駅構内のポスターや街中で女性がカバンにつけているのを見かける機会が増えたマタニティマークですが、何のためのものか意味まで理解している人は特に中高年の男性において少ないようです。
いったい何のためのマークなのでしょうか?
また意味や意義を知っている女性でも、つけるタイミングに悩む方が多いようです。
今回はマタニティマークのメリットやデメリット、もらえる場所などについてご紹介いたします。
マタニティマークとは
マタニティマークとは交通機関や飲食店、公共機関等を妊産婦さんが利用する際に身につけることで周囲の人が配慮をしやすくなり、やさしい環境づくりを促すためのものです。
妊娠するとつわりなど体調の変化やおなかが大きくなることによる行動のし辛さなどがあり、病気ではないものの車いすの方やご年配の方と同じようになにかあれば周囲が手を差し伸べられるよう、一人ひとりの理解と協力が欠かせません。
特に妊娠初期ではまだおなかが大きくなく外見からは分かりませんが、吐き気や胃や胸のムカつきなどつわりの症状がツラい時期でもあります。
妊娠初期の中でも妊娠2~3ヶ月は流産が起こりやすいうえに胎児の脳や脊髄、中枢神経系に重要な役割を担う神経管が形成される時期でもあり、おなかの赤ちゃんにとっても大切な時期です。
しかし、つわりのつらさは人には伝わりにくいものですし外見からは妊婦さんだと分からないため「電車の優先席に座りづらい」「たばこの煙が気になる」などさまざまな苦労があります。
マタニティマークをつけていることで、周囲の人が妊婦さんだと分かり配慮をしやすくなります。
【マタニティマークの役割】
- 妊婦であることを示すことで周囲が配慮しやすくなる
- 急病や事故の際に妊婦であることを知らせる
- 交通機関等の優先席を利用しやすくする
- 受動喫煙の防止を周囲へも示す
周囲の人が配慮をしやすくなるだけでなく、急病や災害時などもしもの際にご本人の意識がなかったとしても適切な対応が取りやすくなります。
マークの認知度
妊婦さんや出産後のママへの配慮を呼びかけるために各団体でさまざまなマークがありましたが、誰が見ても分かりやすいように2006年に厚生労働省から現在の「マタニティマーク」が発表されました。
それから16年ほど経ち、公共機関でマークに関するポスターや街中でストラップを付けている女性を見かける機会は多分にあったかと思います。
平成26年に内閣府・厚生労働省が実施した調査によると女性への認知度は全世代を通して高かった一方で、20~40代の子育て世代の男性は約半数が知っている、あるいは言葉だけ知っているという結果でした。
50代以上の男性ではその内容まで知っているのは4~5人に1人という結果になり、中高年の男性への認知度は低くマークの存在自体を知らない人も多数のようです。
マタニティマークの認知度については、厚生労働省のホームページもご参考にしてください。
マタニティマーク ファクトブック | 厚生労働省(外部サイトへ移動します)
妊婦さんの使用率
マタニティマークを妊婦さんが使っている割合は調査方法などによっても異なりますが、上記の厚生労働省の調査によると、52.3%の母親が使用していないことが分かったそうです。
もちろんマークを使用することは義務でもなんでもないため、メリットとデメリットを理解したうえでご自身の判断で決めればよいことです。
マークの意味を社会が正しく理解して妊産婦さんにやさしい環境づくりがもっと進むといいですね。
なんのために?つけるメリット
困っていそうな人がいたらすぐに手を差し伸べられる社会が理想ですが、困っていても我慢してしまう人や、手を差し伸べたくても躊躇してしまう人が多いのが現状です。
つわりでツラい時でも通勤や日常の移動で電車やバスを使わざるを得ないとき、優先席や優先駐車スペースを利用しやすくなり、周囲の人も座席をゆずりやすくなります。
飲食店でも、たばこの煙に配慮してくれたりゆったりした席に案内してくれることもあります。
重いものを運ばないといけないとき、誰かが助けてくれるかもしれません。
またマークが見えなくても身につけておくことで、急病や事故などもしもの際に役立ちます。
マタニティマークは座席をゆずってなどの配慮をアピールするものではなく、周囲の方の配慮したい気持ちを後押しするものです。
つけるデメリット
近年ではマタニティマークをつけていることで心無い言葉をかけられたり危ない目に合うケースがあるとして、つけない人が増えているそうです。
これはマークの正しい意味を理解しておらず、「妊娠して幸せアピールしているように感じる」「座席をゆずるなどの配慮を強要されているように感じる」ととらえる人が一定数いるためでしょう。
あえてぶつかってくる人がいたり、ひどい時には本当に妊娠しているのかとおなかを叩かれたというケースもあるようで、心無い人がいることに悲しくなります。
マークの趣旨がもっと多くの人に伝わるとよいですね。
嫌がらせをされたといった声は少数でも目立つため付けるのをためらう人が多いようですが、実際はつけていてよかったと感じる妊婦さんが多数のようです。
マークを携帯しておいて、体調がすぐれず配慮が必要なときだけ見えるようにするなど状況に合わせて使い分けるのもよいかもしれませんね。
マタニティマークをつけた人を見かけたら
妊婦さんへの配慮とは具体的にどのようなことなのでしょうか?
政府広報オンラインによると、妊娠中または3歳未満の子どもがいる母親を対象に平成16年に行なった調査では以下のようでした。
【外出先で困ること、周りの人たちに手助けしてもらいたいこと】
- 階段や段差
- バスや電車で座席を譲ること
- タバコの煙
特に小さな子どもがいてベビーカーがある場合、階段や段差の移動は一苦労です。
ベビーカーを運んでくれたりたたんでもらえると助かるという声が多いようです。
一見妊婦さんと分からない女性でも、吐き気や嘔吐を我慢してバスや電車で移動しなければならない機会は多く、そのようなときに座席を譲ってもらえるとやはりありがたいようです。
タバコの煙による害は受動喫煙でも同じで、赤ちゃんが小さく生まれるリスクのほか、流産や早産になる確率が高くなります。
昨今は喫煙場所について気を使っている方が多いと思いますが、マタニティマークをつけた女性を見かけたら近くでの喫煙は控えましょう。
そのほか、具合が悪そうにしていたら声をかけてくれた、大きな荷物と小さな子どもを抱えていたら声をかけてくれたなど、思いやりの一言で勇気づけられたという妊婦さんが多いようです。
困っていそうな人を見かけたら、「何かお手伝いしましょうか?」と一言声をかけてあげると喜ばれるかもしれません。
こちらもご参考にしてください。
妊産婦さんと赤ちゃんへの思いやり マタニティマーク | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン(外部サイトへ移動します)
どこでもらえるの?
マタニティマークは自治体で母子手帳とともに配布していることが多く、無料でもらうことができます。
医療機関で妊娠が確定したら、役所へ「妊娠届出書」を早めに提出しに行きましょう。
妊娠届を提出するとお住まいの地域の役所や保健センターで、母子手帳や妊婦健診の割引券、地域の妊娠や子育てに関する情報などとともにマタニティマークをもらえます。
またJRや東京メトロなど鉄道各社の独自のサービスで駅事務室やお客様相談室などで無料で配布している場合もありますので、欲しい方は問い合わせてみてください。
マタニティマークは営利目的では使用できませんが、実費相当分なら販売も可能ですのでネット通販などで安く購入することもできます。
雑誌の付録でもらえることもあります。
個人利用については厚生労働省のホームページからマークをダウンロードして自由に使うことができますので、オリジナルのグッズを作るのも楽しいですね。
マタニティマークについて |厚生労働省(外部サイトへ移動します)
いつからいつまでつけるの?
マークは「妊婦さんまたは出産後まもないママ」のためのものなので、具体的にいつからいつまでつけるべきと決まっているわけではありません。
おなかが大きくなってきた妊娠中期以降からつける方が多いようですが、前述のとおり妊娠初期のつわりがツラい時期こそサポートは必要なのに見た目からは分からないため、つわりが始まったらつけても良いでしょう。
妊娠後期になりおなかがさらに大きくなったら外すという妊婦さんもいますが、「ふくよかな人なのか妊婦さんなのか分からず声を掛けられない」という意見もあります。
まとめ
マタニティマークは妊産婦であることを周囲の人に知ってもらい、周囲の人が配慮をしやすくするためのものです。
もっとマークへの理解が進むことを願うとともに、メリットとデメリットを知った上で妊婦さんご本人が臨機応変に上手く活用できればよいのではないかと思います。
妊娠が分かったら早めにご検討ください。