羊水検査の時期はいつ?出生前診断における位置づけと検査で分かること

羊水検査は出生前診断の一つですが、羊水検査の対象となる妊娠週数が決まっています。
NIPTで陽性判断を受けてから羊水検査を受けることになった場合に、検査を受けるのが遅くなってしまうこともあります。

また、羊水検査にはリスクがあるのに焦って決断せざるを得ないことにもなりかねません。
ここでは羊水検査を受けられる時期や検査のリスクなどについてご紹介します。

羊水検査の検査時期

羊水検査はいつでも受けられるわけではなく、一般に妊娠15~18週の間、つまり妊娠4~5ヵ月頃に行います。

なぜこの時期に羊水検査を行うのかというと、これより前だと羊水の量が十分でないからです。
羊水は妊娠初期から存在しますが、妊娠10週ではわずか約20mlほどしかなく、検査に必要十分な羊水を採取できない可能性があります。
妊娠週数が経過すると羊水は次第に増えていくので、羊水検査は15週以降に実施されます。

羊水検査のリスク

羊水検査は、外部から針で腹部を刺して羊水を摂取する検査です。
腹部に針で穴を開けるため、血管や腸管などを傷つけたり出血させたりするリスクも少なからずあります。

感染症のリスクも伴うため、羊水検査による流産のリスクは約0.3%あるとされています。
羊水検査後には感染予防のための抗生剤や子宮収縮を抑える薬を内服しますが、リスクを正しく理解した上で検査を受けるかどうか決める必要があります。

一般には出生前診断を行う場合に、いきなり羊水検査などの確定的検査を行うことはそれほど多くありません。
まずはNIPTや母体血清マーカーなど非確定的検査を行い、陽性が出た場合に羊水検査などの確定的検査を行うのが一般の流れです。

NIPTを受けて陽性が出た場合の羊水検査を受けるか決める場面では、感染などによる早産・流産のリスクを負ってまで受けるべきなのかなども考える必要があります。

非確定的検査の時期と結果報告までの期間

非確定的検査の時期と結果が報告されるまでの期間については、以下の通りです。

非確定的検査

検査名コンバインド検査母体血清マーカーNIPT
検査時期妊娠11~13週妊娠15~20週妊娠10週以降
結果報告までの期間約2週間約2週間1~2週間

超音波検査と母体血清マーカー検査を組み合わせたコンバインド検査は、妊娠11~13週の間に行われ、結果報告までに要する日数は約2週間です。
母体血清マーカー単独の場合は、妊娠15~20週の間に実施され、約2週間後に結果が出ます。

ここで注意したいのは、非確定的検査を実施してから約2週間待つ必要があるため、妊娠17~22週の間に結果報告を受けると、場合によっては羊水検査を実施できる時期を過ぎてしまう可能性があることです。
遺伝カウンセリングなどで羊水検査の実施時期を考慮した検査計画を検討しておきましょう。

また、NIPTは妊娠10週以降から検査が可能であり、結果は早くて1週間後に確認できます。
もしNIPTを受ける時期が早ければ、陽性という結果が出て羊水検査を受けることとなっても期間に余裕があるので、焦らずに済むでしょう。
羊水検査を視野に入れている場合は、いつまでに非確定的検査を受けたら良いのかも考えておく必要があります。

羊水検査で分かること

羊水には胎児由来の成分が浮遊しているため、羊水を調べることによって胎児の染色体などに関する情報を得ることができます。
羊水検査でわかる主な胎児の染色体異常は以下の通りです。

  • ダウン症候群(21トリソミー)
  • エドワーズ症候群(18トリソミー)
  • パトー症候群(13トリソミー)
  • ターナー症候群(モノソミーX)
  • トリプルエックス症候群(トリソミーX)
  • クラインフェルター症候群

また、この他に転座、欠失、赤ちゃんの性別なども知ることができます。
これらはすべて染色体の異常によるものですが、染色体の数や構造、染色体の番号が違うことから症状や発症頻度、寿命などさまざまです。

ダウン症候群(21トリソミー)

ダウン症候群は、染色体異常症のなかで最も多く見られる疾患です。
常染色体のうち21番目の染色体が通常は2本であるところ、3本(トリソミー)存在します。
出生児の約600人に1人の頻度で発生し、妊婦の年齢が高齢になるにつれて発症率も高くなります。

顔貌の特徴としては、目尻が上がっている、二重まぶたで顔は平たく、鼻が低い点が挙げられ、後頭部は絶壁です。
また、知的発達の遅延や筋肉の緊張が低下することに伴う運動機能の低下などの症状が見られることもます。
ただし、これらは個人差があり、合併症などがどの程度あるのかなども人によって違いがあります。

エドワーズ症候群(18トリソミー)

エドワーズ症候群は、常染色体のうち18番染色体が1本多い3本(トリソミー)になっているのが特徴です。
発症頻度には性差があり、1対3で男児よりも女児に多い傾向があります。
発症頻度は出生児の約6,000人に1人です。

手足に特異症状が見られ、手をグーの状態にして指が重なり合うようになっていたり、脚の親指が上向きにカーブしていたりすることがあります。

エドワーズ症候群では、母体の超音波検査で他にも以下のような所見が確認されることもあります。

  • 羊水が過度に多い
  • 通常2本ある臍帯動脈が1本しかない
  • 胎児の胎動が不良である
  • 胎児の心臓に異常がある

エドワーズ症候群の場合寿命が短く、妊娠中に母体内で亡くなってしまうことも少なくありません。
無事出産できても、1年以内に亡くなってしまうこともあります。
なかには長く生き続けるケースもありますが、あらゆる治療を施すための医学的サポートが不可欠です。

パトー症候群(13トリソミー)

パトー症候群は、常染色体のうち13番目の染色体が1本多い計3本(トリソミー)になっているのが特徴で、出生頻度は約10,000万人に1人と言われています。
平均寿命は3~4ヵ月ほどとされており、1年以内に亡くなってしまうケースが9割です。

無事に生まれたとしても心臓疾患や生殖器の異常など、さまざまな臓器に重度の障害を抱えていることが多く、高度な医療的ケアが必要です。

ターナー症候群(モノソミーX)

ターナー症候群は、女児のみに発症する疾患です。
女性には性染色体が本来2本あるところ、ターナー症候群では1本しかなかったり、2本あるけれども1本の一部が欠けているのが特徴です。

代表的な症状は低身長、不妊などです。
女児2,000人に対して1人の頻度で発症し、二次性徴期にはホルモンによる治療が実施されます。

トリプルエックス症候群(トリソミーX)

トリプルエック症候群は、女性の性染色体Xが2本のところ3本(トリソミー)と過剰になっているのが特徴です。
女児1,000人に1人と他の染色体異常と比べて高い出生頻度となっています。

目に見えて特異的な身体的所見が少ないものの、知能の遅れや言語発達の遅れがみられるのが特徴です。
まれに月経不順や不妊症などが見られることもあります。

クラインフェルター症候群

クラインフェルター症候群は男児の正常な染色体XYに対してX染色体が多く、XXYとなるのが特徴です。
男児500人に1人の割合で発症します。
目に見える症状が出ず、日常生活を送ることに支障のないケースも多く、一生クラインフェルター症候群だとわからないまま過ごすケースもあるのです。

主な症状には女性化乳房や不妊、運動機能の低下などがあり、幼少期で発見されるケースもあれば不妊治療で疾患が分かるケースもあります。

まとめ

羊水検査はわずかに流産のリスクはあるものの、精度の高い確定的検査であり、さまざまな先天性疾患の発見につながります。
ただし、実際に検査を受けるにあたっては、遺伝カウンセリングなどで専門家による説明で正しい知識を習得し、自分の気持ちや悩みを整理しておきましょう。また、家族やパートナーとじっくり話し合うことも重要です。


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