
つわりが落ち着き、おなかの赤ちゃんがどんどん大きくなる妊娠安定期。
体調が安定してくる一方で、「今のうちにやっておくべきことはある?」「旅行に行ってもいい?」と不安や疑問が生まれやすい時期でもあります。
妊娠安定期は、心と体を整えながら出産や育児に向けて準備を始める大切なタイミング。この記事では、安定期がいつから始まるのか、そして今のうちに進めておきたい準備を5つに絞ってわかりやすく紹介します。
妊娠安定期はいつからいつまで?

妊娠安定期とは、つわりが落ち着き体調が安定してくる妊娠中期頃のことを指します。
一般的に妊娠16週頃から27週頃(妊娠5か月~7か月)までを指し、医学用語ではありませんが広く使われている言葉です。
胎盤が完成し流産リスクが大きく減るこの時期は、心身ともに比較的穏やかに過ごせる期間とされており、そのため出産や産後に向けて準備を進めるのに適した時期といえます。
妊娠初期の不安定な時期を乗り越えて少しホッとできるタイミングではありますが、体調には個人差があります。
「安定期」という言葉に過信せず、ご自身の体調を最優先して過ごすことが大切です。
安定期=安心ではない?

「安定期に入ったから、今のうちにいろいろやっておこう!」そう考える妊婦さんは多いですが、油断は禁物です。
たしかに、妊娠初期に比べると自然流産のリスクはぐっと下がります。しかし、転倒や強い衝撃、感染症による切迫流産や早産のリスクは依然として残ります。
また、お腹が大きくなるとバランスを崩しやすくなり、転倒の危険性が高まります。さらに、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病といった妊娠特有の合併症のリスクも、この時期から高まってきます。
特に、以下のような行動には注意が必要です。
- 身動きが取れないほどの満員電車での通勤
- 長時間の立ち仕事
- 激しい運動
- 長時間の移動を伴う旅行
- 睡眠不足が続く生活習慣
安定期とは、あくまで「体調が比較的落ち着きやすい時期」であり、完全に安全な時期ではありません。無理をせず、自分と赤ちゃんの体調に耳を傾けながら、ゆったりと過ごしましょう。
妊娠安定期にやっておきたい準備5選

体調が落ち着いて動きやすくなるこの時期は、妊娠後期や出産後に備えて準備を始めるのに適したタイミングです。
出産後は赤ちゃんのお世話で忙しく、落ち着いて準備する時間がとりにくくなります。安定期のうちに少しずつ整えておくことで、安心して出産を迎えられます。
出産入院準備
出産入院の準備は、妊娠8〜9ヶ月頃までに済ませておくと安心です。すぐに持ち出せるよう、荷物は「陣痛バッグ」と「入院バッグ」分けて用意しておきましょう。
陣痛バッグには陣痛が始まったときにすぐに病院へ持って行く最小限の荷物をまとめておきます。
母子手帳や診察券、携帯電話、飲み物、タオルなど最低限のものを入れ、慌ただしい状況でも迷わず取り出せるよう、必要品はシンプルに整理しておきましょう。
入院バッグには出産後から退院までの入院生活に必要な荷物をまとめます。
産褥ショーツや授乳ブラ、母乳パッド、タオル、赤ちゃんの退院用の肌着や服などを準備しておきましょう。
両親学級への参加

両親学級は出産や育児に必要な知識と技術を学べる大切な場で、主に自治体や病院が開催しており、妊娠安定期に参加するのが一般的です。
内容は、陣痛への対処法や呼吸法、パートナーができる具体的なサポート、さらに人形を使ったおむつ替え・抱っこ・沐浴などの実習です。
産後の体の変化や心のケア、育児の役割分担について考えるきっかけにもなり、同じ時期に出産を迎える夫婦との交流の場としても役立ちます。
夫婦で参加することで、協力体制を築く良い機会となるでしょう。
歯科検診を受ける
妊娠中はホルモンの影響で口腔環境が変化し、虫歯や歯周病になるリスクが高まります。
特に歯周病は、血流を通じて炎症が全身に及ぶことで早産や低出生体重児のリスクを高めると報告されています。
妊娠後期は仰向けでの診療が母体に負担となるため治療を控えることもあり、必要な検診や処置は体調が安定している妊娠中期に受けておくと安心です。
産休・育休の計画
産休は出産予定日の6週間前から取得でき、多胎妊娠では14週間前から取得可能です。
まずは勤務先に出産予定日を伝え、産休や育休の制度内容、期間、申請方法を確認しておきましょう。
育休は父母ともに原則子どもが1歳になるまで取得でき、状況によっては延長も可能です。
安定期のうちにパートナーの育休制度も含めて確認し、家事や育児の分担について話し合っておくと、出産後の生活を安心して迎えられます。
育児用品のリストアップ
妊娠後期は体調や時間に余裕がなくなるため、妊娠安定期のうちに育児用品をリストアップしておくと安心です。
まずはチャイルドシートやベビーベッド、ベビーカー、おむつ、肌着、授乳用品など必ず必要になるものを挙げ、後から揃えても困らないものと分けて考えましょう。
これにより優先順位が明確になり、買いすぎや無駄な出費を防げます。
使用頻度や家庭環境に応じて必要なものを見極め、購入・レンタル・譲り受けなどの方法も含めて検討しておきましょう。
安定期に入ると流産リスクは減る?

安定期に入ると流産のリスクは大きく下がります。
これは、流産の80%以上が妊娠12週未満に起こる「早期流産」で、その多くは胎児の染色体異常など、防ぎようがない要因によるものです。
また、安定期に入ると胎盤が完成することで、栄養供給やホルモンバランスが安定し流産リスクが減少します。
ただし、流産や早産のリスクが完全になくなるわけではありません。
安定期でも、転倒や強い衝撃、感染症、子宮頚管の異常などが原因で切迫流産や早産に至ることがありますので、妊娠中は安定期であっても無理のない生活を続けることが大切です。
妊娠安定期の妊婦の変化

安妊娠安定期はつわりが落ち着いて体調が安定する一方で、赤ちゃんの成長に伴い妊婦さんの体にもさまざまな変化が現れます。
子宮が大きくなることでお腹のふくらみが目立ち始め、多くの妊婦が胎動を感じ始める時期でもあります。
初産婦さんでは18〜20週頃から、経産婦さんではもう少し早く感じる方が多いようです。
最初は「腸が動いたのかな?」と感じる程度の小さな動きですが、徐々に「ポコポコ」「グニョグニョ」といったはっきりした動きに変わっていきます。
体重増加
妊娠安定期の体重増加は、赤ちゃんの成長や胎盤・羊水の増加、さらに産後の授乳に備えた準備に不可欠です。
ただし、体重は増えすぎても増えなさすぎても問題があります。
- 過度な増加 → 妊娠高血圧症候群・難産のリスク
- 不足 → 低出生体重児のリスク
妊娠前のBMIにより適正値は異なりますが、一般的には月に1〜1.5kg程度の増加が目安です。急激な増加を避け、医師の指導のもとでバランスのよい食事と適度な運動を心がけましょう。
よくあるマイナートラブル
安定期は大きくなった子宮が内臓を圧迫することで、「マイナートラブル」と呼ばれる不快症状が出やすくなる時期です。
医学的に重大ではないものの、日常生活に影響することもあるため知っておくと安心です。
便秘・頻尿
子宮が大きくなり、腸や膀胱が圧迫されることで便秘や頻尿が起こりやすくなります。
また、プロゲステロンというホルモンが腸の動きを鈍らせることも便秘の一因です。
対策として、便秘には食物繊維を豊富に含む野菜や果物を積極的に摂り、水分補給を心がけましょう。頻尿は我慢すると膀胱炎の原因になることがあるので、こまめにトイレに行くことが大切です。
腰痛・肩こり
お腹が重くなり、体の重心が変わることで姿勢が変化し、腰や背中に負担がかかりやすくなります。また、乳腺の発達による胸の重さから肩こりを感じることもあります。
マタニティベルトの利用やあぐらをかくなど、体への負担が少ない座り方を意識してみましょう。
軽めのストレッチやウォーキングなどの適度な運動も、血行を良くし症状の緩和に役立ちます。
むくみ
妊娠中のむくみは、増加した血液量や大きくなった子宮が下半身の静脈を圧迫することが原因です。特に足や足首、顔にむくみが出やすくなります。
足を心臓より高い位置に上げて休んだり、締め付けの少ない靴や衣類を選んだりすることが有効です。また、塩分を控えた食事を心がけ、マッサージで血行を促すのも良いでしょう。
動悸・息切れ
妊娠中は血液量が増え心臓に負担がかかるため、少しの運動や階段の上り下りでも動悸や息切れを感じやすくなります。
動悸や息切れを感じたら無理をせずにすぐに休憩をとりましょう。横になったり深呼吸をしたりすることで、心臓への負担を軽減できます。
胃もたれ
つわりが終わったにもかかわらず、胃もたれを感じる妊婦さんは少なくありません。
これは、大きくなった子宮が胃を押し上げ消化器官を圧迫することが主な原因です。また、妊娠中に分泌されるプロゲステロンというホルモンが、消化管の動きを鈍らせることも一因です。
少量を数回に分けて食べ、よく噛んでゆっくり食べましょう。
肌荒れ・乾燥
ホルモン変化や発汗により肌が敏感になり、乾燥やニキビなどの肌荒れが起こりやすくなります。
低刺激の保湿剤で保湿ケアの徹底と、こまめな水分補給を心がけましょう。肌のバリア機能が低下しているため、紫外線対策も忘れずに行うことが大切です。
妊娠線
急激な体重増加やお腹のふくらみによって皮膚が急激に引き伸ばされると、皮膚の真皮が断裂して妊娠線が現れることがあります。一度できてしまうと完全には消えません。
早いうちからの保湿ケアと急激な体重増加を避けることが予防につながります。
貧血
妊娠中は胎児や胎盤の成長のために必要な鉄分が増加する一方、血液量が増えることで血液が薄まって貧血が起こりやすくなります。
貧血はめまいや動悸の原因となるほか、赤ちゃんの発育にも影響する可能性があるため注意が必要です。
鉄分を多く含むレバーやほうれん草、ひじきなどを積極的に摂りましょう。吸収率を高めるためビタミンCと一緒に摂るのも効果的です。
おりものの変化
妊娠安定期はおりものの量が増えるのが一般的で、色は乳白色か透明で少し酸っぱいにおいがすることがありますが、かゆみや強いにおいがなければ心配いりません。
しかし以下のような変化があった場合は、細菌感染などの可能性があるため早めにかかりつけ医に相談しましょう。
- 黄色、緑色、茶色など、いつもと違う色である
- 強い悪臭がする
- かゆみやヒリヒリ感がある
おりものシートをこまめに交換したり、通気性の良い下着を着用したりして、デリケートゾーンを清潔に保つことが大切です。
妊娠安定期の赤ちゃんの成長
妊娠安定期は赤ちゃんの発育が著しい時期で、超音波検査で成長の様子を確認できるだけでなく、胎動を通じてお母さん自身もその変化を実感できるようになります。
人間らしい姿へ

妊娠初期は頭が大きく体のバランスが未発達でしたが、この時期になると頭と胴体、手足のバランスが整い、より人間らしい姿になります。
目・鼻・口といった顔のパーツがはっきりし、眉毛やまつ毛、爪も形成されます。超音波検査で性別がわかることもあります。
体の機能の発達
妊娠安定期に入ると、体の形成段階から実際に機能が働き始める段階へと移ります。
骨にはカルシウムが沈着してしっかりし始め、筋肉が発達するためお腹の中で手足を活発に動かします。
腎臓は羊水を取り込み尿として排泄し、腸も活動を始め胎便をつくり始めます。
また、感覚器も急速に発達します。特に聴覚は母体の心音や外の声に反応できるようになり、視覚や味覚、触覚も少しずつ働き始めます。
妊娠安定期に注意したいポイント
妊娠安定期に入った頃の赤ちゃんはまだまだ成長途中のため、油断は禁物です。
おなかの張りや出血といった体の変化、感染症の予防などには引き続き配慮が必要です。
また、旅行や美容の工夫も検討できますが、母体と赤ちゃんに負担がかからないよう注意しましょう。
おなかの張り
妊娠中は子宮が収縮しておなかが張ることがありますが、多くは一時的なもので問題ありません。
しかし、張りが頻繁に起こる、痛みを伴う、出血がある、痛みが規則的で強くなる場合は、切迫早産の兆候かもしれません。
安静にしても改善しない強い張りが続く場合はかかりつけ医に連絡してください。
不正出血

少量の不正出血であっても、繰り返す場合やおなかの張りを伴う場合は医師に相談することが大切です。
特に鮮血や大量の出血は緊急性が高いため、速やかに受診してください。
出血の原因はさまざまですが、前置胎盤や常位胎盤早期剥離など、母子に危険が及ぶ可能性のある病気が隠れていることもあります。
感染症予防
免疫が低下している妊娠中は感染症にかかりやすく、特に、風疹やサイトメガロウイルス、B群溶血性レンサ球菌などは、胎児に影響を及ぼす可能性があります。
手洗いやうがいを徹底し、人混みを避けるなど、日頃から感染予防に努めましょう。
セックスの工夫
体調が安定し、医師から制限がなければセックスも可能です。
膣炎や感染症のリスクもあるため、必ずコンドームを使用しましょう。強い刺激は避けておなかを圧迫しない、無理のない体位で行いましょう。
マタ旅・飛行機利用

妊娠中の旅行は安定期が望ましいとされますが、必ず主治医に相談して許可を得ることが大切です。
体への負担や思わぬトラブルを考慮し、無理のない計画を立てましょう。長時間の移動では血栓症予防のため休憩や運動を心がけてください。
飛行機は妊娠週数によって診断書が必要な場合があるため事前に確認しておきましょう。
フライトによる気圧変化が胎児に影響することはないとされていますが、母体には頭痛や頻尿・腹部の違和感などの症状が出る可能性があるため、無理をしないことが大切です。
旅行先は国内の近場が比較的安心で、万一に備えて周辺の医療機関も調べておきましょう。
ヘアカラー・ネイル
妊娠中でもヘアカラーやネイルは可能ですが、ホルモン変化により頭皮が敏感になり、しみたり、かぶれやすくなります。
薬剤のにおいで気分が悪くなることもあるため、換気の良いサロンを選びましょう。
また、長時間同じ姿勢は腰痛やむくみを悪化させる恐れがあります。事前に妊娠中であることを伝え、体調に配慮した対応を依頼すると安心です。
まとめ|妊娠安定期で安心の準備を進めよう

妊娠安定期はつわりが落ち着き体調が安定しやすい時期ですが、決して油断してよいわけではありません。
この時期こそ、無理をせず心と体を整える準備期間として意識して過ごすことが大切です。
安定期は赤ちゃんと過ごす大切な時間を整えるチャンス。家族やパートナーとも協力しながら、出産に向けて少しずつ準備を進めていきましょう。