切迫早産の原因と症状の特徴

切迫早産

妊娠中期を過ぎるといわゆる安定期と呼ばれ母子ともに比較的安定した状態とはなりますが、それでも切迫早産など思わぬトラブルに見舞われることもあります。

切迫早産の兆候を見逃さないことは、母子の健康を守るために欠かせません。

ここでは切迫早産の症状や危険因子のほか、切迫早産にならないためにできることなどについてご紹介しています。

切迫早産とはどんな状態?

切迫早産とはまだ赤ちゃんは出てきていませんが「早産になりかけている」状態のことをいいます。

お腹の張りや痛みが規則的に起こって子宮口が開きかけており、ときには破水していることもあります。

程度の差があり、安静にすることで症状がおさまる軽度の場合もありますが、重度の場合は赤ちゃんが出てくるのを避けられないこともあります。

「切迫」とは、さしせまること、緊張した状態になることをいいます。

切迫早産と言われて早産になる可能性は約30%程度といわれています。

切迫早産の定義としては「妊娠22週0日から妊娠36週6日までの妊娠中に、規則的な子宮収縮があり、かつ子宮頸管の開大度・展退度に進行が認められる場合、あるいは初回の診察で子宮頸管の開大が2cm以上となっているなど、早産となる危険性が高いと考えられる状態」1)とされています。

【切迫早産とは?】

  • 妊娠22週~27週未満の時期に起こる
  • 規則的な子宮収縮があり、子宮口が開きかけている

切迫早産の症状

切迫早産の子宮内の赤ちゃん

【切迫早産の症状】

  • お腹の張りや痛み
  • 性器出血
  • 前期破水

切迫早産はこれらの症状に早めに気づき、適切な対処をすることが、妊婦さんと胎児の健康を守るために非常に重要です。

お腹の張りや痛み

妊娠中にお腹が張ったり軽い痛みを感じることは普通ですが、これらが規則的または頻繁に起こる場合は警戒が必要です。

しばらく安静にしているとおさまる程度ならそれほど心配はいりません。

ただし痛みが周期的に強くなったり一定のリズムで繰り返される場合は、切迫早産の可能性があるため医師の診察を受けましょう。

性器出血

性器出血は切迫早産でよくみられる症状の一つです。

おりものに血が混ざる程度のものから、血の塊が出る、真っ赤な血が大量に出るなど量も程度もさまざまです。

妊娠中期から後期にかけて性器出血をする原因はいくつも考えられ、膣炎やおしるしなどあまり心配のない出血もありますが、切迫早産を始め、頸管無力症や前置胎盤などトラブルが原因で出血しているケースもあります。

症状から自己判断をすることは危険ですので、特に痛みを伴う場合はすぐに医師にご相談ください。

前期破水

前期破水

通常の破水は、陣痛がきて子宮口が開ききったころに起こりますが、陣痛前に子宮口があまり開いていない状態で破水が起こることを「前期破水」といいます。

破水すると卵膜が破れて赤ちゃんと外界を遮断するものがなくなるため、膣から細菌が入り赤ちゃんが細菌感染する危険が高くなります。

少量の破水は気づきにくく、水っぽいおりものや尿と勘違いするかもしれませんが、破水は尿と違って自分の意思で止めることができません。

前期破水が起こったのが妊娠37週以降であればこのまま分娩へと移りますが、それより早い時期であれば子宮収縮抑制剤などを用いて妊娠が継続できるよう処置を行います。

切迫早産になるとどうなる?

医師に切迫早産だと言われた後の対応は、切迫早産の進行度合い、妊娠週数、母子の健康状態などによって異なります。

程度が軽い場合は帰宅して、出来るだけ安静にするように言われて経過観察となります。

症状が重い場合や早産のリスクが非常に高い場合は、入院をして子宮収縮抑制薬などによって治療を受けることになります。

妊娠週数が短い場合は出来る限り安全な状態で妊娠を継続させることが、赤ちゃんの健康を守るために非常に重要です。

切迫早産の段階であればまだ対処が可能な場合もあります。

早期発見・早期治療が大切ですので、「おかしいな?」と思ったらすぐに医師にご相談ください。

切迫早産になる原因と危険因子

切迫早産につながる危険因子は多岐にわたりますが、原因として最も多いのは子宮内感染です。

【切迫早産になる原因と危険因子】

  • 子宮内感染
  • 子宮や胎盤の問題
  • 多胎妊娠
  • 胎児の異常
  • 生活習慣と環境

子宮内感染

何らかの原因で膣から細菌が子宮内に侵入することで子宮内感染は起こります。

これには前期破水や性感染症などが原因となることがありますが、原因不明の場合もあります。

感染症によっておりものが黄色や緑がかった色になることがあり、黄色や緑っぽい場合は淋菌感染、チーズのようにポロポロしている場合はカンジダ菌感染の可能性があります。

進行すれば子宮内感染を引き起こし、早産につながることがあります。

おりものの量が異常に多い、変な臭いがする、色が異常など、おりものに何らかの変化が見られた場合はすぐに医師にご相談ください。

子宮や胎盤の異常

頸管無力症

子宮の形の異常や子宮筋腫などがあると切迫早産のリスクを高めます。

特に子宮口が痛みも無く開いてしまう症状のことを「子宮頸管無力症」といい、そのままでは早産が避けられませんので、子宮頸管(子宮口)をしばる手術をします。

胎盤の位置の異常(例えば前置胎盤)や、出産前に胎盤がはがれてしまう「常位胎盤早期剥離」なども早産の引き金となり得ます。

多胎妊娠

双子や三つ子などの多胎妊娠は、子宮にかかる圧力が増大し切迫早産の可能性を高めます。

妊娠初期では妊婦さんのお腹の大きさは双子でも一人でもそれほど変わりませんが、妊娠中期ごろに急激に大きくなるため、お腹が張りやすく注意が必要です。

胎児の異常

胎児発育不全、胎児機能不全のイメージ

胎児の成長が妊娠週数に対して芳しくない「胎児発育不全」や、低酸素血症など胎児の状態に何らかの異常が起こっている「胎児機能不全」があると、切迫早産のリスクが高くなります。

これらの原因には、母体の妊娠合併症の存在や生活習慣の問題、胎児の染色体異常などさまざまな状況が考えられます。

生活習慣と環境

母体の健康状態はお腹の赤ちゃんにも影響します。

妊娠中の喫煙はもってのほかですが、不十分な栄養摂取状況などがあると胎児発育不全になり切迫早産につながります。

過度な体重の増減や極端な身体活動職場や家庭環境の精神的ストレスも切迫早産の危険因子となり得ます。

妊娠中の女性はこれらのリスク要因に特に注意し、定期的な検診を受けることが推奨されます。

治療

赤ちゃんが妊婦さんのお腹の中にいる期間が短くなればなるほど、生存率や予後に悪影響を及ぼします。

切迫早産になった場合、出来る限りお腹の中で成長できる期間を延ばすことが大切です。

切迫早産の治療は第一に安静にすることで、それでもおさまらなければ状況に応じて投薬を行います。

軽度の場合は自宅安静で様子を見ますが、症状が重ければ入院が必要です。

軽度の場合

子宮収縮の程度が弱く、子宮口がまだそれほど開いていない軽度の切迫早産の場合は自宅で安静に過ごします。

お腹に力を入れるなど圧力や負担がかかったりしないよう、重いものを持つことや長時間の移動は避けましょう。

家事なども様子をみて休息しながら極力負担がかからないようにしましょう。

安静に過ごしていてもおさまらなければ子宮収縮抑制薬を処方されます。

感染症で炎症を起こしている場合は抗生剤も併用します。

重度の場合

子宮収縮の程度が強く、子宮口が開いてきている場合は入院が必要です。

安静を保ちつつ子宮収縮抑制薬などによる処置を行ないますが、早産が避けられないと判断した場合は、新生児集中治療室がある専門の設備が整った病院へ救急搬送されることもあります。

破水している場合は妊娠週数によって対応が異なります。

妊娠34週未満での前期破水の場合、抗菌薬を投与し感染を抑えつつ、出来る限りの妊娠継続を目指して管理します。

妊娠34週以降での前期破水の場合は分娩誘発を行うか、陣痛がくるのを待ちます。

切迫早産にならないようにするために

【切迫早産を予防するために】

  • 妊娠中にダイエットをしない
  • 急激な体重増加に気をつける
  • 長時間の労働を避ける
  • 穏やかに過ごす
  • 感染に気をつける
  • 禁煙

切迫早産を予防するためには、ご自身の体調管理と無理のない妊娠生活を心掛けることが大切です。

適切な体重増加量とスピードを目指し、急激な体重変動がないようコントロールしましょう。

長時間の労働や過度のストレスは切迫早産のリスクを高める可能性があるため、穏やかに過ごすことが大切です。

仕事の負担を軽減し、十分な休息を取ることを心掛けましょう。

これらの予防策は、切迫早産のリスクを減らすだけでなく、健康な妊娠期間を過ごすためにも役立ちます。

妊娠中のライフスタイルを見直し、必要に応じて医師のアドバイスを求めることが大切です。

切迫早産と早産の違い

切迫早産とは赤ちゃんが生まれてきそうな兆候はありますが、まだ出産には至っていない状態です。

早産は妊娠22週~37週未満で出産することをいいます。

切迫早産から早産になる可能性は約30%ありますが、軽症の場合は早産を回避できる可能性もあります。

切迫早産の診断を受けた場合、母体と胎児の両方の健康を考慮した個別のケアプランが立てられます。

このプランは、早産のリスクを減少させ、赤ちゃんがより長く子宮内で成長できるようにすることを目的としています。

切迫早産の管理には、母体の体調変化に注意を払い、定期的な医療チェックアップを受けることが含まれます。

これにより、早産のリスクを最小限に抑え、できるだけ正期産まで妊娠を維持することを目指します。

まとめ

大きくなったお腹を愛でる妊婦

切迫早産は早産になりかけている状態を指し、妊娠22週から37週未満の時期に起こります。

主な症状にはお腹の張りや痛み、性器出血、前期破水があります。

切迫早産と診断されても必ずしも早産につながるわけではなく、安静にしたり治療を受けることで約70%は回避できます。

特に妊娠週数が短い場合は、出来る限り赤ちゃんがママのお腹の中で成長できるようサポートすることが大切です。

健やかな妊娠生活をお祈りしています。


【参考文献】

1)産婦人科 診療ガイドライン ―産科編 2020

早産・切迫早産/日本産科婦人科学会


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