トリプルX症候群(トリソミーX)とは?特徴や症状について解説!

トリプルX症候群
Triple x syndrome karyotype, Nondisjunction of sex chromosomes, Trisomy X

出生前診断により、生まれてくる赤ちゃんが性染色体異常であるトリプルX症候群(トリソミーX)と診断されることがあるかもしれません。
トリプルX症候群と聞くと、多くの人はどのような遺伝子疾患なのか不安を抱くと思います。
トリプルX症候群の人の多くは症状がないか少ないため、本人すら気づかず検査をしないため、診断されていない人が大半だと言われています。
そのため、病気というよりは「生まれつきの体質」とも考えられます。

しかし中には言語発達などに問題を抱える場合もあります。
今回は、トリプルX症候群とはどのようなものか、その特徴や症状などについて解説していきます。

トリプルX症候群(トリソミーX)とは

トリプルX症候群(トリソミーX)は、女児において通常2本であるX染色体が3本存在して生まれる性染色体異常です。
これは、一部またはすべての細胞にX染色体の過剰なコピーがある場合に発生します。
見た目には、一般の人と比較して大きな差はありませんが、平均よりも高い身長や曲がった小指、平らな足、目の内側の近くにある皮膚のひだなど、微妙な身体的違いが見られる場合もあります。

トリプルX症候群の症状には、個人差があり、健康と発達に影響がある人もいれば、特に問題はなく、症状が現れない人もいます。
一般的には、トリプルX症候群の人は妊娠や出産も可能ですが、場合によっては不妊症などの症状を持つこともあります。
また、腎臓や心臓に異常が見られる場合もあります。
知能レベルは正常とされていますが、一部の特定の学習障害と音声/表現言語の遅延などが見られる場合もあります。
これらはサポートにより改善が可能です。

妊婦さんが高齢であるほど、トリプルX症候群が発生する確率は高いと言われており、出生女児の約1,000人に1人は3本目のX染色体が認められています。

トリプルX症候群の特徴

トリプルX症候群の人は一般の女性と比べても、身体的特徴に大きな差はほとんどありません。
しかし、まれに下記のような特徴を呈することがあります。

  • 平均身長よりも高身長
  • 小指が曲がっている
  • 足が平である
  • 目の内側の近くにある皮膚にひだがある
  • 瞳孔間の距離が増大する

また、トリプルX症候群の赤ちゃんは、誕生時に一般の赤ちゃんと比較して、平均体重値がわずかに低い傾向があります。

また、発達においては下記のような特徴を呈する傾向があります。

  • 学習障害
  • 発育や感情発達の遅延
  • 音声、表現言語の遅延
  • 運動機能の遅延

乳児期や学童期の状況によっては、思春期に背部障害が悪化することもまれにあります。
これらの兆候の現れ方は緩やかなものであり、正常な染色体型を持つ女児と比較しにくいものから非常に深刻な症状を呈するものまでさまざまです。
発達の遅延の中でも、特に言語発達に問題があるケースが多いと言われています。

トリプルX症候群の原因

トリプルX症候群の原因については、詳しいことはまだわかっていません。
一説では、卵または精子形成の際の滅数分裂の異常が原因ではないかと推測され、老化などを背景に起こると考えられています。
妊婦の年齢が高くなるほど、胎児にこの症候群が発生する可能性が高くなっています。

染色体異常にはさまざまなものがありますが、トリプルX症候群の場合は何らかの異常により、通常は2本であるX染色体が3本に変異したものです。
通常、トリプルX症候群では1本の余分なX染色体は母親から受け継がれます。

染色体についてはコラム「染色体とは?基本から解説!」をご覧ください。

トリプルX症候群の検査方法

エコー検査を受ける妊婦

トリソミーXの出生前診断(検査方法)は大きく分けると「非確定的検査」と「確定的検査」の2つに分けられます。
非確定的検査を実施した後、染色体異常の可能性がある場合のみ、確定的検査を実施するのが一般的です。

非確定的検査には、以下の4つがあります。

  • 母体血清マーカー検査
  • コンバインド検査
  • 新型出生前診断(NIPT)
  • 超音波(エコー)検査

検査費用は検査をする施設によって異なりますが、最も安い超音波(エコー)検査が2万円程度、最も高い新型出生前診断(NIPT)が20万円程度と、幅があります。

それぞれの検査の特徴については、「出生前診断とは」のページをご覧ください。

トリプルX症候群の治療法

活発に遊ぶ子ども

治療を必要とする身体的症状がないため、トリプルX症候群に特に必要な治療はありません。
いかに、その子に合ったさまざまな体験をさせられるかが重要になります。
これらの体験が、心や身体、言語発達や思春期の状態に大きく影響すると考えられています。

仮に感情の発達に遅延が見られても、多くの人と関わる機会を設け、家族や友達などとスポーツや芸術に触れる経験を持つことで、豊かな感情を育むことができます。
言語の発達に遅延が見られる場合は、ある程度の期間、言語教育者などからの援助を受ける必要があるでしょう。
運動機能の遅延においては、親子でのスポーツ活動やグループ活動への参加が効果的です。

一部のトリプルX症候群の人に見られる背部障害については、乳児期から学童期にかけて、体操や水泳などのスポーツに取り組むことで運動機能の発達を促進し、予防することが可能です。
スポーツにより背中の筋肉の発達が促されると同時に、多くの小児と触れ合うことの効果も得られます。
トリプルX症候群の人は、グループで付き合うことを苦手とする人もいますが、そのような場合は早くに両親がその傾向に気付き、多くの人との触れ合いの機会を設けることで、困難を克服できるでしょう。

障がいがあったとしても、大切なのは、特別扱いをせずに普通に育てていくことです。

トリプルX症候群と診断された赤ちゃんの予後

トリプルX症候群と診断された赤ちゃんの予後は、一般的には正常です。
トリプルX症候群と診断された場合でも、小児期に疾患が悪化する危険性はほとんどありません。
一部の患者においては、思春期に背部障害が悪化する場合もありますが、その障害は、前述したように、乳児期から学童期にかけて、背中の筋肉を強化するスポーツを行うことで改善できます。

また、成人期において、トリプルX症候群のリスクの増加はないと言われています。

このように、トリプルX症候群と診断された場合でも、ほとんどの赤ちゃんは一般の赤ちゃんと同様に成長します。
しかし、予後が良好といえども、症状が現れた場合は適切に対処する必要があります。
自身の赤ちゃんがトリプルX症候群と診断された場合、疾患への正しい理解が必要不可欠と言えるでしょう。

トリプルX症候群と向き合うために

赤ちゃんがトリプルX症候群と診断された場合、さまざまな不安や心配が生じるかもしれません。
そのような場合には、遺伝カウンセリングを受けることをおすすめします。

遺伝カウンセリングとは、遺伝学の知識を持つ専門の医師などが、遺伝に関わる悩みや不安、疑問を持っている人を対象に、科学的根拠に基づく正しい知識を伝え、理解を深めるお手伝いをするものです。

まずは疾患に対して理解をしていただいた上で、十分に話を聞き、問題解決のために専門知識を活用した心理的・社会的な支援を行います。

例えば、下記のような不安に対して、専門家が対応します。

  • 出生前診断で胎児がトリプルX症候群であることが分かった
  • 家族に同じ疾患の人はいないのになぜ?

遺伝カウンセリングは、出生前診断を実施する前に受けることも有効です。
出生前診断を行うことで、あなたとパートナーが難しい選択をしなければならない時もあるかもしれません。
そのような場合のためにも、専門家がしっかりとアドバイスを行います。

いずれにせよ、遺伝カウンセリングで専門家の助言を受け、参考にした上で、あなたとパートナーでしっかりと話し合うことが重要です。

遺伝カウンセリングについてはこちらもご参考にしてください。

まとめ

予後が良好で、症状は軽度であることが多いトリプルX症候群。
しかし、出生前診断で赤ちゃんがトリプルX症候群であるとわかった場合、不安を抱く人も多いはずです。
まずは、遺伝カウンセリングなどにより、正しい知識を持ちましょう。
専門家からの助言を受けながら、あなたとパートナーとでコミュニケーションをとり、生まれてくる赤ちゃんのサポート体制を整えてください。


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