先天性疾患とは?引き起こす4つの要因

新型出生前診断により、胎児が病気を持っていることがわかるケースがあります。
病気に対して早期に対応することが可能になりますが「そもそもどのような疾患が起こり得るのか、わかりにくい」という人も多いでしょう。
ここでは、先天性疾患と呼ばれる生まれつきの病気の種類や要因、治療法について説明します。

先天性疾患とは

先天性疾患とは、赤ちゃんが生まれた時から持っている病気のことを指します。
ダウン症候群(21トリソミー)や先天性心疾患などさまざまな種類がありますが、染色体や遺伝子が変化することや、母親の胎内にいた時の環境などが原因となるケースが多いです。
種類や症状は多様で、各々の重症度合いなどに応じた治療法を選択する必要があります。

先天性疾患が起こる要因

先天性疾患を持って生まれる赤ちゃんの割合は、出生数全体の3~5%です。
先天性疾患の起こる要因は、大きく分けると以下の4パターンとなります。

染色体の変化に起因するもの
染色体の本数に変化が生じるケースでダウン症候群(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミーなどがあります。
先天性疾患全体の約25%を占めると言われています。
受精した時に起きるもので、出生前診断で胎児が疾患を持っていることが明らかになるケースもあります。

遺伝子の変化に起因するもの
先天性疾患全体の約20%を占めると言われます。
受精の時に起きるもので、両親から変化を持つ遺伝子を引き継ぐ場合もあれば、赤ちゃんにだけ遺伝子の変化が起きるケースもあります。

様々な因子が影響しているもの
先天性疾患の約40%を占め、多因子遺伝とも呼ばれます。
いくつかの遺伝子に変化がるケースや、環境因子も絡み合うケースがあります。

環境因子や催奇形因子が影響しているもの
タバコやアルコール、薬剤、放射線被ばくの影響によるケースです。
先天性疾患の約5%を占めると言われています。

染色体疾患とは

染色体の変化によって起こる先天性疾患を染色体疾患と呼びます。
染色体の数が変化する場合と形が変化する場合があり、最も頻度が高いのは通常1対で2本ある染色体が3本存在する「トリソミー」です。

新型出生前診断(NIPT)で検査対象となるのは、染色体の数的変化による疾患です。
赤ちゃん由来のDNAが混ざっている母親の血液を採血して調べます。
新型出生前診断で調べることができるトリソミーの種類は以下の表の通りです。

ダウン症候群
(21トリソミー)
18トリソミー13トリソミー
身体的な特徴特徴的顔貌
発達障害など
発達障害など発達障害など
合併症心疾患(50%)
消化管奇形(10%)など
心疾患(50%)など心疾患(50%)など
寿命50~60歳50%は1か月以内
90%は1年以内
90%は1年以内

ダウン症候群(21トリソミー)

ヒトの細胞に男女共通で22対44本ある常染色体のうち、最も小さい21番目の染色体が通常より1本多くなることが原因の疾患です。
特徴としては先天性の心臓や消化管の疾患を持つケースがあり、運動や言葉の発達に時間がかかるものの、知的発達には個人差があります。

ダウン症候群の赤ちゃんが生まれる確率は妊婦の年齢が上がるにつれて高くなります。
母親が38歳だと0.5%を超え、45歳では3%を超えるというデータもあります。
産婦人科や新生児科で連携して早期治療や臨床管理に取り組み、赤ちゃん体操やリハビリ、療育を通して発達面に働きかけることも可能です。
なお、新型出生前診断で陽性結果が出て、実際に赤ちゃんがダウン症候群である的中率は50~98%とされています。

6歳未満では保育園や通所施設に通うケースが大半で、小学生の年代になると半数程度が特別支援学級に在籍します。
中高生の年代では半数近くが特別支援学校に通っています。
19歳以降は8割近くが就労経験を持ち、スポーツ・芸術の分野で活躍する人もいます。

エドワーズ症候群(18トリソミー)

18番目の常染色体が通常より1本多く3本存在することで起きる疾患です。
女児の割合が約60%となります。
新型出生前診断で陽性結果が出て、実際に赤ちゃんがエドワーズ症候群である的中率はダウン症候群の場合よりも低くなります。
出生率は妊婦の年齢が上がるにつれて高くなります。

妊娠中に胎動が弱く胎盤が小さいといった特徴があり、生まれてきた赤ちゃんは小さいです。
また、拳を握りしめたような手の形をしていたり、指が重なり合ったりするなどの身体的特徴もあります。

そして、先天性の心臓や消化器の疾患、口唇口蓋裂などの合併症があるケースが大半です。
自力歩行や言語の使用に障害を持つケースも多いですが、周囲からのサインを読み取ったり表情や声で反応したりすることは可能です。

寿命は90%が1年以内とされており、生まれる前に亡くなるケースも多くあります。
しかし早期治療が可能なことや、合併症の程度によっては寿命が延びることもあり、なかには成人して元気に過ごすケースもあるのです。

パトー症候群(13トリソミー)

13番目の常染色体が通常より1本多く3本存在することが原因の疾患です。
新型出生前診断で陽性結果が出て、実際に赤ちゃんがパトー症候群である的中率はダウン症候群の場合よりも低くなります。
出生率は妊婦の年齢が上がるにつれて高くなります。

パトー症候群の赤ちゃんの8割程度が重い心臓の病気を持っていると言われます。
ほかに鼻中隔欠損や単眼、成長障害、知能障害などを伴う全前脳胞など合併症を複数持つケースもあります。
小頭症や網膜の発育不良、耳の変形、かかとの突出といった身体的特徴も目立ちます。

発育がとても遅く、言葉を使用できない場合も多いですが、表情や声で周囲に対して反応することが可能なケースもあります。
パトー症候群の赤ちゃんが抱える合併症の根本的な治療はなく、酸素投与や点滴などの対応が取り入れられます。
生後1か月を迎える前に80%が亡くなるとされており、生まれる前に亡くなるケースも少なくありません。

先天性心疾患とは

先天性心疾患は生まれつきの心臓の疾患のことを指し、生まれてくる赤ちゃんの100人に1人が持っているとされています。
原因の大半は多因子遺伝によって胎児の心臓が作られる段階で何らかの問題が発生することにあります。
その他、妊娠中の飲酒や喫煙、薬の服用、風疹ウイルスの感染などでも発症リスクが高まる可能性が指摘されています。

主に心室や心房に穴の開く「心室中隔欠損症」や「心房中隔欠損症」、肺動脈弁や周囲が狭くなる「肺動脈弁狭窄」などがあります。
心室中隔欠損症や心房中隔欠損症は手術やカテーテル治療、肺動脈弁狭窄は弁を広げたり人工の弁を入れたりする治療などで対処します。
先天性心疾患の治療法としては、血管のバイパス手術や薬物療法を取り入れる場合もあります。

症状としては泣いたり熱が出た時に顔や唇、手足が青紫色になるチアノーゼが著しく見られるケースもあれば、呼吸が速くなったり体重減少の場合もあり、さまざまです。汗をかきやすくなるケースもあります。

先天性心疾患は種類が多く各々の重症度合いにも幅があります。
そのため早急な治療を要するケースもあれば、自然治癒が見込める場合や治療の必要がない場合もあり、一概には言えません。
また、学童期以上の年齢になっても食事や運動に制限が必要になる可能性もあります。

まとめ

先天性疾患の種類や特徴、症状は多様なため、治療や対応も一人ひとり異なるものです。
赤ちゃんのことで気になる点があれば、早めに医師に相談することをおすすめします。
また新型出生前診断で検査できるのは一部の疾患に限られ、確実に疾患の有無を判定できるわけではありません。
新型出生前診断を受ける際には検査結果への正しい知識や最新の医療情報を知っておきましょう。

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