現代日本において高齢出産の割合は3~4人に1人に上っており、多くの女性が仕事やライフスタイルの変化、医療技術の進歩により、結果として30代後半から40代での出産を迎えています。
高齢出産では胎児の染色体異常の増加などさまざまなリスクが指摘されていますが、気をつけるべきポイントはあるのでしょうか?
ここでは高齢出産を成功させるための6つのポイントと、年齢を重ねたからこそのメリットについてご紹介いたします。
高齢出産を目指すときに気をつける6つのポイント!
これまでは自分ひとりの体だったため多少の無茶もできましたが、妊娠を目指すとなるとそうはいきません。
日々の生活の中でできることから始めてみましょう。
生活リズムを整える
妊娠に向けて、まずはご自身の健康な体がベースになります。
睡眠や食事の時間が不規則など生活のリズムが乱れているとなんとなく疲れがたまりやすかったり体調を崩しやすくなるだけでなく、女性ホルモンが乱れて妊娠しにくい原因にもなります。
寝る前のスマホ操作も睡眠の質の低下につながりますので、睡眠1時間前からはあまりスマホを触らないようにしましょう。
食生活の見直し
ヒトの体は食べたものによって作られているので、毎日の食事で何をどのように食べるかは大切なことです。
妊娠前も妊娠中も、大切なのは「バランスの良い食事」です。
「これだけ摂っていればいい」という栄養素はなく、炭水化物やたんぱく質、ビタミンやミネラルなどをバランス良くとる必要があります。
とくに葉酸や鉄分、カルシウムなど妊娠すると需要が増える栄養素やもともと日本人女性に不足しがちな栄養素がありますので、妊娠前から積極的に摂りたいですね。
仕事が忙しいときに外食やレトルト食品は大変便利ですが、そればかりだと塩分やエネルギーが過剰になりがちです。
カット野菜なども上手く活用して工夫できるとよいですね。
「バランスの良い食事」とは例えば「ご飯、メインの焼き魚、煮物、お浸し、みそ汁」といった、主食・主菜・副菜の揃った食事のことをいいます。
時には「肉や魚などのたんぱく質がない」「ご飯やパンなどの炭水化物しかない」「野菜や海藻などビタミン・ミネラルを含むものが少ない」といった食事になることもあるでしょう。
毎食は難しくても、1日の中で2回以上はこのような主食・主菜・副菜の揃った食事を意識してみましょう。
葉酸の摂取
妊娠初期に葉酸が不足すると胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクが高まることが知られています。
妊娠初期の4~10週は器官形成期と呼ばれ、胎児の脳と脊髄、中枢神経系に重要な役割を担う神経管が形成されるのですが、神経管の形成には母体が摂取する葉酸の量がカギを握っています。
神経管閉鎖障害がおこる原因は葉酸の不足だけではありませんが、適正に葉酸を摂取することで、神経管閉鎖障害のリスクを50~70%減らすことができるといわれています。
そのため、妊娠を意識し始めたときからサプリメントや栄養補助食品なども活用して積極的に摂取することが推奨されています。
体重管理
加齢とともに代謝が落ちて消費エネルギーが少なくなることにより、20代の頃と同じ生活をしていると必然的に太りやすくなります。
妊娠前からBMIが25以上の「肥満」である女性の場合、標準体重だった女性と比べて妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病の発症リスクのほか、巨大児や死産になるリスクが高くなります。
反対に妊娠前からBMIが18.5以下の痩せすぎている女性の場合、早産や胎児発育不全などのリスクが高くなります。
妊娠中の栄養状態はもちろんですが、実は妊娠前の体格も妊娠の経過やおなかの赤ちゃんに影響することが報告されています。
「そういえば最近太ってきたな。。。」と心当たりがある方は、食習慣や運動習慣を見直してみましょう。
妊娠前の体格がどのように妊娠に影響するかはこちらのコラムをご参考にしてください。
適度な運動習慣
体重管理やストレス解消のために適度な運動習慣があるとよいでしょう。
ただし、今まで運動をしていなかった人がいきなりランニングや激しいスポーツをすることは怪我につながったり億劫になって続かない原因にもなりますので、まずは無理なく続けられるように日常で一駅分歩く、たくさん歩いてショッピングを楽しむなど出来る範囲から初めてみましょう。
禁煙
喫煙による悪影響は男女ともにあり、女性では卵子の質が低下する、男性では精子の数や運動率が低くなるといった報告があります。
またタバコの煙には血管を収縮させる作用があり、血流が悪くなると妊娠後もおなかの赤ちゃんに必要な酸素や栄養が届きにくくなり、低出生体重児で生まれるリスクのほか、流産や早産になる確率が高くなるといわれています。
ご自身の禁煙はもちろん、同居のご家族も家の中では吸わないよう協力を求めましょう。
高齢出産のメリット
高齢出産はデメリットばかりがクローズアップされがちですが、若い年齢での出産とは違ったメリットもあります。
健康面でトラブルが起きやすいと言ってももちろん個人差があり、35歳以上でも妊娠合併症もなく自然分娩で母子ともに健康に出産している人もいますし、反対に20代だからと言って必ずしも安産というわけではありません。
体に気を遣うことは大前提ですが、年齢を重ねたからこそのメリットもたくさんあります。
経済的な余裕
20代の夫婦と比べて経済的な余裕があることが多く、さらに貯蓄があればゆとりをもって出産・育児に臨むことができます。
なにかとお金がかかる出産と子育てに向けて、経済的な余裕があることは大きなメリットとなります。
精神的なゆとり
経済的な余裕があれば、精神的にもゆとりが生まれます。
また、これまでの豊富な人生経験によるゆとりもありますので、妊娠中に悩むことや育児で迷うことにも冷静に対処したり、上手く人に相談することができるでしょう。
仕事のキャリアを積める
仕事に熱中し気がつけば30代後半になっていたということは、現代社会では男女ともによくある話です。
若いうちにキャリアを積んでいれば出産後の復職や新たな仕事探しもしやすくなります。
趣味を満喫したうえで育児に臨める
20代のうちに趣味や旅行など好きなことに時間とお金を使い、自分のしたいことを満喫した上で母親になるため、子育てに情熱を注ぎやすくなります。
まとめ
妊娠前から生活習慣の乱れや高血圧などの持病があると胎児及び母体へのリスクが高くなりますので、高齢出産では一層の管理が大切になります。
葉酸摂取や体重管理、規則正しい生活など、自分でできるリスク軽減には積極的に取り組みましょう。