出生前診断はどう選ぶ?種類と押さえておきたい5つのポイント

出生前診断の種類と選び方

妊娠中に「おなかの赤ちゃんに何か異常がないだろうか」と不安を感じる方は少なくありません。

そんな思いから出生前診断を考え始めても、検査には複数の種類があり受けられる時期やわかること、リスクもそれぞれ異なります。情報が多くどの検査が自分たちに合っているのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。

この記事では出生前診断の代表的な検査を整理しながら、検討する際に知っておきたい大切なポイントを5つにまとめて解説します。

あなたとパートナーが納得のいく選択をするために、ぜひ参考にしてください。

出生前診断にはどんな種類がある?

【出生前診断の種類と特徴】

検査名実施期間ダウン症に
対する感度
対象疾患結果報告
までの期間
費用留意点
非確定検査NIPT妊娠10~16週頃99%・ダウン症
・18トリソミー
・13トリソミー
・その他…
数日~2週間10~25万円結果が陽性でも
確定ではない
コンバインド検査妊娠11~13週頃85%程度・ダウン症
・18トリソミー
・13トリソミー
2~4日3~5万円
母体血清マーカー検査妊娠15~17週頃80%程度・ダウン症
・18トリソミー
・神経管閉鎖障害
1~2週間2~3万円
確定検査羊水検査妊娠15~18週頃100%染色体異常全般2~4週間10~20万円流産・死産
リスクあり
絨毛検査妊娠11~14週頃100%染色体異常全般約2週間10~20万円

出生前診断とは妊娠中に赤ちゃんの染色体異常や、一部の先天性疾患の可能性を調べるための検査です。

すべての病気がわかるわけではありませんが、妊娠中に知ることができる情報のひとつとして注目されています。

母体の血液を使う検査や超音波検査などいくつかの方法があり、それぞれ検査を受けられる時期や精度、リスクなどが異なります。

出生前診断は、異常がある可能性を調べる「非確定検査」と、実際に診断を行う「確定検査」の2つに大きく分けられます。

非確定検査

超音波検査

非確定検査は、胎児に染色体異常などがある「可能性」を調べるためのスクリーニング検査です。

採血や超音波検査が中心で母体への負担が比較的少ない点が特徴です。ただし、結果は確率として示されるため、陽性と判定されても必ず異常があるとは限りません。

そのため非確定検査は「診断」ではなく、「次の検査を検討するための目安」として位置づけられています。

【代表的な非確定検査】

非確定検査で陽性、または異常の可能性が高いと判断された場合、胎児の異常の有無を確定するためには確定診断が必要です。

確定検査

羊水検査

確定検査(確定診断)は、胎児の染色体異常などについて実際に診断を行うための検査です。

結果が陽性であれば対象となる疾患や異常ががあると診断され、陰性であれば調べた範囲において異常はないと判断されます。

確定検査はわずかながら流産のリスクがあるため、検査を受けるかどうかは医師やカウンセラーと十分に相談したうえで判断することが大切です。

【確定検査の種類】

  • 羊水検査:妊娠15週頃から実施される
  • 絨毛検査:妊娠11週頃から可能だが実施する医療機関は限られる

確定検査で陽性だった場合、医師やカウンセラーのサポートを受けながら、ご家族と今後の方針について話し合っていきます。

出生前診断はどう選ぶ?押さえるべき5つのポイント

出生前診断を選ぶときに大切なのは検査の種類を比較することだけではありません。まず考えたいのは「自分たちはなぜ検査を受けたいのか」「何を知りたいのか」という目的です。

検査を受ける目的を整理したうえで検査でわかることやリスク、受けられる時期や費用などを一つずつ確認していくことで、自分たちに合った選択が見えてくるはずです。

① 検査の目的をはっきりさせる

出生前診断を選ぶ際に最も大切なのは、「なぜ検査を受けたいのか」という目的を明確にすることです。

「赤ちゃんの状態を早く知って安心したい」「必要な医療や支援について準備しておきたい」「年齢的なリスクが気になる」など検査を考える理由は人それぞれで、どれが正しいという答えはありません。

大切なのは検査を受けること自体を目的にするのではなく「何を知りたいのか」「結果を受け取ったときにどんな選択肢を考えたいのか」をイメージしておくことです。

パートナーと気持ちを共有し検査後のことも含めて話し合っておくことで、結果に向き合うときの心の準備がしやすくなります。

② 検査でわかる範囲を理解する

出生前診断と聞くと「赤ちゃんのことがすべてわかる検査」という印象を持つ方もいるかもしれません。しかし実際には検査でわかることには限りがあります。

出生前診断で主に調べられるのは特定の染色体異常や一部の先天異常です。すべての先天性疾患や将来の発達・病気までを予測できるわけではありません

たとえば、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)、小児がんなどは出生前診断では調べることができません。

そのため「自分が知りたいことがその検査で本当にわかるのか」を事前に確認しておき、検査の限界を理解したうえで選ぶことが大切です。

③ 母体と胎児へのリスクを確認する

非確定検査は採血や超音波が中心で身体的負担は少ない一方、確定検査ではごくまれに流産が報告されています。

羊水検査による流産率は0.1~0.3%絨毛検査では0.3~1%程度とされており、どちらも子宮に針を刺して羊水や絨毛を採取するため、破水や胎盤早期剥離、感染などの合併症が起こる可能性がわずかながらあります。

一方で、羊水検査を受ける方はもともと流産リスクが高い背景をもつ場合も多く、妊娠15~18週の自然流産率と比べると、検査そのものが上乗せするリスクは従来考えられていたより小さい可能性も指摘されています。

確定検査は情報の確実性が高い半面、身体的なリスクを伴います。「どこまで確実な情報を求めるのか」と「どの程度のリスクなら受け入れられるか」を考え、自分たちにとって納得できるバランスを考えることが大切です。

④ 妊娠週数と受けられる時期を確認する

出生前診断のフローチャート

出生前診断は検査ごとに受けられる妊娠週数が決まっています。そのため、希望する検査の時期を逃さないよう早めに情報を確認しておくことが大切です。

たとえば非確定検査で「染色体異常の可能性が高い」と示された場合、最終的な判断をするためには確定検査が必要になります。

中絶も選択肢として考える場合、妊娠21週6日までに判断する必要があるため検査の時期や結果が出るまでの期間を意識しておくことが欠かせません。

また、事前に「結果が出たらこうしよう」と考えていても実際に予想外の結果を受け取ると動揺し、すぐに結論を出せないことも少なくありません。時間をかけて考えたいと感じるのはごく自然なことです。

検査結果が出るまでの期間は検査の種類や医療機関によって異なり、数日から4週間程度かかることもあります。検査を受けるかどうかに関わらず、早めに検討を始めておくことで時間的にも気持ちの面でも余裕を持ち、納得のいく選択につなげやすくなります。

⑤ 費用と経済的負担を考慮する

【主な出生前診断の費用相場】

検査名費用の目安補足
胎児超音波検査(胎児ドック)1万~5万円前後通常の妊婦健診とは別枠の精密検査
母体血清マーカー検査1万〜2万円前後一部の地方自治体で費用の一部助成がある場合も
NIPT(新型出生前診断)8万〜20万円前後提供施設により項目数・料金体系が大きく異なる
羊水検査10万〜20万円前後術前検査・入院費用が別途必要な場合あり
絨毛検査15万〜20万円前後実施施設が限られており、費用もやや高め。

出生前診断の費用は検査によって幅があるもの一般的に高額です。そのため費用をできるだけ抑えたいと思うのはとても自然なことです。

ただし、費用だけを基準に検査を選んでしまうと知りたい情報が十分に得られず「もう少し詳しく調べておけばよかった」と感じたり、追加の検査が必要となり結果的に想定以上の費用がかかるケースもあります。

検査費用は大切な判断材料のひとつですが、検査の目的や得られる情報、結果をどう受け止めたいかとあわせて考えることが大切です。

出生前診断を受ける前に知っておきたい注意点

命のイメージ

出生前診断は妊娠中に赤ちゃんの状態を知り、出産や出生後に向けた準備をするための検査です。

出生前診断を検討する際には、次のような点を理解しておくことが大切です。

  • 異常や疾患の可能性がわかった場合、分娩方法や医療体制について事前に検討できる
  • 染色体異常や遺伝性疾患そのものを根本的に治療することはできない
  • すべての病気や障害がわかるわけではない

検査結果の受け止め方は人それぞれです。事前に知ることで安心できたと感じる方もいれば、知らないままでいた方が気持ちが楽だったと感じる方もいます。

結果によっては妊娠を続けるかどうかなど、今後の選択について深く考える場面が訪れることもあります。

ただしそこにひとつの正解があるわけではなく周囲と比べて決める必要もありません。大切なのは自分たちが納得できる形を見つけることです。

どの検査を選ぶかを考える際には医学的な情報だけでなく、自分たちの気持ちや価値観にも目を向けながら慎重に検討していくことが大切です。

出生前診断に関するよくある質問(FAQ)

出生前診断に関するよくある質問をまとめました。

高齢妊娠では出生前診断を受けた方がいいですか?

高齢妊娠の場合でも出生前診断を受けるかどうかに決まった正解はありません

「結果を知って、何を大切にしたいのか」「どんな準備をしたいのか」といったご夫婦の価値観によって判断は異なります。

年齢とともにダウン症などの染色体異常の確率は高くなりますが、それだけで「受けた方がよい」と一律に判断されるものではありません。

事前に心の準備ができる一方、重い判断を伴う可能性や費用面の負担もあります。結果をどう受け止めるかを話し合い、必要に応じて遺伝カウンセリングを活用しながら、納得できる選択をすることが大切です。

高齢出産と染色体異常の発生頻度のグラフはこちら

結果が陽性だった場合はどうすればいいですか?

確定診断(羊水検査や絨毛検査)で陽性と診断された場合は、まず医師や遺伝カウンセラーから結果の意味や、考えられる今後の選択肢について説明を受けましょう。

一人で判断しようとせず専門家の話を聞くことが大切です。

疾患の特徴や受けられる医療・支援制度について理解したうえで、パートナーと十分に話し合う時間を持ちましょう。結果によっては今後について慎重な判断が必要になることもあります。

妊娠を継続するかどうかの判断は法律や妊娠週数、個々の状況を踏まえて行われます。必要に応じて専門家のサポートを受けながら、自分たちが納得できる形を探していくことが大切です。

まとめ|出生前診断は目的と価値観を軸に選ぶことが大切

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出生前診断にはいくつかの検査があり、それぞれに特徴や注意点が異なります。そのため情報を調べるほどかえって迷いが深くなってしまうことも珍しくありません。

大切なのは「どの検査を選ぶべきか」ではなく、「自分たちは何を大切にしたいのか」「結果を知ったときどんなふうに向き合いたいのか」を考えることです。その答えは人それぞれ異なっていて当然です。

迷ったときには遺伝カウンセリングなどの専門的な相談の場を利用し、自分たちの気持ちや状況を言葉にして整理してみるのもひとつの方法です。中立な立場の第三者と話をすることで選択への不安が少し和らぐこともあります。

出生前診断を受ける・受けない、どちらを選んだとしても、その判断があなたと家族にとって納得のいくものであることが何より大切です。


【参考URL】

1)LJ Salomon, et al.:Risk of miscarriage following amniocentesis or chorionic villus sampling: systematic review of literature and updated meta-analysis. Ultrasound Obstet Gynecol. 2019 Oct;54(4):442-451


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