遺伝カウンセリングでわかること | NIPTを受ける前に知っておきたいポイント

遺伝カウンセリングとは?

妊娠がわかると、喜びと同時にさまざまな不安が押し寄せることがあります。

「赤ちゃんは元気に生まれてきてくれるのだろうか?」と考え、出生前診断(NIPT)を受けるべきか迷う方も多いでしょう。

NIPTは、胎児の染色体異常を早期に知る手段として注目されていますが、検査結果をどう受け止めるべきか、不安になることも少なくありません。

そんな時こそ、遺伝カウンセリングが心強いサポートとなります。

このコラムでは、NIPTを受ける前に知っておきたい遺伝カウンセリングの目的やポイントをわかりやすく解説します。

遺伝カウンセリングとは

遺伝カウンセラー

遺伝カウンセリングの目的は、遺伝性疾患や遺伝子に関する問題や不安を抱える方が、情報を正しく理解し、それに基づいて最も適切な選択ができるよう支援することです。

単なる情報提供だけでなく、遺伝に関するさまざまな悩みを相談できる場でもあります。

【遺伝カウンセリングの目的】

1.情報提供

  • 遺伝や染色体異常、遺伝性疾患について、正確な情報をわかりやすく説明します。
  • 特定の遺伝性疾患や出生前診断(NIPTなど)の検査結果を理解するサポートをします。

2.意思決定の支援

  • 検査を受けるかどうか、結果をどう受け止めるか、どのように対応するかなど、個々の状況に応じた意思決定を支援します。
  • 医療的・倫理的・心理的な側面を考慮し、納得のいく判断ができるようサポートします。

3.心理的サポート

  • 遺伝子や染色体異常が疑われる場合の不安や悩みを共有し、精神的な負担を軽減します。
  • 家族やパートナーとも協力し、心のケアを重視します。

遺伝カウンセリングは、相談者の不安解消のお手伝いをし、納得のいく意思決定を支えるための場です。

検査や遺伝性疾患についてわかりやすく伝えるだけでなく、社会的支援体制や倫理的な問題についても説明します。

その際、相談者を否定したり、カウンセラーの考えを押し付けたりすることはありません。

あくまで、相談者自身が納得して決断できるようサポートすることが、遺伝カウンセリングの基本的な姿勢です。

誰がカウンセリングをしている?

遺伝カウンセリングは、専門的なトレーニングを受けた「認定遺伝カウンセラー」や、遺伝医学の専門知識を持つ医師である「臨床遺伝専門医」によって行われます。

【認定遺伝カウンセラー®】

認定遺伝カウンセラーは、遺伝学とカウンセリングの両方に精通している専門家です。

患者やその家族が抱える遺伝に関する不安や疑問を丁寧に解消し、理解を深められるようサポートします。

以下のようなサポートを行います。

  • 遺伝的リスクや疾患に関する情報提供
  • 心理的サポート
  • 相談者が納得できるよう意思決定を支援

【臨床遺伝専門医】

臨床遺伝専門医は、遺伝医学に関する広範な知識を持つ医師です。

遺伝カウンセリングを実施するだけでなく、遺伝医療に関わる専門的な検査・診断・治療も担当します。

遺伝カウンセリングでは何を相談できるの?

遺伝カウンセリングでは、遺伝に関する悩みや不安を幅広くに相談することができます。

例えば、以下のような悩みがある場合は、相談を検討してみましょう。

  • 出生前検査を受けるべきか判断がつかない
  • 2回続けて流産し、原因が自分や夫にあるか不安
  • 親族同士で結婚しているため、遺伝的リスクについて知りたい
  • 家族や親族に特定の遺伝病や疾患があるため、子どもへの遺伝が心配
  • 過去に先天性の異常がある子どもを妊娠した経験があり、再発のリスクが気になる
  • 35歳で子どもを希望しているが、染色体異常の確率が高くなると聞いて不安を感じている

これらは一例に過ぎませんが、遺伝カウンセリングでは、個人や家族が直面する遺伝に関する問題や懸念に応じて、幅広く相談を受け付けています。

まずは相談してみることで、不安を解消するきっかけになるかもしれません。

遺伝カウンセリングわかること

遺伝について、スマホで検索する女性

遺伝カウンセリングでは、遺伝に関する正確な情報を得ることができます。

インターネットで簡単に情報を調べられる時代ですが、その情報が常に正確で最新であるとは限りません。

遺伝に関する悩みを身近な人に相談しても、その人の価値観や偏見が影響し、意見が異なることもあります。その結果、かえって悩みが深まってしまうケースも少なくありません。

遺伝カウンセリングが必要な理由

人それぞれ、価値観や家族背景、置かれた立場が異なるため、出生前診断において全ての人に共通する正解は存在しません。

一律の答えを求めるのは難しく、個々の状況や考え方に合わせた対応が重要です。

遺伝カウンセリングでは、個別の事情や背景を踏まえて、納得できる選択をサポートします。

【遺伝カウンセリングで得られるサポート】

  • 最新の遺伝学的情報の提供
    • 遺伝子や遺伝に関わる疾患、体質に関する科学的根拠をわかりやすく説明します。
  • 検査のメリット・デメリットを理解する
    • 検査を受けることの意味、受けないことの意味を一緒に考えます。
  • 結果が陽性だった場合の選択肢を知る
    • 検査で疾患が判明した場合に取れる対応策や、社会的サポートについて説明します。
  • 納得できる意思決定をサポート
    • あなたが正確な情報に基づき、納得のいく決断ができるよう支援します。

正解は一つではない

出生前診断における絶対的な正解は存在しません。

大切なのは、科学的根拠に基づく正しい情報を得たうえで、自分自身が納得できる決断をすることです。

どのような選択であっても、遺伝カウンセラーは個人の価値観を最大限に尊重し、サポートします。

判断を下すのはあなた自身

最終的な判断を下すのは、遺伝カウンセラーではなく、あなた自身(またはパートナー)です。

どのような選択をしても、遺伝カウンセラーはあなたの意志を尊重し、可能な限りの支援を行います。

一人で悩まず、専門家の力を借りて、冷静に考える機会を持ちましょう。

NIPTにおける遺伝カウンセリングの内容(検査前

NIPT検査の仕組み

NIPT(新型出生前診断)は、比較的手軽に受けられる検査として普及しています。

しかし、その検査結果が持つ意味から、「命の選別」と言われることもあり、検査を受ける際には慎重な判断が必要です。

NIPTを受ける前には、検査の意味やリスクを十分に理解するために、遺伝カウンセリングが重要です。

遺伝カウンセリングでは、一般的に以下の内容について情報提供や相談支援が行われます。

【遺伝カウンセリングの主な内容(NIPT検査前)】

1.問診

  • クライエント(相談者)の基本情報を確認
  • 妊娠の状況や家族歴など、医学的な情報の収集
  • NIPTを受けようと思っている理由や、不安点をヒアリング

一見似たような悩みでも、クライエントごとに背景や立場が異なるため、カウンセラーは個々の状況をしっかりヒアリングすることが重要です。

カウンセリングでは、話したくない内容を無理に話す必要はありません。

ただし、正確なサポートを受けるためには、気になることや悩みを遠慮なく相談することが大切です。

2.NIPT検査前の遺伝カウンセリング

  • NIPTの概要説明
    • NIPTの目的、方法、検査の流れについて解説
    • 検査の限界や注意点を説明
  • 先天性疾患や染色体疾患について
  • NIPTでわかることとわからないこと
    • NIPTはスクリーニング検査であり、確定診断ではないことを強調
    • 検査結果がすべての疾患を網羅しているわけではないため、その限界を説明
  • 検査結果とその意味について
    • 検査結果が「陽性」「陰性」「判定不能」だった場合、それぞれの意味を解説
    • 偽陽性・偽陰性のリスクについて説明
    • 陽性の場合、確定診断(羊水検査など)が必要であることを伝える
  • 検査後の選択肢について
    • 出産を継続する場合のサポート
    • 中絶を検討する場合の流れについて
  • 心理的サポート
    • 検査を受けるかどうか悩んでいる場合のサポート
    • 結果を知った後の心のケア

これらすべてが必ず行われるわけではなく、クライエントの要望や状況に応じて柔軟に対応します。

遺伝カウンセリングは、クライエントが納得できる選択をするためのサポートを重視しています。

遺伝カウンセリングを受ける前に準備しておくこと

選択を迫られる

妊娠すると、本来は幸せで満ち足りた気持ちになるはずですが、漠然とした不安が押し寄せて、何が心配なのか分からなくなることもあります。

特に、出生前診断を受ける前には、様々な思いや葛藤が入り混じりやすいものです。

遺伝カウンセリングを受ける前に、自分自身やパートナーと一緒に、次のポイントを整理してみましょう。

【整理しておきたいポイント】

  • なぜこの検査を受けようと思ったのか?
    • 何が不安なのか?
    • その不安は誰の不安なのか?(自分、パートナー、家族)
  • 検査を受けることで、その不安は解消されるのか?
  • 検査結果が陽性だった場合、どう対応するのか?
    • 妊娠を継続するのか、中絶を選択するのか?
  • 検査結果が陰性だった場合、どのように受け止めるか?
  • 不安や疑問をリストアップしておく
    • NIPTの検査方法や精度について知りたい
    • 検査結果が陽性だった場合の対応を知りたい
    • 検査を受けるべきかどうかを相談したい

カウンセリングを有効活用するために

「漠然と不安なのでとりあえずカウンセリングを受けてみよう」という気持ちでも構いませんが、悩みや不安に感じていることを事前にまとめておくことが大切です。

現在の自分の考えや、確認したいことを整理しておくことで、限られたカウンセリング時間を有効に使うことができます。

また、心の準備を整えて臨むことで、より納得のいく意思決定ができるようサポートを受けやすくなります。

一人で悩まず、専門家の力を借りて、冷静に向き合う時間を持ちましょう。

遺伝カウンセリング受けられる場所

オンライン遺伝カウンセリング

遺伝カウンセリングは、大学病院や総合病院、専門クリニックなど、認定遺伝カウンセラーや臨床遺伝専門医が在籍している医療機関で受けることができます。

遺伝カウンセリングを希望する場合は、まず家庭医や主治医に相談し、適切な施設や専門家を紹介してもらうとスムーズです。

インターネットや医療関連の情報サイトを活用して、近くで遺伝カウンセリングを提供している施設を調べることもできます。

登録機関遺伝子医療体制検索・提供システム【外部サイトへ移動】

施設によっては対面だけでなく、リモートでの相談にも対応しているため、遠方の方や外出が難しい方でも利用しやすい環境が整っています。

自分に合った方法で、気軽に相談できる場所を選ぶことが大切です。

遺伝カウンセリング費用

遺伝カウンセリングの費用

遺伝カウンセリングは、基本的に保険適用外の自費診療となります。

ただし、特定の遺伝性疾患がある場合や医師が必要と判断した場合には、保険が適用されるケースもあります。

費用は医療機関やカウンセリングの時間によって異なり、事前に確認が必要です。

多くの医療機関では費用が公式サイトに明記されていないことも多く、「受診前にお問い合わせください」と案内されています。

【費用の目安】

  • 一般的な費用相場:1回5,000~10,000円が多い
  • 初回カウンセリング時間:30分~1時間が一般的

相談内容が多岐にわたる場合は、1回で終わらず複数回の受診が必要となることもあります。

まとめ

幸せそうな家族のイメージ

遺伝カウンセリングの目的は、遺伝性疾患や検査結果に関する正確な情報を提供し、不安を軽減しながら適切な意思決定をサポートすることです。

特にNIPT(新型出生前診断)を受ける前には、検査のメリットや限界を理解し、陽性結果が出た場合の対応を考えておくことが重要です。

NIPTはスクリーニング検査であり確定診断ではないため、陽性の場合には追加検査(羊水検査など)が必要です。

また、検査を受ける理由や結果への対応方針を、パートナーや家族と話し合っておくことも大切です。

遺伝カウンセリングを通じて、科学的根拠に基づいた情報と心理サポートを受けることで、納得のいく選択ができる環境を整えることが大切です。

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