妊娠後期になりいよいよ出産が近づいてきた妊娠34週から、働いているママは産休に入れます。
もうすぐ赤ちゃんに会える喜びと同時に、産休の間のお給料はどうなるのか?産休中にやっておいた方がいいことは何かなど、心配事もたくさんありますね。
ここでは、産休の期間や産休中にもらえる手当などについてご紹介していきます!
産休とは
産休とは働きながら出産するすべてのママが取得できる、出産や出産後の体の回復のために仕事を休めるよう労働基準法により国が法律で定めている休業制度のことです。
出産前の産休を「産前休業」、出産後の産休を「産後休業」といい合わせて「産前産後休業」を略して「産休」と呼んでいます。
出産前に、出産や出産後の準備のために仕事を休める休業期間を「産前休業」といいます。
出産後にママの体の回復を目的として必ず仕事を休まなければならない期間を「産後休業」といいます。
産休は働くママのための出産に伴う休業制度なので、育休とは違ってパパは取れません。
産休はいつからいつまで?
【産休がとれる期間】
産休の期間は、産前と産後でそれぞれ決まっています。
【産前休業】
産前休業は出産予定日の6週間前から取得可能ですので、妊娠34週から産休を取ることが可能です。
ただし、任意の休業制度のため体調が良く妊娠の経過も順調でもう少し働きたいとママが希望するなら、妊娠34週以降の好きなタイミングで産休を取ることができますし、出産直前まで仕事を続けることもできます。
また双子以上の多胎妊娠の場合はママの体への負担が大きく早産のリスクもあるため、出産予定日14週間前から取得可能ですので、妊娠26週から産休を取ることが可能です。
出産前の産休は体調と妊娠の経過を優先しつつ、お仕事との兼ね合いでいつからお休みを取るのかを検討しましょう。
【産後休業】
出産後の産休は、出産翌日から8週間取得できます。
出産はママにとって体に大きな負担がかかりますので、産前休業と違いこちらは必ず取得しなければなりません。
ただし本人が希望し医師が認めた場合は産後6週間の休業後に仕事復帰することも可能です。
早く仕事復帰したい場合でも、産後6週間は就業してはいけないことになっています。
出産予定日の数え方については、「コラム:意外と間違いやすい!妊娠週数の数え方と出産予定日の計算」もご参考にしてください。
産休を取れる人
産休は労働基準法で定められていますので、企業に勤める妊娠中の女性なら雇用形態に関係なく取得する権利があります。
正社員ではない、パートや契約社員、派遣やアルバイトであっても、またお勤めの会社に産休に関する就業規則の定めがない場合でも、産休を取得できます。
産休の取得方法
産休を取るためには、お勤めの会社に申請する必要があります。
出産前の産休は6週間前から取れますので、仕事の引継ぎなども考えて早めに申請しましょう。
社内に妊娠の報告をした時点で、一度担当部署に必要書類や申請期日などについて確認しておくとよいですね。
必要書類として一般的なのは、母子手帳や健康保険証、印鑑などがあります。
産休に入る前に上司とも相談しながらゆとりを持って引継ぎの計画を立てましょう。
気持ちよく仕事復帰するためにも、社内外の方への挨拶も忘れないようにしましょう。
産休中の給料-出産手当金-
産休中にお給料がもらえるのかどうかは家計にとって大きな問題ですね。
残念ながら産休中はお給料は出ません。
しかしその間の生活を金銭的にサポートするための制度がいくつかあり、その中でも産休中の給料の代わりとしてもらえる可能性があるのが「出産手当金」です。
出産手当金をもらえる人には条件があります。
【出産手当金をもらうための条件】
- 勤務先の雇用保険に1年以上加入していること
- 産後も仕事を続けること
- 産休中に給与をもらってないこと
反対に以下のような人は出産手当金をもらうことができません。
【出産手当金をもらえない人】
- 勤続1年に満たない人
- パパの会社の健康保険に加入しているパートの人
- 国民健康保険に加入しているアルバイトの人
出産手当金は産休を取るママが勤務先の健康保険に加入している必要がありますので、旦那さんの健康保険に加入していたり、勤め先の健康保険ではなく国民健康保険に加入している場合はもらうことができません。
【出産手当金のもらえる金額】
- 日給の3分の2 × 産休の日数分
出産手当金のもらえる金額は、産休の日数によって変わってきます。
産休中の手当
産休中は出産手当金のほか、次のような金銭的サポートのための制度があります。
【産休期間の手当】
- 出産育児一時金
- 社会保険料免除
産休期間以外でも、妊娠・出産に当たっては何かとお金がかかります。
出産は病気ではありませんので基本的には健康保険は適用外ですが、妊娠中のトラブルなどで高額の医療費がかかった場合は医療費控除や高額療養費の対象となることもあります。
出産育児一時金
出産育児一時金とは分娩・入院にかかる高額な費用の負担を軽減するため、子ども一人の出産につき50万円が支給される制度のことです。
これまでは1児につき42万円でしたが、令和5年4月1日以降の出産より50万円に引き上げられました。
もらえるための条件は、健康保険に加入しているもしくはその被扶養者であることです。
双子の場合は100万円もらえます。
もらう方法としては原則として事前に手続きをし、健康保険から病院へ直接お金を支払ってもらう「直接支払制度」を利用します。
分娩・入院の際に50万円を超えた差額分を支払うことになります。
社会保険料免除
「産前産後休業保険料免除制度」というのがあり、産休中は社会保険料が免除される制度のことです。
社会保険料には健康保険や厚生年金保険があり、自己負担分も会社負担分も免除されます。
免除されていても将来受け取れる年金の減額などはありません。
詳しくは、産休を勤め先に申請するときに一緒に確認してみてください。
出産予定日がずれたときの産休は?
出産予定日は妊娠40週0日を基準として特定しますが、予定通りに生まれる確率は全体の2%程度ですので、ほとんどは出産予定日に産まれてきません。
産休の申請時と出産日がずれると産前や産後の産休の日数などはどうなるのでしょうか?
【出産予定日よりも早く産まれた場合】
予定よりも早く産まれた場合、産前の産休が申請時より短くなり、出産日の翌日から産後の産休が始まります。
【出産予定日よりも遅く産まれた場合】
予定よりも遅く産まれた場合、産前の産休が申請時より長くなり、出産日の翌日から産後の産休が始まります。
その場合でも、産後休業の期間が短縮されることはなく8週間のままです。
産休中にやっておこう!
産休が取れる妊娠後期は、おなかの赤ちゃんがぐんぐんと成長するためママのおなかはますます大きくなり、張りやすく体がむくみ、腰痛がツライといった症状が増えてきます。
また妊娠高血圧症候群や切迫早産などのトラブルもおこりやすいため、ママの体調を第一優先にして無理をしないことを心掛けましょう。
出産のための入院や出産後にバタバタしないためにも、産休中に準備をしておきましょう!
【産休中にやっておきたいこと】
- お産入院の準備
- 産院への移動手段の確保
- ベビーグッズの用意
- 里帰り出産の移動
陣痛から入院、出産までの流れをシュミレーションして、パパやご家族との連携なども話し合っておきましょう。
出産後にすぐに赤ちゃんを快適に迎えられるよう、ベビーグッズの用意とベビースペースを確保しておきましょう。
お産入院の準備
産休は妊娠34週頃から取れますが、妊娠37週から妊娠41週までの期間に出産することを「正期産」といい、母子ともにもっとも出産によるリスクが少ない期間とされています。
そのため妊娠37週になるといつ産まれてもおかしくありません。
陣痛がいつ始まってもいいように、早めにお産入院に必要なものの準備をしてまとめておきましょう。
産院への移動手段の確保
お産のはじまりは陣痛か破水です。
陣痛が10分おきにくるようになった場合や破水した場合はまずは病院へ連絡をしてください。
この状態で自力で病院へ行くことは困難ですので、いつ・どこでおこってもすみやかに病院へ移動できるよう移動手段を確保しておきましょう。
タクシーを使う場合は陣痛タクシーを事前に予約しておくと便利です。
出産予定日や出産する病院などを登録しておくと、陣痛がきた時に優先的に配車してくれるサービスで、たいていは登録無料です。
ベビーグッズの用意
ベビーウェアなどは見ているとあれもこれも欲しくなると思いますが、まずは必要最低限だけそろえておきましょう。
哺乳瓶などの授乳グッズや、ベビーバスなどの沐浴グッズ、お布団やタオルケットなどすぐに必要なものを用意し、おむつや肌着などはサイズや肌に合う合わないがありますのでまとめ買いは避けた方が無難です。
里帰り出産の移動
里帰り出産の人は、産休が始まる34週目頃までには帰省しておけるのが理想です。
帰省先の病院で妊婦健診を受けるためには妊娠32週~34週が目安です。
里帰り出産をする人は、帰省中にパパが生活に困らないよう申し送りをしておきましょう。
また、パパとの連絡はこまめに取っておきましょう。
まとめ
産休は働く妊娠中の女性ならだれでも取る権利があります。
妊娠中は体調が変化しやすく心も不安定になりがちですが、安心してお休みに入って気持ちよく職場復帰できるよう、引継ぎや挨拶はしっかりとしておきましょう。
産休でご自身の身体をいたわるとともに、赤ちゃんとの新しい生活に向けての準備期間として上手に活用したいですね!
【参考】