高齢出産の6つのリスク

高齢出産の女性がパソコンを見ながら自宅でリラックスしている

妊娠および出産は母体に大きな負担がかかるため、年齢に関わらず大なり小なりトラブルがつきものです。

20代前半でも体力がない人がいれば、40代でもエネルギッシュな方もいらっしゃいますので、一概に「若いから安心」「高齢出産だから危険」というわけではありません。

ただ個人差はありますが年齢を重ねると、ホルモンバランスの変化や生活習慣の積み重ねなどによりやはり健康面でのトラブルが起こりやすくなり、その分妊娠・出産に対するリスクも増えてきます。

今回は、高齢出産による6つのリスクについて解説いたします。

高齢出産の6つのリスク

【高齢出産によるリスク】

  • 胎児に染色体異常がおこりやすい
  • 流産になりやすい
  • 妊娠合併症が起こりやすい
  • 胎児の発育に影響が出やすい
  • 難産になりやすい
  • 帝王切開になりやすい

高齢出産では胎児に染色体異常が起こりやすく、その影響で流産の確率が高くなったり低出生体重児として生まれる確率が高くなります。

妊娠合併症も流産や低出生体重児の頻度が高くなり、出産時に難産となる確率も高まり、結果として帝王切開が必要となることも少なくありません。

このように、高齢出産によるリスクはそれぞれ独立しているわけではなく、互いに関連し合いながら胎児及び母体に影響を及ぼします

染色体異常

高齢出産では胎児に染色体異常が起こる確率が高くなります。

【出産年齢と何らかの染色体異常を持つ子が生まれる頻度】

出産年齢と何らかの染色体異常を持つ子が生まれる頻度
Hook EB. (1981). Rates of chromosome abnormalities at different maternal ages. Obstet Gynecol , 58, 282-5. PMID: 6455611 Hook EB, Cross PK & Schreinemachers DM. (1983). Chromosomal abnormality rates at amniocentesis and in live-born infants. JAMA , 249, 2034-8. PMID: 6220164 Schreinemachers DM, Cross PK & Hook EB. (1982). Rates of trisomies 21, 18, 13 and other chromosome abnormalities in about 20 000 prenatal studies compared with estimated rates in live births. Hum. Genet. , 61, 318-24. PMID: 6891368

染色体異常には「染色体の数が増減する数の異常」と、「染色体の形状に変化が起こる構造異常」があり、高齢出産では特に「数の異常」の頻度が高くなります。

染色体の数の異常は、主に生殖細胞(精子や卵子)が作られる際の減数分裂で正常に分離しないことなどによって起こります。

上の表からわかるように、染色体異常の発生頻度は高齢出産といわれる35歳から急激に増えるわけではなく、30代後半からゆるやかに上昇します。

  • 20歳と35歳で比較すると、染色体異常のリスクは約2.7倍に増加します。
  • 35歳と40歳で比較すると、染色体異常のリスクは約2.9倍に増加します。

染色体異常が起こる確率については、こちらのコラムもご参考にしてください。

流産

胎児に染色体異常があると育つことが難しく、そのほとんどは流産となります。

妊娠12週までの早期流産はほとんどの場合、胎児の染色体異常や遺伝子の病気などが原因で、高齢出産では卵子の老化などにより胎児の染色体異常が増えるため、流産の確率も高くなります。

【母体年齢と自然流産率】

年齢区分妊娠例数自然流産例数自然流産率(%)
24歳以下901516.7
25~29歳6737411.0
30~34歳6516510.0
35~39歳2615420.7*
40歳以上923841.3*
合計1,76724613.9
*25~29、30~34歳の群と比較して有意差あり(p<0.01)
資料:虎ノ門病院産婦人科 1989.1.~1991.7.データ
母体年齢と流産 周産期医学 vol.21 no.12, 1991-12

全妊娠のうち15%前後は流産となっており、流産自体は決して珍しいものではなくどの年齢でもその可能性がありますが、35歳以上では20代後半と比べて流産となる確率が有意に高くなります。

40歳以上での自然流産率が40%以上というのは、かなり高いと驚かれた方も多いのではないでしょうか。

妊娠合併症

年齢を重ねると「妊娠高血圧症候群」や「妊娠糖尿病」などの妊娠合併症がおこりやすくなります。

妊娠合併症の原因はもともとの体質や既存疾患、生活習慣や加齢による影響などがあり、それらが重なるとさらにリスクが高くなります。

妊娠高血圧症候群の発症リスクは特に出産年齢が40歳以上の場合約8%あり、35歳未満での出産と比べるとほぼ2倍のリスクになります。

初期の段階では自覚症状はありませんが、重症化すると脳出血やけいれん発作などの症状を引き起こすことがあり、さらにおなかの赤ちゃんの成長が悪くなったり死産となる可能性もあります。

妊娠糖尿病の発症リスクは、35歳以上では20代前半と比べて8倍高いというデータもあります。

早産や流産の原因となるだけでなく、巨大児として生まれて将来肥満や糖尿病になりやすいという可能性があります。

巨大児は体の大きさに対して臓器が未発達になる傾向にあり、低血糖や黄疸、電解質異常などが起こりやすくなります。

低出生体重児

加齢による胎盤機能の低下や妊娠合併症などによって胎児の発育が悪くなり、早産や低出生体重児で生まれてくる割合が増えます。

【母親の年齢階級別2,500g未満児の出生割合(2022年)】

母親の年齢階級別2,500g未満児の出生割合【2022年】
参照:人口動態調査 / 人口動態統計 確定数 出生 / e-stat

上の表のように低出生体重児(2,500g未満)として生まれる割合は、妊婦さんの年齢が若年(20歳未満)と高齢(40歳以上)の場合において高くなる傾向があります。

加齢のほか、妊娠前からの肥満や痩せすぎ、高血圧や糖尿病などの持病があると血流が悪くなることなどで胎児に十分な栄養が行き届かなくなり、さらにリスクが高くなります

難産

難産とは分娩に時間がかかりすぎたり、分娩時にさまざまな医学的処置が必要になる状況のことをいいます。

分娩時には子宮口が開いて産道が確保される必要がありますが、加齢により産道の柔軟性が失われ硬くなっていると子宮口がスムーズに開かず難産になりやすくなります。

また若い頃よりも体力が落ちている人が多く、分娩時間が長引くとそれだけ負担がかかりますし、産後の回復も遅くなる傾向があります。

帝王切開

おなかを切り開く手術ということから怖いというイメージを持たれがちですが、2020年のデータによると5人に1人が帝王切開で出産をしており、決して特別なことではありません。

高齢出産では妊娠合併症の存在や難産のなりやすさなどにより経腟分娩でのリスクが高いと判断されると、予定帝王切開となる可能性が高くなります。

出来るだけ帝王切開は避けたいと思う方も多いのではないかと思いますが、経腟分娩がベストということはなく、むしろ何が起こるか分からない経腟分娩を無理に行なうより、予定帝王切開の方がより安全に管理ができるという側面もあります。

まとめ

妊娠生活を楽しんでいる40歳妊婦

高齢出産では胎児に染色体異常が起こる確率が高くなるほか、妊娠合併症など妊娠中のトラブル、難産など出産時のトラブル、流産や低出生体重児など胎児への影響が起こりやすくなります。

特に妊娠前からの持病や生活習慣の乱れがあると胎児及び母体へのリスクが高くなりますので、高齢出産では20代での妊娠と比べて一層の体調管理が大切になります。

高齢出産で気をつけるポイントについてはこちらのコラムもご参考にしてください。


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