どういうときに帝王切開になる?費用やキズのケアなど徹底解説!

帝王切開

帝王切開は事前に決まっていればいろいろ調べて備えることができますが、普通分娩を予定していたにもかかわらず急遽行われることもあります。

どのような場合に緊急の帝王切開になるのでしょうか?
また、緊急でなくても帝王切開の傷跡は残るのか?費用はどのくらいかかるのか?など不安なポイントはたくさんありますよね。
今回は帝王切開の基本情報についてご紹介いたします。

帝王切開とは

帝王切開とは出産方法のひとつであり、子宮を切り開く、つまり手術という手技で子どもを娩出する方法です。

2017年に厚生労働省が発表したデータ(外部サイトへ移動します)によると、帝王切開した人の割合は、病院で出産した人の25.8%、診療所で出産した人の14%であり、件数から算出すると、4人に1人が帝王切開をしていることになります。

この割合は、平成初期である1990年と比較すると27年間で約2倍にも増加しています。

思いのほか帝王切開の割合が多くて驚かれたのではないでしょうか?

なぜこんなにも増えたのかというと、医療技術の進歩により、帝王切開のリスクが昔と比べて低くなったことが大きな点として挙げられるでしょう。

晩婚化により初産が35歳以上の高齢出産が増え、リスクが高い妊娠が増えています。
不妊治療の進歩により多胎妊娠(双子など)も増えています。

何が起こるかわからない経膣分娩を無理に行なうより、帝王切開の方がより安全に管理ができるようになり、医師側も妊婦さん側も帝王切開を望む機会が増えたと考えられます。

帝王切開の名前の由来

帝王切開という呼び方が日本で使われだしたのは結構古く、明治時代だと言われています。

ドイツの医学書を日本語に翻訳する際のミスが、現代の「帝王切開」という名前につながったとする説です。

ドイツ語では帝王切開のことを「Kaiserschnitt」と呼びます。
このkaiserとは、分離するという意味と皇帝という2つの意味を持ちます。

本来であればこの分離するというのが意味として適切なのですが、翻訳をした人が誤って皇帝という言葉で訳してしまったことから、日本では「帝王切開」という言葉が使われるようになったのではないかと言われています。

諸説ありますが、その頃の間違いがいまだに使われている、かもしれないと思うと、ちょっとおもしろいですね。

どういうときに帝王切開になるの?

帝王切開には予定帝王切開緊急帝王切開の2種類があります。

予定帝王切開とは言葉の通り、帝王切開の日にちを決めて、その日に帝王切開を行うことです。

一方、緊急帝王切開とはもともとは経腟分娩を予定していたのですが、妊娠経過中やお産の進行に伴い起きた何らかの理由によって、緊急で赤ちゃんを取り出さなければならなくなった場合に行なわれます。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

予定帝王切開

予定帝王切開の対象となるのは次のような方です。

  • 逆子である
  • 双子以上の多胎妊娠
  • 胎盤が子宮の出口をふさいでしまっている(前置胎盤)
  • 子宮筋腫の手術を受けていて出産時は帝王切開をするように医師から勧められている

また、以前に出産経験があり、次のような場合も予定帝王切開の対象となります。

  • 2回以上帝王切開をしている
  • 以前受けた帝王切開術が子宮縦切開や逆T字切開という方法で行われた
  • 一人目の子を帝王切開で出産した際に医師から次の出産も帝王切開で出産するようにと勧められた

これらが該当しなくても、経膣分娩に不安があり予定帝王切開を希望される場合、医師が認めれば可能になります。

ほかにも、ママが心臓や脳などに疾患を抱えており、経膣分娩によって母体の命にリスクがあると判断した場合にも予定帝王切開の対象となります。

緊急帝王切開

緊急帝王切開となるのは、赤ちゃん側とお母さん側それぞれの理由があります。

赤ちゃん側の理由
赤ちゃん側の理由として多いのは、心音の低下や仮死兆候といった健康状態に異常が見つかる胎児機能異常の場合です。

陣痛がきていて順調に出産の経過をたどっていても、赤ちゃんの身体がどこかに引っかかるなどして問題が起こる遅延分娩という場合もあります。

お母さん側の理由
お母さん側の理由として多いのは、常位胎盤早期剥離や前置胎盤の大量出血時や臍帯脱出などによって予定日よりも早く分娩が開始してしまったという場合です。

また、妊娠高血圧症候群などによってお母さんの体調が悪化し、妊娠継続が困難と判断された場合にも緊急帝王切開を行います。

帝王切開の流れ

帝王切開はどのような流れで進められるのでしょうか?

特に緊急帝王切開の場合は急遽行われるので、その流れを事前に知っておくことでもしもの時も慌てずに済むかもしれません。

手術まで

予定帝王切開の場合は事前に説明を受け、不安なことや疑問点を質問し、納得したうえで同意書にサインをします。

多くの場合は手術の前日から入院し備えます。

手術当日

帝王切開の手術の所要時間は30分~1時間程度です。
手術当日は飲食できません。

  • 点滴と、尿を出すための管を入れて導尿を行ないます。
  • 麻酔:大半は局所麻酔ですが、全身麻酔の場合もあります。
  • 切開:医師の判断でおなかを縦か横に切開します。
  • 誕生:赤ちゃんを取り出します。
  • 縫合:子宮を縫い、皮膚は医療用ホチキスや医療用テープなどで閉じます。
  • 母体に異常がなければベッドで病室へ戻ります。

局部麻酔の場合は意識があるので、赤ちゃんの産声を聞くことができます。

手術後

お腹の傷は麻酔が切れると痛み出します。
どうしても痛い場合は痛み止めを処方してもらいます。
お腹を切ったのだからしばらく安静に!と思われがちですが、経過が良ければ少しずつ身体を動かした方が回復が早くなります。

  • 当日か翌日から赤ちゃんへの授乳を開始します。
  • 食事はだいたい翌日からできます。
  • 抜糸や医療用ホチキスを外すのは術後約1週間です。
  • シャワーは術後1週間程度で浴びられます。
  • 入院期間も1週間~10日程度です。

帝王切開の麻酔は赤ちゃんに影響する?

麻酔が赤ちゃんに何か影響しないかと不安になるかもしれませんが、影響はほとんどありませんので安心してください。

ごくまれに、赤ちゃんが麻酔によって眠そうな状態で出てきてしまうことがあるようですが、お医者さんが適宜対応するので心配はいりません。

また、体質によって麻酔が効きにくく、痛みが生じるという方もいらっしゃいますが、これについても産婦人科医と麻酔科医が適宜対応をしていき、痛みを取り除きながら帝王切開に臨めるよう配慮がなされます。

帝王切開でも後陣痛は起こる?

後陣痛(こうじんつう)とは、出産後に子宮が元の大きさに戻ろうとして急激に収縮するために起こる痛みのことです。

帝王切開後でも後陣痛は起こると考えられています。
特に、予定帝王切開を受けられた方の場合は、陣痛が始まる前に分娩をしているため、陣痛そのものの痛みを経験していません。
そのため、後陣痛がより一層痛く感じる傾向にあると考えられています。
とはいえ、これには個人差があります。

帝王切開の切り方の違い

帝王切開の切り方の違い
vector illustration of sutures after cesarean section

帝王切開の切り方には「縦切開」「横切開」があります。

縦切開
縦切開とは臍から下に向かって縦に切り開く方法です。
子宮前壁を子宮上部または子宮底部に向けて縦に切開するというこの方法は帝王切開が普及してからずっと行われているいわば、昔から行われている手技といえます。

横切開
横切開は、前置胎盤で帝王切開となった場合、胎児が背部を下にした横位でいる場合、早産の場合,子宮下部の発達が不十分であった場合,胎児異常が存在する場合に行ないます。

縦切開では傷が目立ってしまうことや、子宮の筋肉を広く切るということから出血量が増えるというリスクがあります。

ですが、腹直筋を傷つけるリスクが少ないことや、子宮の筋肉をしっかりと広く切れるということもあり安全に行えるというメリットがあります。

以前に帝王切開あるいは別の手術で縦切開をしたことがある場合はその傷跡の上から切開をしていきます。

横切開は予定帝王切開の場合に多く行われる方法で、子宮体下部つまり子宮の下の方、ちょうどアンダーヘアーの少し上のあたりを横に切るという方法です。

傷が目立ちにくいため審美的な観点からは良い方法ではあるものの、腹直筋と癒着しやすくなってしまうため、次の帝王切開の時に傷が硬くなってしまい、切開が難航する可能性があります。

緊急帝王切開の場合には安全性を考慮して縦切開で行うことが多いです。

帝王切開による傷跡

帝王切開の傷跡、できれば綺麗に治ってほしいですよね。

帝王切開の傷跡はゆっくりではありますが徐々に薄くなっていき、最終的には白く目立たなくなっていくのが一般的です。

帝王切開が終わってから3日程は痛みが最も強くなる時期で、3日以降は傷を治そうと細胞が増殖し初めます。

この過程で傷が赤くなったりかゆみを伴ったりすることもあります。

そして3週間後から1年ほどかけて徐々に傷が白くなっていきます。

これが、一般的な傷跡の回復過程ではありますが、なかには肥厚性瘢痕といい切った傷に沿って赤く盛り上がったり、肥厚性瘢痕がさらに悪化してケロイドとなり、傷が目立って残ることもあります。

肥厚性瘢痕はお腹の手術では起こりやすいと考えられており、肥厚性瘢痕がケロイドにならずに傷跡が目立たなくなるには1~5年かかることもあります。

ケロイドについては、体質も影響すると考えられています。

縦切開の方で約3人に1人、横切開の方で約6人に1人がこのように傷跡のトラブルに見舞われるというデータがあります。

帝王切開後の傷がなるべく残らないようにするためには、帝王切開後なるべく早いタイミングで傷跡をケアしていくことが推奨されます。

帝王切開の傷跡ケア

帝王切開の傷跡ケア
Woman is applying patch with a silicone sheeting on her scar after C-section surgery.

傷跡のケアの方法として最も知られているのがテープを用いたテーピング法です。
きれいな傷跡にするために必要なこととしては、傷口の固定と安静、そして傷跡を過度に乾燥させたりこすったりといった刺激を与えないことです。
この両方を守るためにテーピング法が有効です。

このテープを無理にはがしてしまうとその時の刺激で傷跡が残りやすくなる可能性があるので、このテープは自然にはがれるまで待ちましょう。

その後に使う傷跡専用のテープもあります。

このテープは毎日都度交換するとかぶれたり、傷跡に刺激を与えたりして傷が悪化する可能性があるので、基本は3~5日ごとの交換としましょう。

テープについては、医療機関の売店などでも販売されているため予定帝王切開の方では入院前に、緊急帝王切開の方も状態が落ち着いてから、病院内で購入されるとよいでしょう。

市販品もありますのでご家族に買っておいてもらうなどすぐに使えるように用意しておくとよいでしょう。

テープを貼り始めて3か月ほどたち、傷に硬さや赤み、つっぱり、かゆみ、痛みがなければ傷跡のケアは終了です。

ただし、ケアをしている過程で傷の赤みが増している、痛みやかゆみがある、つっぱる、ひりひりする、テープに汁がついているという場合にはすぐに医療機関へ相談されることをおすすめします。

帝王切開のメリット

経膣分娩では何らかのリスクがある場合に行なう帝王切開は、母子ともに安全性を高めることができます。

経膣分娩では陣痛が起こってから産道を通って生まれてくるまでにさまざまなリスクがありますので、それらを回避することもできます。

また、出産後将来的に母体に起こりうると考えられている子宮下垂や子宮脱といった母体のトラブルを発生させる可能性を低くすることができるとも考えられています。

そして、経膣分娩のデメリットは帝王切開のメリットです。
帝王切開では

  • 陣痛がない(陣痛の痛みを回避できる)
  • 出産時間が短い
  • 出産日が事前に決まっている(家族も予定を組みやすい)

手術でお腹を切ると思うと怖いイメージが先行してしまいがちですが、メリットを最大限活かして「帝王切開でよかった」と感じたいですね。

帝王切開のリスク

帝王切開は開腹手術ですので、血栓症や術後癒着など手術に伴うリスクがあります。

特に、妊娠中は血栓ができやすい状態となっていることに加えて手術によっても血栓ができやすくなるため、血栓症形成のリスクは高いと考えられています。

そのため、血栓症が形成されないように術後は男性ストッキングの着用や下肢加圧ポンプを使用して対策を行います。

また、傷を治していくという過程で傷以外の他の組織がくっつく癒着という状態が起こってしまいます。

癒着をすることによって癒着性の腸閉塞、不妊症になる可能性が考えられます。

腹部の臓器が癒着していることによって慢性的な腹痛を抱えたり、次回の帝王切開あるいは別の病気で腹部の手術を行ったときに癒着によって手術が困難となるというリスクもあります。

人によっては次のようなことも考えられます。

  • 手術による不安や恐怖
  • 手術の説明が十分に理解できない
  • 経膣分娩ができなかったことによる喪失感情や悲嘆感情

手術に対する不安や疑問点は、納得がいくまで質問するようにしましょう。
また、大事なのは産み方ではなく育て方です。
かわいい我が子との時間を大切にしてください。

一人目が帝王切開なら、二人目も帝王切開なのか?

帝王切開後に第二子を妊娠された場合、帝王切開となるケースと、経膣分娩が可能なケースがあります。

帝王切開後でも経膣分娩が可能となるケースは次のような場合です。

  • 帝王切開が1回のみで、帝王切開以外に子宮にメスを入れるような手術を受けていない
  • 以前の帝王切開が横切開であり術後の経過に問題がなかったと前回の帝王切開を行った医師が認めている場合
  • 母体の骨盤が充分に広い
  • 子どもが骨盤位ではない
  • 双子などの多胎児ではない場合

これを満たしていれば二人目を経膣分娩で産むことも可能です。

一方、二人目も帝王切開となるケースは次のような場合です。

  • 帝王切開を2回以上しているもしくは帝王切開以外に子宮筋腫摘出術などの手術を行っている
  • 今回の妊娠で骨盤位である、多胎児である
  • 妊娠経過中に超音波で以前の子宮切開創に薄い部分がある
  • 前回の帝王切開時もしくは子宮にメスを入れる手術を受けた際に医師から帝王切開を勧められている

二人目の出産を経膣分娩で行う場合、予定帝王切開に比べて子宮破裂のリスクが2倍あること、陣痛を誘発するためのお薬が使用できないため、経膣分娩を希望されていても予定日を過ぎたら帝王切開に切り替えなければならなないことを了承しておかなければなりません。

また、2回目の帝王切開は癒着に伴う出血や臓器の損傷リスクが高まり帝王切開を行えば行うほどそのリスクは高くなります。

三人目までを考えているという場合は、三人目の時にさらに合併症を抱えるリスクが高まるということを考慮する必要があります。

帝王切開の費用

経膣分娩の場合、出産をする施設やその地域によっても異なりますが、健康保険が適用されない自由診療のため、出産費用としておよそ50万円程度かかります。(分娩時にかかる入院料などを含めて)

帝王切開の場合、手術の診療報酬点数として予定帝王切開の場合201,400円、緊急帝王切開の場合222,000円が追加されますが、こちらは健康保険が適用され3割負担となるため、追加の自己負担額は予定帝王切開で60,420円、緊急帝王切開で66,600円となります。

それに加えて、入院日数が2~3日長くなることや手術内容により、トータルでおよそ10~20万円程度負担額が増えると考えておいた方がよいでしょう。

帝王切開の費用の補助

経膣分娩でも帝王切開でも、加入している健康保険組合から出産育児一時金として子ども1人につき基本42万円もらえます。

医療費控除もどちらの場合でも利用できます。

医療費控除は、1年間での家族の医療費が一定額を超えた場合に、確定申告をすると払い過ぎた税金が戻ってくる制度です。

戻ってくる金額は、かかった費用や所得などによって異なります。

帝王切開の場合はそれに加えて、高額療養費制度が利用できます。

高額療養費は、健康保険が適用される治療をした人(帝王切開など)で、1ヶ月の自己負担限度額を超えた場合に、超過分が戻ってくる制度です。

戻ってくる金額は所得などによって異なります。

その他、ご自身が加入している保険やお住まいの地域によっても異なりますので、自治体などに問い合わせてみるのがよいでしょう。

まとめ

帝王切開は日本でも歴史があり、多くの赤ちゃんが帝王切開によって産まれています。

手術に対する不安は大きいでしょうが、帝王切開のことを知ることによって、少しでもその不安が軽減し、かわいい赤ちゃんとの対面を楽しみに日々を過ごせることを願っています。


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