知り、必要な準備や対策をとることです。
ブライダルチェックを受けるとどう役立つ?3つのメリット
ブライダルチェックは、単に自分の健康状態を確認するためだけの検査ではなく、将来の妊娠・出産、そしてパートナーとの新たな生活に向けて、備えるための大切な一歩です。
ここでは、ブライダルチェックを受けることで得られる3つのメリットをご紹介します。
1. 自覚症状のない病気を早期に発見できる
子宮頸がんやクラミジア感染症など、初期にはほとんど自覚症状がないまま進行する病気は少なくありません。これらの病気が進行すると、妊娠に悪影響を及ぼすこともあるため、早めに気づくことがとても大切です。
ブライダルチェックでは、こうした病気の兆候を早期に見つけることができ、適切な治療や対応につなげることができます。結果的に、健康な体で妊娠・出産に臨むための安心材料となります。
2. 将来の妊娠・出産に向けて備えができる
妊娠は、望んだときにすぐできるとは限りません。ブライダルチェックを通じて、婦人科系の健康状態や感染症の有無、妊娠への影響が考えられるリスクを事前に知ることができます。
たとえば、風疹の抗体がないとわかれば、妊娠前にワクチンを接種することで赤ちゃんへの感染リスクを防げます。また、子宮筋腫や子宮内膜症が見つかった場合も、医師と相談しながら妊娠のタイミングや治療計画を立てることができます。
3. パートナーとの認識を共有できる
ブライダルチェックは、パートナーと一緒に健康と将来について話し合うきっかけにもなります。
お互いの健康状態を知ることで、妊娠や出産に対する考え方、不妊治療の可能性など、これからの人生に関わる大切なテーマにも向き合いやすくなります。
体のことをオープンにすることで、理解や信頼も深まり、新しい生活を安心してスタートできる土台が築かれます。
ブライダルチェックはどこで受けられる?検査内容と流れ

ブライダルチェックは、婦人科・産婦人科、レディースクリニック、不妊治療専門クリニックなどで受けることができます。最近は、男性の検査も含まれるカップル向けのプランを用意している医療機関も増えているため、二人で相談して決めるのもおすすめです。
医療機関によって検査内容や費用が異なるため、受診前に公式サイトなどで確認しておきましょう。ここでは、一般的な検査項目や費用、受診のタイミングについてご紹介します。
主な検査項目と所要時間
ブライダルチェックでは、将来の妊娠・出産に影響する可能性のある病気や体の状態を総合的に調べます。
検査にかかる時間は内容によって異なりますが、一般的には30分から1時間程度です。検査結果は、当日にわかるものもあれば、1〜2週間後に郵送や再診で説明を受けるケースもあります。
【女性の主な検査項目】
- 問診・内診:既往歴や生理周期など
- 経膣超音波検査:子宮・卵巣の状態を確認
- 子宮頸がん検査:子宮頸部の細胞を採取し、がんの兆候を調べる
- 性感染症検査:クラミジア、梅毒、HIVなど、自覚症状が少ない性感染症の有無
- B型・C型肝炎など
- ホルモン検査:排卵、月経関連
- 甲状腺機能検査
- 風疹・麻疹の抗体検査
- 血液検査:貧血、血糖、感染症など
【男性の主な検査項目】
- 問診・内診:既往歴や生活習慣など
- 精液検査:精子の数や運動率、奇形率など
- 性感染症検査:クラミジア、HIV、梅毒など
- 血液検査:男性ホルモン(テストステロン)、血糖、貧血など
- 尿検査:尿路感染症、腎臓機能の異常、糖尿病の兆候など
検査の費用相場と保険適用の有無

ブライダルチェックは原則として自由診療(自費診療)です。保険は基本的に適用されませんが、一部の検査(子宮頸がん検診など)が保険適用となるケースもあります。
【費用相場の目安】
| 検査内容 | 料金の目安 |
|---|---|
| 女性の基本検査 | 約15,000〜30,000円 |
| 感染症やホルモン検査を含むプラン | 約30,000〜50,000円 |
| 男性の精液検査・性感染症検査 | 約10,000〜30,000円 |
| カップルで受けるセットプラン | 約40,000〜70,000円 |
※上記は目安であり、料金や検査項目はクリニックによって大きく異なります。事前に必ず確認しましょう。
受診のおすすめのタイミング
【受診のおすすめのタイミング】
- 結婚の3~4ヵ月前
- 妊活を始める前
- 妊娠を望む1〜2年前の準備期間
婦人科検査の中には、生理周期によって実施タイミングが限定されるものもあります。生理終了後〜排卵前(生理開始から約7〜14日目)の時期に予約を入れるのがおすすめです。
また、風疹ワクチンを接種した場合、2か月間の避妊が必要となるため、妊娠希望の方はスケジュールに注意しましょう。
まとめ

結婚は、おふたりにとって新しい人生のスタートです。この大切な節目に、自分の体の状態を知り、将来の妊娠や出産について話し合うきっかけとして、ブライダルチェックはとても有効です。
ブライダルチェックでは、自覚症状のない病気の早期発見や、将来の妊娠に影響を与える可能性のある婦人科系のトラブルや感染症のリスクを確認できます。また、お互いの健康を理解し合うことで、パートナーとの信頼や絆を深めることにもつながります。
結婚や妊活を考え始めた今こそ、前向きに受診を検討してみてはいかがでしょうか。