
「お酒やタバコ以外にやめるべきことは?」「薬や食事はどうすればいい?」 妊娠がわかると、これまでの当たり前だった生活習慣に多くの疑問が生まれます。
特に赤ちゃんの大切な器官が形成される妊娠初期は、正しい知識を持って過ごしたい重要な時期です。
このコラムでは「今すぐやめるべきこと」から「判断に迷いやすい生活習慣」まで、妊娠初期の今だからこそ確認しておきたいことをチェックリスト形式でまとめました。
不安を減らし安心して毎日を過ごすために、まずは今の生活を一緒に確認していきましょう。
【今の生活をチェック】妊娠初期のNG習慣リスト
妊娠がわかったばかりの今、まずはご自身の生活習慣をチェックしてみましょう。 当てはまる項目があれば、これからの過ごし方を見直すヒントにしてくださいね。
1. 今すぐ中止すべき習慣
赤ちゃんの器官がつくられる大切な時期です。まずはここから見直しましょう。
- お酒を飲んでいる
- タバコを吸っている、または周囲に喫煙者がいる
2. 食生活・飲み物
- カフェイン(コーヒー、濃いお茶等)を1日に3杯以上飲んでいる
- エナジードリンクを常飲している
- お刺身、生ハム、生卵、ナチュラルチーズなどの生ものをよく食べている
- 大型魚やレバー、うなぎを頻繁に食べている
- ハーブティー(ハトムギ、レモングラス等)を日常的に飲んでいる
3. 日常生活・動作
- 徒歩で重い荷物(米や水)の買い物に行っている
- 買い物や通勤で、日常的に自転車やバイクに乗っている
- 42℃以上の熱いお風呂や、サウナ・岩盤浴をよく利用する
- 猫のトイレ掃除や、鳥のケージ掃除を自分で行っている
- ヒールの高い靴や、脱げやすいサンダルを履いている
- 仕事や家事で、長時間立ちっぱなしや同じ姿勢を続けている
4. 健康管理・医療・ケア
- 妊娠前から飲んでいる薬やサプリ、漢方を続けている
- 肩こりや腰痛で、市販の湿布を貼っている
- 近日中にレントゲン、歯科治療、ワクチン接種の予定がある
- ヘアカラー、ネイル、まつエク、脱毛などの美容ケアを予定している
- 少量の不正出血や、ちくちくとした腹痛が続いている
- 避妊具(コンドーム)なしで性行為を行っている
妊娠初期に気をつけること【今すぐやめる行動】

妊娠初期(特に4週~7週)は、赤ちゃんの脳や心臓など重要な器官が作られる極めて大切な時期です。
妊娠に気づいたらまずは以下の嗜好品をただちに中止しましょう。近年、妊婦さんの意識向上により飲酒・喫煙率は低下していますが、周囲の理解を含めた徹底した対策が必要です。
【妊娠中の飲酒率と喫煙率の推移】
| 平成12年 | 平成22年 | 令和5年 | |
|---|---|---|---|
| 妊婦の飲酒率 | 18.1% | 8.7% | 1.1% |
| 妊婦の喫煙率 | 10.0% | 5.0% | 2.0% |
| 妊婦同居者の喫煙率 | 45.7% | 27.9% | 17.6% |

このように、妊娠中の飲酒と喫煙率は1~2%まで減少しましたが、同居者の喫煙率は17.6%と依然として高いことが分かっています。
アルコール

妊娠中の飲酒は胎児の顔面を中心とする形態異常、知的発達の遅れ、注意欠如・多動症(ADHD)などを伴う「胎児性アルコール・スペクトラム障害(FASD)」を引き起こす可能性があります。
妊娠中の飲酒に「安全な量」や「安全な時期」はないと考えられており、飲酒量が増えるほどリスクも高くなります。
特に知的能力障害については、遺伝性でないものの中ではアルコールが最多の原因であるという指摘もあります。1)
【安心のための知識:全か無かの法則】
「妊娠に気づくまでお酒を飲んでしまっていた」と自分を責める必要はありません。妊娠3週頃までのごく初期には「全か無かの法則」があり、強い影響があれば妊娠が継続せず、継続している場合は正常に発育する可能性が高いと考えられています。
喫煙・受動喫煙

タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素は、血管を収縮させ赤ちゃんへ届く酸素や栄養を著しく減少させます。
妊娠中に喫煙すると、胎児に口唇口蓋裂、内臓や手足の形態異常が起こる可能性のほか、低出生体重や早産などのリスクを高めます。
喫煙本数が多いほど、また喫煙期間が長いほど、これらのリスクは高くなることが分かっています。
妊娠に気づくまでタバコを吸っていた場合でも、禁煙後数日で血液中の一酸化炭素濃度は下がり、赤ちゃんへ酸素が届きやすくなります。今すぐやめることでリスクを下げることができます。
【周囲の協力(受動喫煙対策)が不可欠】
自分自身が吸わなくても、周囲の煙を吸い込む受動喫煙により流産や乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクが高まります。 パートナーや同居家族にも妊娠をきっかけに禁煙してもらう、あるいは「ベランダなら良い」ではなく、外食時や外出時を含めて煙を避ける環境づくりを相談しましょう。
妊娠初期に気をつけること【判断に迷いやすい生活習慣】
妊娠初期は外見の変化が少ないため周囲から体調の悪さを気づかれにくい時期です。しかし体内では赤ちゃんの脳や心臓といった重要な器官が急速につくられています。
「これは続けてもいいの?」と迷う習慣について、正しい知識を確認しておきましょう。
薬・サプリメント・漢方薬
妊娠中の服用は「以前から飲んでいるから」と自己判断せず、必ず医師や薬剤師に相談するのが鉄則です。
- 市販の解熱鎮痛剤(NSAIDs)に注意:ロキソニン、イブ、バファリンAなどに含まれる成分は、胎児の発育に影響を及ぼす可能性があるため原則として避けます。
- 湿布(貼り薬)も慎重に:「飲み薬でなければ大丈夫」と思われがちですが、ロキソニンテープなどの成分は皮膚から吸収されて全身を巡ります。湿布の使用も医師に相談しましょう
- サプリメントの過剰摂取:特にビタミンA(レチノール)の過剰摂取は赤ちゃんの形態異常のリスクを高めます。また、大豆イソフラボンや特定のハーブ類も、濃縮されたサプリメントでの摂取は控えましょう。
- 漢方薬も「天然だから安全」ではない:子宮収縮を促す成分(大黄など)や、むくみを悪化させる成分(甘草など)を含むものがあります。必ず専門家に相談してください。
ワクチン・歯科治療・レントゲン
医療機関にかかる際は、必ず妊娠中であることを伝えましょう。
| 項目 | 可否・注意点 |
|---|---|
| インフルエンザワクチン | 接種推奨。 不活化ワクチンのため安全であり、妊娠中に感染すると重症化しやすいため接種が推奨されています。 |
| 麻疹・風疹ワクチン | 禁止。 「生ワクチン」のため、胎児への安全性が確立されていません。 |
| 歯科治療 | 可能。 ただし、安定期(16週以降)に行うのが一般的です。痛みがある場合は応急処置を行います。 |
| ホワイトニング | 避ける。 薬剤の胎児への影響が十分に確認されていないため、多くの歯科で推奨されません。 |
| レントゲン | 問題なし。 歯科や胸部のレントゲンによる被ばく量は極めてわずかです。腹部を保護する防護エプロンを着用すれば安心です。 |
カフェイン

カフェインは禁止する必要はありませんが、過剰摂取は流産や胎児の発育不全のリスクがあります。
- 摂取量の目安:コーヒーであれば1日1〜2杯程度(カフェイン200mg程度)に留めましょう。
- 注意すべき飲み物:エナジードリンクはカフェイン含有量が多く、糖分も高いため控えましょう。また、濃い緑茶や紅茶も飲みすぎないようにしましょう。
- 体調への影響:カフェインは動悸や不眠を招きつわりの吐き気を強めることもあります。
妊娠前からカフェイン摂取の習慣がある方は無理に我慢せず、体調に合わせて量を調整しましょう。
日常動作(体に負担がかかる動き)
特別な運動よりも、毎日の何気ない動作に注意が必要です。ホルモンの影響でめまいや立ちくらみが起きやすいため転倒には十分注意してください。
- 腹圧がかかる動作:重い荷物を持つ(上の子を抱っこする、米や水を買う)、長時間の中腰(床掃除や草むしり)は、子宮を圧迫し収縮を招くことがあります。
- 周囲を頼る:買い物は配送サービスを利用したり、家族に代わってもらったりと意識的に「自分でやらない」選択をしましょう。
- 足元の安全:ヒールのある靴や滑りやすい靴は避け、階段や段差では手すりを使うなど、転倒防止を徹底してください。
長時間同じ姿勢が続くときはこまめに体勢を変えながら適度に休みましょう。
運動・スポーツ
妊娠初期は、体力維持よりもリフレッシュを目的とした軽い有酸素運動に留めましょう。適度な有酸素運動は血糖値や血圧の安定や角な体重増加の抑制、体力維持に役立ちます。運動中に少しでもお腹の張りや痛みを感じたらすぐに中止して休んでください。
【おすすめの運動】
- ウォーキング(息が弾まないペース)
- 軽いストレッチ
- マタニティヨガ
- マタニティスイミング(医師の許可がある場合)
【控えたほうがよいスポーツ】
- 転倒の危険がある競技:スキー、スノーボード、サイクリングなど
- 接触や衝撃のある競技:バスケットボール、サッカー、バレーボールなど
- 跳躍や急な動きを伴う競技:テニス、エアロビクスなど
- 腹部に強い力がかかる激しい筋力トレーニング
性行為
体調が安定していれば一律に避ける必要はありませんが、注意点がいくつかあります。
- 感染対策:膣内の細菌感染を防ぎ、精液に含まれる子宮収縮成分の影響を避けるため必ずコンドームを使用してください。
- 安静第一:お腹を圧迫する姿勢や激しい動きは避け、少しでも出血や腹痛がある場合は控えてください。
- 心のケア:妊娠初期は気分が乗らないことも多い時期です。パートナーとしっかり話し合い、無理をしないことが大切です。
入浴・温泉
以前は温泉法で「妊娠中」は禁忌とされていましたが、医学的根拠がないため2014年に削除されました。現在は、温度と時間に気をつければ温泉も楽しめます。
- 温度と時間:38~40℃程度のぬるめのお湯に10分前後を目安に入りましょう。熱いお湯や長湯はのぼせや脱水、立ちくらみを招きやすいため避けてください。
- サウナ・岩盤浴:深部体温が上昇しすぎ体への負担が非常に大きいため、妊娠初期は控えましょう。
- 足元に注意:つわりや貧血でふらつきやすい時期です。浴場は滑りやすいため転倒には細心の注意を払ってください。
- 衛生面:妊娠中は免疫力が低下します。公衆浴場を利用した後はシャワーで体をしっかり洗い流しましょう。
移動・外出(通勤・車・飛行機など)
妊娠初期は急な体調不良や強い眠気が起こりやすいため、余裕を持ったスケジュールが大切です。
【乗り物別の注意点】
| 手段 | 注意点 |
|---|---|
| 自転車 | つわりによる集中力低下やふらつきで転倒のリスクがあります。極力避けるか乗る際は慎重に運転しましょう。 |
| 電車・バス | 乗り物酔いや貧血に注意。優先席付近を利用し、混雑時はお腹を圧迫されないよう時差通勤などの調整も検討してください。 |
| 車の運転 | 眠気がある時は運転を控えましょう。シートベルトは「胸の間」と「お腹の下(恥骨の上)」を通し、直接お腹を圧迫しないように装着します。 |
| 飛行機 | 気圧変化や乾燥に注意。通路側を確保してトイレに行きやすくし、血栓症予防のため水分補給と足の運動を心がけてください。 |
| バイク | 振動と万が一の転倒時の衝撃が極めて大きいため、原則として控えましょう。 |
旅行・レジャー
妊娠初期の外出は体調の急変に備えて母子手帳と保険証を必ず持参し、無理のないスケジュールを組みましょう。
- 海外旅行:医療体制や高額な医療費リスク、長時間の移動による血栓症(エコノミークラス症候群)のリスクがあるため、妊娠初期は避けるのが一般的です。
- 国内旅行:万が一に備え、滞在先近くの産婦人科を事前にリサーチしておきましょう。
【レジャー別の注意点】
- 動物園:感染症対策のため「ふれあいコーナー」は避け、手洗い・消毒を徹底しましょう。
- 遊園地:激しいアトラクションは多くの施設で利用できません。長時間の待機列による疲労や人混みでの接触に注意してください。
- ライブ・イベント:立ちっぱなしは貧血を招くため着席指定席を選びましょう。人混みでの感染症対策も必須です。
- プール・海水浴:転倒リスクや体の冷えに注意が必要です。波の衝撃や人との接触を避け、無理に泳がずリラックスを優先しましょう。
美容(美容院・ネイル・エステなど)
美容ケア自体が胎児に直接悪影響を与えることはほとんどありません。「母体の体調」を最優先に考えましょう。
【妊娠初期に美容面で注意すること】
- ヘアカラー・パーマ:薬剤が頭皮から吸収されて赤ちゃんに届く心配は低いですが、つわり中はにおいで気分が悪くなることがあります。長時間同じ姿勢で座る負担も考慮しましょう。
- ネイル:貧血や体調不良時に爪の色で健康状態を確認することがあるため、ジェルネイルは避けてポリッシュかチップを利用する方がよいでしょう。
- スキンケア:これまで使っていた化粧品でも赤みや痒みが出ることがあります。刺激の強いピーリングなどは避け、保湿中心のシンプルなケアを心がけましょう。
- レーザー脱毛:胎児への悪影響は報告されていませんが、ほとんどのサロンで断られます。
ペットとの生活
妊娠初期にペットと暮らす際は「過度な接触を避ける」「手洗いの徹底」「トイレ掃除を家族に頼む」の3点が基本です。
【妊娠初期のペットとの生活の注意点】
- 猫(トキソプラズマ症)
- 糞便に含まれることがあるトキソプラズマは、妊娠中に初めて感染すると胎児に視力障害や脳への影響(先天性トキソプラズマ症)を及ぼす可能性があります。
- 犬(物理的衝撃・細菌)
- 散歩中の急な引っ張りやお腹への飛びつきに注意が必要です。また、口内の細菌(パスツレラ菌など)による炎症を防ぐため顔をなめさせるような過度なスキンシップは控えましょう。
- 鳥類(オウム病)
- インコやオウム、ハトなどの糞や羽毛を吸い込むことで「オウム病」に感染するリスクがあります。妊婦は重症化しやすく、国内でも死亡例が報告されています2)。ケージの清潔を保ち、口移しでの給餌や顔を近づける行為は厳禁です。
- ハムスター・小動物(サルモネラ菌・鼠咬症
- サルモネラ菌や皮膚真菌を保有していることがあります。ケージの掃除は自分で行わず寝室から離れた場所に設置しましょう。噛まれることで感染する「鼠咬症(そこうしょう)」にも注意が必要です。
- 爬虫類(サルモネラ菌)
- カメやトカゲはサルモネラ菌の保菌率が非常に高く、感染すると激しい下痢や腹痛を起こす可能性があります。触れた後は必ず石鹸で手を洗い、キッチンなどの食品を扱う場所でペットや飼育器具を洗うことは避けてください。
どのペットであっても「同じ布団で寝る」「口移しでエサをあげる」といった行為は避け、適切な距離感で接することが大切です。
妊娠初期に気をつけること【食事】

妊娠初期の食事で最も大切なのは「食中毒や感染症を防ぐこと」と、つわりの時期でも「水分と最低限のエネルギーを確保すること」です。
この時期は胎児の重要な器官がつくられる「器官形成期」にあたるため、感染症リスクのある食品には注意が必要です。
一方でつわりで食事が十分に摂れない場合でも、この時期の赤ちゃんは卵黄嚢(らんおうのう)から栄養を得ているため、過度に心配しすぎる必要はありません。
避けたい食べ物
以下の食品は胎児への影響や食中毒のリスクを考慮し、摂取を控えるか量に注意しましょう。
【避けたい食べ物・注意が必要なもの】
| 分類 | 具体的な食品例 | 胎児への主なリスク・ 影響 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 生肉・ 加熱不十分な肉 | 生ハム、ローストビーフ、馬刺し、レアステーキ | 流産、死産、脳や眼の障害(トキソプラズマ等) | 中心部まで十分に加熱(75℃以上)しましょう。 |
| 非加熱の乳製品 | ナチュラルチーズ(加熱なし)、生乳 | 流産、死産、新生児の髄膜炎(リステリア菌) | プロセスチーズはOK。加熱調理すれば摂取可能です。 |
| 水銀を多く含む魚 | メカジキ、キンメダイ、本マグロ、クロマグロ等 | 胎児の神経発達(聴力など)への影響 | 種類ごとに週の摂取目安(約80g)があります。 |
| ビタミンA (レチノール) | レバー、うなぎ、ホタルイカ、サプリメント | 胎児の形態異常(耳や顔などの構造的な発達障害) | 妊娠初期の過剰摂取に注意。たまに1切れ食べる程度なら問題ありません。 |
| 一部のハーブ類 | ジャスミン、マテ、レモングラス、ハトムギ等 | 子宮収縮の誘発、流産・早産リスクの増加 | 大量摂取(毎日何杯も飲む等)は避けましょう。 |
食事量や内容の考え方
「お腹の赤ちゃんのために栄養を摂らなきゃ」とプレッシャーを感じる必要はありません。この時期の体調に合わせた食事のポイントをまとめました。
- 必要なエネルギー量は+50kcalだけ: 妊娠初期に必要な追加エネルギーは、バナナ半分、あるいはクッキー1〜2枚程度とごくわずかです。
- 葉酸を意識する: 赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを減らすため、食事やサプリメントで葉酸を積極的に摂取しましょう。
- 食べられるものを優先: 栄養バランスが悪い日があっても大丈夫です。今の時期は「食べられるタイミングで、食べられるものを」が基本です。
つわりで食事がつらいときの対応
つわりがある時期は、栄養バランスよりも「水分補給と脱水防止」を最優先してください。
- 「分割食」を取り入れる:空腹になると吐き気が強くなる場合は、1日5〜6回に分けて少量ずつ食べると楽になることがあります。
- 喉越しの良いものを選ぶ:冷やしうどん、ゼリー、アイス、フルーツなど、においが少なく喉越しが良いものがおすすめです。
- 受診の目安(妊娠悪阻):以下の場合は妊娠悪阻の可能性があるため速やかに受診してください。
- 水分がほとんど摂れない
- 体重が妊娠前から5%以上減少した
- 尿の回数や量が極端に少ない
妊娠初期に気をつけたい体調の変化
妊娠初期はホルモンバランスが急激に変化するため、病気ではなくても「つわり」をはじめとしたさまざまな体調の変化が起こります。
しかし、中には「赤ちゃんからのサイン」として至急対応が必要なケースもあります。特に以下の症状がある場合は、流産や異所性妊娠(子宮外妊娠)、妊娠悪阻(にんしんおそ)などの可能性があるため、夜間・休日を問わず速やかにかかりつけの産婦人科へ連絡してください。
【至急】連絡・受診が必要なケース
- 不正出血: 鮮血が出る、または生理2日目より多い出血がある
- 激しい腹痛: 我慢できないほどの痛み、特に片側だけに鋭い痛みがある
- 激しい嘔吐: 水分すら受け付けず、尿が極端に少ない(脱水の恐れ)
- 全身症状: 38度以上の高熱、強いめまい、意識がもうろうとする
「こんなことで電話していいのかな」と迷う必要はありません。少しでもおかしいと感じたら医師や助産師を頼ってください。
出血があるときの対応
妊娠初期は受精卵が子宮内膜に着床する際の「着床出血」など、問題のない少量の出血が見られることもあります。しかし、自己判断は禁物です。
【不正出血に気づいたら】
まずは生理用ナプキンを当て、横になって安静にしましょう。その上で以下の情報をメモして病院へ伝えると診察がスムーズです。
- 出血の色:鮮血(真っ赤)、茶色、ピンクなど
- 量:ティッシュにつく程度、生理2日目のような多量など
- 痛み:下腹部痛や腰痛の有無
【受診の目安】
| 症状の程度 | 対応の目安 |
|---|---|
| 多量の鮮血、激しい痛みがある | ただちに受診(夜間・休日でも連絡) |
| 少量の出血が続く、または鈍痛がある | 診療時間内に連絡・受診 |
| 茶色いおりものが1回のみ、痛みなし | 次回健診まで様子見(不安なら電話相談) |
腹痛があるときの対応
妊娠初期の腹痛には子宮が大きくなることによる「生理的な痛み」と、トラブルに伴う「危険な痛み」があります。
痛みを感じたらまずは楽な姿勢で30分〜1時間ほど安静にしてください。
【注意が必要な痛みの種類】
- 至急受診: 歩けないほどの激痛、片側だけの鋭い痛み、冷や汗を伴う痛み。これらは異所性妊娠(子宮外妊娠)などの緊急事態の可能性があります。
- 診療時間内に相談: 持続的な鈍痛(重い生理痛のような痛み)、お腹の張り、排尿・排便時の痛み。
- 様子を見てよいもの: 一過性の「チクチク」「キューッ」とした痛み。安静にしてすぐに治まり、出血を伴わない場合は過度に心配しすぎる必要はありません。
まとめ
妊娠初期はおなかの赤ちゃんの成長はもちろん、お母さんの心身にも急激な変化が訪れる非常にデリケートな時期です。
「あれをしてはいけない」「これを食べなくては」と考えすぎてしまうと、それがストレスになってしまうこともあります。
まずは今回ご紹介したチェックリストを参考にできることから一つずつ、無理のない範囲で生活に取り入れてみてください。
大切な3つのポイント
- 「完璧」を目指さない:つわりなどで思うように動けない時は、周囲を頼り、自分を休ませることを最優先にしましょう。
- 変化を見逃さない:出血や腹痛など「いつもと違う」と感じたら、迷わずにかかりつけの産婦人科へ相談してください。
- これからの安心を準備する:妊娠10週を過ぎると、赤ちゃんの健康状態を詳しく知るためのNIPT(新型出生前診断)を受けられる時期に入ります。生活習慣の改善と並行して、これからのマタニティライフをより安心して過ごすための選択肢として、家族で話し合ってみるのもよいでしょう。
新しい命を育む日々は、驚きと不安の連続かもしれません。一人で抱え込まず、正しい知識を味方につけてこのかけがえのない時期を心穏やかに過ごせるよう願っています。
【参考サイト】
1)Zweben JE : Special Issues in treatment –women. Princeples of addiction medicine: p465-477, 2009.
2)日本におけるオウム病症例発生状況と妊娠女性におけるオウム病について | 厚生労働省